杏奈の日常
いつものように、女子会を開催していた時のこと、
「杏奈ちゃん、今、ちょっといいかな…」
「いいけど…」
誰だ?てかなんで私?
「ここではちょっと言いにくくて、」
「あー、じゃあ外行こっか」
話したことないよね?私が覚えてないだけか?
言いにくい話をするほど仲良くないのは確かだし。とりあえず誰だよ。
「うん。ちょっ先行ってて」
話す前にちょっと情報収集を
「分かった」
「杏奈にも遂に春が…!?」
なんて言って結衣が茶化してくる。
「えーっと、あの子誰?」
「うっそでしょ…クラスメートの名前も覚えてないわけ!?」
そんな引かなくたって…話したこともない人の名前なんていちいち覚えないでしょ。
「知らないよ」
私を誰だと思ってるんだ 。
「川島楓樹。美術部。大人しくて、優しい性格。花が好きで花を描くついでに水やりもしてるのが印象的。あと、個人的に原石だと思う」
「原石…?」
石ころってこと?え?
姉さんサラッと悪口?
「逆に花菜はどうしてそこまで知ってるの」
「私の趣味何か知ってるでしょ」
「人間観察…」
「観てれば見えてくるものもある」
みてればみえてくもの…?
「わっかんないけど、とりあえず待たせてるから行ってくるー!」
川島くん…川島…うん。やっぱり考えてみてもこれといって特に印象に残る出来事はなかった。はず。
あ、いた。
「川島くんだよね?待たせちゃってごめん。それで…えっと、話って…」
「…相談したいことがあって、」
「相談?私に…?」
他に友達いないのか?にしてもどうして私?どっからどう見ても口軽そうなのに。
「杏奈ちゃんってBL?好きなんだよね」
「え、うん!え!待ってもしかして腐男子!?」
っかぁ!男子まで把握しきれてなかったけど、まさか姉さん以外にもBL好きがいたとは…!
「ふだん、し?」
ありゃ?この反応は…
「あれ、違った?」
「ご、ごめん。そういうのはよく分からなくて」
「BL好きじゃないの?」
じゃあなんで私にそんな質問を?
「僕は…その…見るほうじゃなくて…」
「見るほうじゃなくて?」
見るほうじゃないならなんだ?
「だから…その、男が好きなんだ」
「あ、そっちね!」
そんな渋ることでもないのに。シャイなのか?
「それで、杏奈ちゃんなら恋愛相談乗ってくれるかなって、」
えっと、話を聞く限り、私が腐女子だから相談を?BL好きになら恋愛相談できそうって?なんでそうなった?
「恋愛相談?私に?」
選ぶ相手を間違えたな。
「駄目…かな」
「いや、ダメじゃないけど、私恋愛経験ゼロだよ?そもそもどうして私?」
「それは…杏奈ちゃんなら話しやすいかなって…」
話しやすいか、よく言われる。
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