「別れよう」

ここ最近一緒にいても、ずっと何か考え事をしているようだった。

何かあったのか聞いても、何も無いと言うから気にしないでいたのに、まさか別れ話をされるとは思わなかった。

「え？なんで、私のこと嫌いになった…？」

柄にも無く動揺した。焦った。

「違う。違うけど…」

「じゃ、じゃあなんで」

私に駄目なところがあるなら直すから、別れようなんて言わないで。

「私といることで花菜が苦しむのが嫌なの」

何それ…

私は沙耶といれるだけでこんなにも幸せなのに

「私は…！私は…」

あれ、おかしい、言葉が詰まる。

声が出ない。

「私といると花菜は幸せになれない」

「なんで、」

私の幸せをどうして沙耶が決めるの。

私は今も幸せなのに。

「周りの視線が、同棲愛者を見る目が痛い」

「…沙耶もおかしいと思うの」

もしかしたら…やっぱり女子じゃなくて男子が好きなのかもしれない。

「そんなわけ…！そんなわけないよ。」

「じゃあ、」

「でも、私のせいで花菜までそんな目で見られるのが嫌なの」

私のために別れる…？

私はそんな視線なんて気にしないのに。

ただ、沙耶の傍にいられたらそれで、それだけでいいのに。

「分かった。今までありがとう」

だけど、これ以上話しても沙耶を苦しめてしまうだけだ。それなら、私が苦しむ方がずっといい。

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