結衣の日常
「そうなんですよねぇ」
「裏でファンクラブまでできてる!?」
「ですです」
人目見るだけでもかなりの体力を費やすことになるのに、彼女になろうと…
「あんたとんっでもない人に手出そうとしてんだね」
「はぁーー、やっぱそう思う?」
「前途多忙だね。一筋縄ではいかないだろうよ」
妬み嫉みどころじゃ済まされないだろう。
「難しいほど燃え上がる!ってことでアドバイスください!」
ほんと、ポジティブがすぎる
「アドバイス?」
「どうやって今の彼氏を落としたのか!勿体ぶらずに教えてください!」
「えぇ、そう言われても、告白してくれたの向こうだからなぁ。特に何かした訳でもないし…」
ただ気づいた時には両思いで付き合ってた。
「くそっ、なんでこんな不公平なんだ!姉さん!」
私はもう用済みになったのか、次の標的は花菜に。
「え、私?」
「もうこうなった以上姉さんしか頼れる人はいないんです!」
そんなこと急に言われても困るよね
「えっと、まず、その先輩を好きになったきっかけは?」
確かに。私も気になる。
「えっとねー、えっと…なんだ?」
「は?普通好きになったきっかけ忘れる?」
「いやー返す言葉もございません」
いや、うん。そんなことだろうと思ったけど。
「とにかく、まずは親しくなることから始めるのはどう?」
そうそう。初歩の初歩。
「距離詰めるのにも相当の時間が必要だと思う。なんせ先輩は常に人に囲まれてるからね。隙を着いて話しかけるしか道は無い!」
私にはそんな度胸もちろん持ち合わせていない。
「まぁ杏奈ならきっと上手くいくと思うよ」
花菜に言われると心強いだろうな
「確かにコミュ力だけはバカ高いからね」
「だけってとこには引っかかるけどありがとう!」
「その先輩についてあまり知らないから的確なアドバイスをしてあげられなくて申し訳ないわ」
「…知らない?」
信じられない。海斗先輩を知らない人がこの学校に存在したなんて。
「ファンクラブができてるぐらい人気な先輩がいるってことはどこかで耳にしたことがあったけど、その、かいとせんぱい…?かは分からないの」
裏でファンクラブができている方と言えば海斗先輩と、あと数名ほどいる。この学年にも3人。
いや、そう考えるとこの学校イケメン多いな。
「姉さんイケメンとか興味無さそうだもんなー」
そもそもは浮ついた話すら聞いたことがない
「そういえば花菜と恋バナしたことないよね。今好きな人いるの?」
「いないよ。私はもう、暫くはいらないかな」
暫く…ということは、いた事はあるんだ。
「ちょっと待て。今なんと」
「え?しばらく大丈夫だって」
ほら、杏奈の餌食になっちゃった
「いや、その前」
「その前?」
「もうしばらくはいらないとな?」
「そうだけど」
「最近までいたような口ぶりだな」
そういうのは触れないお約束でしょ、もう。
「あー、一ヶ月前に別れたの」
「え!?」
花菜に最近まで彼氏がいたのは私も驚いた。普段からSNSを一切しないし、そういう話もしてくれないから花菜について知らないことはまだまだ沢山あるとは思う。
「ちょっと聞いてないんですけど!?」
「聞かれてないから」
そうそう。花菜は基本聞かれないと自分の話をしない人なんだ。
「しばらく恋愛しないでいいなんて言うぐらいだから最低なヤツだったのか!?」
こんな可愛い花菜に最低なことをできる男がいるんだろうか。
「違うよ」
「どんな人だったの?」
「…とにかく優しかった」
「優しいってなかなくない!?いいことなんじゃないの!?」
まぁ、誰にでも優しくしちゃうから、彼女に辛い思いさせちゃう男子いるもんね、
「私、…女の子が好きだから」
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