第一八話 進化
実のところ、レオナとノルンがこういった行為に及ぶのは、初めてのことではない。
記憶に新しいのは、やはりレオナを使役した初日の出来事であろう。
彼女はノルンを救うために俺の戦力などを当てにして、その結果、色仕掛けを仕掛けてきた。
当時は完全に芝居だったわけだが……
最近のそれは、本心から来ているのではないかと思う。
何せ強要なんて一切していないし、むしろ自分の体を大事にしろと、そう言い付けているぐらいだ。
そこについては、ノルンに関しても同じこと。
しかし。
そうであるにも関わらず。
「今日もあんたの体、隅々まで洗ってあげる……♥」
「もちろん、前の方も、ね……♥」
レオナとノルンは毎日のように、風呂場へと入り込んでくる。
そうして。
「んんっ……♥」
「本当に、逞しい背中だわぁ……♥」
自らの爆乳をスポンジ代わりにして、こちらの背面を洗う二人。
もう、ホント、最高だった。
あまりにも心地良い、柔らかな感触。
レオナだけでもすごいのに、ノルンまで合わさったなら、もう……
めっちゃすごい(脳死)。
あまりにも気持ち良すぎて、脳味噌が蕩けそうになる。
そこに加えて。
「じゃあ、次は……♥」
「前の方を、洗わせてもらうわねぇ~……♥」
当初、俺はかなり迷った。
この甘い誘惑を受け入れてもいいものか、と。
そんな苦悩が芽生えてより、およそ数秒後。
一つの結論へと至る。
――そもそも、欲望を解放して何が悪いのか、と。
二人は形式上、我が性奴隷である。
無論、俺は彼女達のことをそんなふうに捉えてないし、扱ってもいないけれど。
だが。
性奴隷を相手にそういうことをしたって、誰も咎めたりはしない。
で、あるならば。
レオナとノルンの自己意思で、それを行うというのなら。
後はもう、俺の心次第ではなかろうか。
即ち――
二人のドスケベ・ボディーを堪能したいか、したくないのか。
俺の答えは、前者であった。
それゆえに。
「っ……♥ 今夜も、楽しめそう、ね……♥」
「背中だけでなく……前の方も、すっごく逞しいわぁ……♥」
まぁ、うん。
ヤっちゃうよね、最後まで。
最初はおっぱい、お尻、太股、三種の神器だけで満足しようと思ってた。
けど、人間というのは愚かな生き物で、一度ヒートアップした欲望というのは、制御が利くものではない。
だから、まぁ。
挟んでもらうだけでなく、咥えてもらったり、扱いてもらったりもしている。
ナニを、とは決して言わないけれど。
そして、当然ながら……
ここまでしておいて、最後の一線は越えません、みたいなことになるはずもなく。
「じゃあ、今夜も……♥」
「たっぷりと、可愛がってちょうだい、ね……♥」
風呂場の長所はやはり、どれだけ汚れても、すぐに洗い流せるところだと思う。
まぁ、普通は汚れるにしても、ほんの少しだろうけど。
でも、ゼクスの肉体はそっち方面において、とんでもないスペックを持っているので……
一〇回、二〇回と数を重ねないと、終わらないんだよな。
そして結局、今夜も睡眠時間を削るレベルで、互いの欲を満たし……
いつもなら、それで終了となる場面、だったのだが。
『レオナとの絆レベルが向上しました。1 → 2』
『ノルンとの絆レベルが向上しました。1 → 2』
目前に顕現したメッセージウインドウを確認した瞬間、俺は無意識のうちに頬を緩ませていた。
絆レベルというのは、《テイム》スキルを持つ者に限定された隠し要素である。
平時において、それは確認が出来ず、どれだけの経験値が蓄積しているのかも、まったくわからない。
さらに言えば、経験値の蓄積条件は無数に用意された内容からランダムに抽選されるため、このシステムの恩恵を得ようと思ったなら、膨大な時間、試行錯誤を行うことになる。
だからまぁ、基本的には、死にシステムとされているんだけど。
しかし、もしもこの恩恵を得られたのなら。
《テイム》スキルの使い手は、凄まじい力を獲得出来るのだ。
具体的には……
絆レベルが2になったことで発生する、第一進化が、真っ先に思い浮かぶ。
「んんっ……!?」
「か、体が、熱い……!」
風呂場にて。
行為を終えた後、疲れ果てたように寝転がっていた二人が、当惑した様子で声をあげた。
次の瞬間。
レオナとノルン。
二人の姿が、変異する。
といっても、バケモノに変わったとか、そういう劇的なものじゃない。
レオナの赤い髪に燐光のようなエフェクトが掛かり、背面に光輪が出現。
ノルンの青い髪に流動性のある煌めきが生じ、全身から淡い水色のオーラが発露。
たとえて言うなら……
キャラ進化システムを採用しているソシャゲにおいて、SRキャラがSSRに進化した、みたいな。
そして、次の瞬間。
『レオナが進化したことにより、パラメーターが加算されます』
『ノルンが進化したことにより、パラメーターが加算されます』
彼女等のパラメーターアップは、こちらのパラメーターアップでもあるため……
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」
凄まじい力の奔流が、流れ込んでくる。
そんな感覚を味わいつつ、二人のパラメータを確認。
まずは、レオナから。
生命力:90000 (40000UP!)
魔力:60000 (20000UP!)
筋力:100000 (30000UP!)
敏捷:90000 (30000UP!)
魔攻:50000 (20000UP!)
魔防:70000 (20000UP!)
限界値に辿りついたはずのそれが、軒並み大きく向上している。
それはノルンにしても、同じだった。
生命力:60000 (25000UP!)
魔力:75000 (30000UP!)
筋力:40000 (15000UP!)
敏捷:40000 (15000UP)
魔攻:70000 (35000UP!)
魔防:90000 (38000UP!)
進化したことにより、二人の基礎パラメーターは大きく向上し……
限界値という概念が、取っ払われている。
そう。
進化した使役物は理論上、無限に成長出来るようになるのだ。
まぁ、あくまでも理論上であって、実際は限界点が決まってるようなもんだけど。
ともあれ。
彼女等のパラメーターが向上したということは、つまり。
俺のパラメーターも、次のようになった。
生命力:35005 (20000UP!)
魔力:30005 (15000UP!)
筋力:30005 (15000UP!)
敏捷:28005 (13400UP!)
魔攻:25002 (12800UP!)
魔防:34002 (18400UP!)
うん。
かなり、強化された感じだ。
「ゼ、ゼクス?」
「ど、どういうことなのか、説明して、くれないかしらぁ?」
二人に詳細な説明をしたところ。
「つ、つまり……」
「えっちなことをしたら、強くなれるってことぉ……?」
気恥ずかしいけれど、事実なので、仕方がない。
「じゃ、じゃあ、明日から……♥」
「もっともぉ~っと、頑張らないと、ね……♥」
なんなら今からでもいいぞと、そう言いたくなるほどに、二人の表情は艶然としたものだった。
まぁ、実際はもう限界なんだけどね。
「にしても……二人の経験値蓄積条件が、同じっていうのは、どうにもおかしな話だな」
「そうなの?」
「あぁ。用意された条件はマジで無数だから、それが偶然被るなんてありえない」
「う~ん。ということは、つまりぃ~?」
「奴隷を使役した場合……条件が、同一の内容で固定されるとみて、間違いないと思う」
今後、俺は使役物を増やしていくことになると思うが……
全員とそういうことをしなくてはならないと考えた場合、そこに対しての工夫も必要になるかもしれないな。
「ま、だいじょ~ぶでしょ、ゼクスなら」
「そうねぇ~。何せゼクス君の体力は、無尽蔵だもの~」
いや、さすがに四人、五人になると、そうでもなくなるんだけど……。
まぁ、なんにせよ。
「思わぬ誤算で――最強ビルドに、大きく近付いたな」
~~~~あとがき~~~~
ここまでお読みくださり、まことにありがとうございます!
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今後の執筆・連載の大きな原動力となりますので、是非!
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