スリルという名の制裁②
※こちらのストーリーはバイオレンス表現が含まれます。閲覧にはお気を付け下さい。
周りを見渡すと今度は白い光がこちらに向かって来るように見えた。
「誰?」
目を細めながら良く見てみると、白い光の下に足が見えた。どんどん近付いて来ると顔のあたりにランプを持ち上げ、誰かが怪しげな動きでこちらに向かって歩いてくるようだった。
ひなは逃げるべきだと思っても、足がすくんでしまい一歩も動くことができなくなってしまった。体中が恐怖でいっぱいになった。そんなことも知らずにランプは近付いて来る。
「ランプが大きすぎて顔が見えない」
まるで、ランプに足が生えているような姿に違和感を覚えたその瞬間だった。
「はっ」
大きなランプが左側に揺れたと同時に大きな顔がひなの近くまで一気に近付き目が合った。
「誰?」
とてもじゃなく普通の人間とは言えなかった。ギョロっとした瞳。控えめに言えば顔が全体的に潰れた歳をとったじいさんが目の前に現れた。
「お前を喰ってやろう」
「え?何言ってるの?人喰いじじい‼︎早く逃げなきゃ」
と言っても足がすくんで動けずにいたのだから思うように行く訳がない。
「なんだって言うんだ。こんなところで◯にたくない」
もたつきながらも人喰いじじいから逃げるために足を走らせようとしたひなだったが、もたつく足が重すぎてとうとう転んでしまった。逃げるタイミングを失ったひなだった。
「こんなところで◯ぬわけにはいかないって言ったな‼︎笑わせるな。お前はもう◯んだも同然。ここに来た以上帰らせるわけにはいかない」
顔がつぶれたジイさんはどんどん近付いてきて手が伸びてきた。
首を絞められる……
殺される…………
寝転んだままひなはとっさに目を閉じた。すると手が体の中に入ってくる感じがした。
「何⁉︎」
すぐさま目を開けるとじぃさんの手がひなの胸元を貫通し、体内をえぐっているようだった。
「何これ」
体内から何かを探すようにぐりぐりとじいさんの手が動く。
「ちょっとやめて‼︎やめてよ‼︎やめてってば‼︎」
じいさんの腕を掴み体内に入った手を取り除こうとしたがじぃさんの力はとてつもなく強く、か弱い女子高生の力ではとてもじゃなく太刀打ちできなかった。
ひなの胸元から見える手は貫通しているのに出血はしていないし、全く痛みがないことに気付いた。
「何なのこれ」
得体の知れないじぃさんの手で何かを捉えた感覚がした時、ひなは声を出す事もできず体を動かす事もできず、なすがままされるがままだった。
ぐりゅぐりゅと聞いた事がない鈍い音がするとじいさんはひなの体内から何かを取り出した。
「うわっ。気持ち悪っ。何この臭い」
じぃさんの手にはこの世の物とは思えない位汚らしいヘドロの様なカタマリが蠢いている。嗅いだことのない異臭のせいで、目は染みるし鼻はもげそうだった。
じぃさんはヘドロのカタマリを手でちぎって食べ出した。
唖然として開いた口が塞がらないひなだった。
一体……何を……
しているのです……か?
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