第69話 助け合い
「人々は支え合って生きるものです」
なんてどっかの誰かが言っていたような言葉を、
「ならば当然、私も含め皆が支え合って生きているはずです」
「それは、まあ」
「
「そうですね」
「友達を作る、ということは支え合う人を増やすことだと先生は思います。もちろん、仕事上の同僚や、何なら社会で生きるほとんどの人と支え合っていかなければお買い物も出来ないのが私たち社会人です。でもそういうことではなく、何気ない日常での支え合いや心の支え合いを出来るのはやっぱり友達とか、後は恋人や家族くらいじゃないでしょうか」
ですから、と先生は続ける。
「この人になら支えて貰っても安心だ、この人を支えて上げたいと思える人が友達やそれ以上の関係へと昇華していくのではないでしょうか。先生はそんな風に思いました」
我ながらいい考え方ではないでしょうか、と先生は締めくくる。
「先生はこんなことを言ってみましたが、最後に決めるのは雛沢君です。先生の考え方を参考にしてくれても構いませんし、まったく他の考え方でもいいと思います。ですが、雛沢君にはやっぱりお友達を大切にして欲しいので、これだけは言わせてください」
もしも友達が支え合うための存在ならば、確かに
彼女が出来た、なんて言っても
だからこそ、義弘先生の言葉は
「お友達とは、相手に認められてなるものではありません。自分からお願いしてなるものでもありません。支え合えるようになった時、自然となっている物なんです」
誰から認められる必要は無く、自分がそう願う必要も無く。
それは役職ではなく状態を指すのだと。だとしたらもしかすると、
「一緒にクラス会の準備をして、心配して貰って。それは支え合いと言えるのではないでしょうか。先生には、とても素晴らしい友情だと思えました。なので
はて、どうして残念なのだろうか。
気になりはしたが、そんな疑問は一瞬で消えてなくなった。
友達。助け合い、支え合って一緒に歩む人のこと。
それなら自分にもできるかもしれないと、そう思えた。
動き続ける心と心の距離を求めなさい シファニクス @sihulanikusu
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