第59話 カフェで待ち合わせ
さて、何とか
翌日、
「……あいつら、本当についてくるのか」
本へと落としていた視線を上げて、
ならば隠れる必要は全くないと思うのだが、気分が出ると言っていた。張り込みが趣味だとしたら双子として、幼馴染として止めるべきだろうか。
二人は極めて普通の私服姿。見つかって困る相手はいないので当然ではあるが、その格好で隠れると逆に目立つということを自覚して欲しい。
あれだ、ファミレスの……この例え最近使った気がする。
「あ、カナデ、こんちゃ」
「ん? ああ、スプ、
「ん、今日はよろしく」
現れたのは小柄な少女。曰く同級生であるらしいが、
今日はシックにまとめたボーイッシュスタイルで、以前のコスプレ姿とは打って変わってひっそり溶け込むようだった。全体的に涼し気で、年々増して行く気温に対応した服装と言えるだろう。
「なんだ、ちゃんと服持ってるんじゃないか」
「まったくもってないとは言ってない。ただこの前のは、イベントに出掛けるわけだったし。あんまり地味すぎるのは初対面ではどうかと思ったから。今日は目立つ必要もないし……。なんか変?」
「いや、まったく。なに来ても似合うなんて羨ましいな。俺、どんな服着ても微妙過ぎて服選びに苦労してるからさ」
話題にしてやろうと思ってそういうと、
「ねえカナデ」
「ん? どうかしたのか?」
「どうせ褒めるなら、もっと分かりやすく褒めてよ」
「ん?」
「……もういい」
そう言って扉を開いた
やっぱり、誰かと話すの難しいな。
後ろでなっていた足音がすぐ後ろで止まった。
「って、真後ろかよ」
「カナデ? どうかした?」
「いや、なんでもない。とりあえず何か頼むか」
「ん、そうしよ」
互いに気になる商品を注文し、それを待つ間に
相談したいことがある、ということだし
「私この、トキめき春風の苺パウンドケーキでお願いします」
「あ、それ私も食べたいかも。ねえ、
「いいわよ。一緒に食べましょ」
とても楽し気に注文をしている二人の声が聞こえてくる。ずっと監視されるのは嫌なのでむしろ嬉しいくらいではあるのだが、たぶんこの二人に張り込みは向いていないと思う。
あとなんだその商品名、メニューのどこにあったのか教えて欲しい。
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