第二節 近づく距離
第56話 双子と仲直り
「それじゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
「そういえばあんた、ネット友達はよかったの? いつもの時間過ぎてるわよね?」
「用事があるって言っておいたから大丈夫だ」
スプリングには悪いことをした。この一年以上続けて来たことを遂に中断してしまった。でも連絡一つ取ればあちらも問題ない、の一言を返してきた。今までにも
「
「ううん、全然迷惑なんかじゃないよ。むしろ、いざってときに力になって上げられなくてごめんね」
「なに言ってるのよ。
「悪かったな」
でも確かに、料理は出来ないし優しく出迎えることだって出来はしないのだろう。
「俺からも、ありがとうな、
なんてことを言ってみると、二人は驚いた表情で固まってしまった。はて、何かおかしなことを言っただろうか。
「うっそあんた、ほんとに成長したのね」
「何の話だ?」
「び、びっくりしちゃった。まさか
「え、そこ? そこに驚いてるのか?」
そんなにお礼を言ってこなかったか?
「珍しいこともあるものね。赤飯でも買ってこようかしら」
「そこまでか!? 俺の感謝は正月や誕生日に匹敵するレベルなのか!?」
「そんなこと聞かれても。ねえ、珍しいわよね?」
「うん。あんまり聞かないかも」
……恐らくは皮肉を言っている
「正直私は嬉しいわよ。間違いなくいい方向に成長してるわ」
「うん。その調子で、もっと人間らしくなろうね」
「俺の人外の気配はどれだけ振り切っていたんだろう」
多少なりとも世間一般の歓声とは違う自覚はあったが、
あれか。ファミレスで子ども用に配られる間違い探しの一番簡単な間違いくらいには目立ったのだろうか。
なんかごめん、いい例え出てこなかった。大切なところに色を付けようとしたら色が多すぎて結局大切なところが分からなくなった時くらい分かりずらかった。
よし、ボケキャラは諦めよう。他に何か人間味あふれる役職は無いだろうか。
「あれね、ゴキブリくらい人間っぽくなかったわ」
「おい、それはただの悪口だ」
どさくさに紛れてとんでもないこと言ってくれやがって。
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