第41話 お化け屋敷
「へぇ、結構凝ってるのね」
「あ、あの~」
「おい
その原因はと言えば、経った今目の前でフランケンシュタインとかミイラ男のような格好をした脅かし役の人の肌を
「ねえ、これどんな布を使ってるの? エナメル質な気もするけど、違うわよね?」
「え、えーっと……」
「そんなの企業秘密に決まってるだろ。聞くなよ」
そういう問題でもない気がするが、
「え? あー、確かにそうかも。ごめんなさいね」
「い、いえ……それじゃあ、残りもお楽しみください?」
「疑問形になってますね」
この脅かし役の人が心底可哀そうだった。
「ふーん、本格的ね。評判は正しいみたい」
「
それからも
これは確かに吊り橋効果が見られるかもしれない。特に、隣に立っているのがここまで頼もしい人ならば惚れてしまうのも無理はない。
「あら、
「楽しいとかではない気がする」
楽しもうにも
「でもまあ、
「……あんたそれ、私以外に言うんじゃないわよ。勘違いされるから」
「勘違い? 何の話だ?」
「分からないなら別にいいわ。ただ、絶対に言わないこと」
「はぁ……まあそうする」
よく分からないが
「って、もう終わりなんじゃないか?」
「そうみたいね。んー、結構楽しかったわ。いい刺激になったわね」
「それ、本気で言ってるのか? まったくビビってなかったのに」
「あんたこそ何言ってるのよ」
昔からホラー映画とかホラー番組とか、
……今思い出してみると、とんでもなく黒歴史だな。もう二度と思い出さない。
そんなことを心に誓っていると見えて来た外界の光に照らされて、
その嘘を微塵も感じさせない無垢な笑顔は、屈託のない自然な微笑みは。
「私はね、あんたがいるから怖くないのよ」
大きく
「……なあ
「どうかしたの?」
ゲートを抜けてお化け屋敷の外に。急に明るくなって浴びた眩しさに目が慣れるまでの間少し瞼を下ろし、再び開いてから言う。
「それ、俺以外に言うなよ」
「え? 言うわけないじゃない。何言ってるのよ」
「……そうか」
まったく、何恥ずかし気も無く臭いセリフを言っているんだか。うっかり惚れるところだったぞ。
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