第34話 クラス会
「あっ! みんなー、お待たせ!」
「おお、
「待ってたよー!」
「っしゃー! これで全員揃ったな!」
途中、飲み物や氷を買ってクーラーボックスに詰め、三十分程すると
そこは
すでに多くの生徒が集まっており、話しから察するに
そして当然のように誰にも触れられない
「へぇ、涼しくていいな」
まだ春の終わりとは言え近年の気温はと言えば右肩上がりを続けている。この時期でも汗ばむことがあるくらいには熱いと感じていたが、川辺の、それも木陰となれば心地よい風もあって居心地が良かった。
リュックと水筒を下ろした
「たまには外で読書するのも悪くないな。提案してくれた
誰かに要求されずにした感謝は久しぶりだなぁ、と心の中で呟きながら、クラスメイト達が楽しそうにはしゃぐ声をBGMに読書にふける
「あ、見つけた」
読み終えたページ数を見るに、三十分くらいが経ったかと言う頃。誰かに声をかけられて
「新嶋さん?」
「
「見ての通り、読書」
「そうじゃなくて。なんでせっかくクラス会に来たのに、一人でいるの?」
やることが無くなったわけでもないのにこっちに来たのだろうか。前から思ってたけど、新嶋さんは物好きだな。
「参加したからには、皆と遊んだら?」
「いや、俺がいたら邪魔だろ。……あー、今の無し、語弊だ」
「んー? まだ何も言ってないけど?」
気分を悪くしていないかと気になっていると、新嶋さんから帰って来たのは想像とは打って変わって間延びした声だった。怒るか悲しむかすると思ったのだが、拍子抜けしてしまった。
「その、失礼だったよな。皆のことが嫌いってわけじゃないんだ、一緒に居るのが面倒だとか。ただ、純粋に名前も顔も覚えていないような俺が混ざってもやり難いだろ?」
「それ、たぶんフォローになってないよ……でもそっかー、やっぱりそんな風に思ってたんだ」
「うっ……」
今のには少し棘があった。視線は細められているし、少しだけ突き放すような言い方。やはり気分を悪くさせてしまっただろうか。
こういうことになるから、誰かと喋るのは――
「別にいいと思うけどね。でも、それを隠して黙って逃げるのは、あんまり嬉しくないかもね」
「――え?」
嫌いなんだと心の中で呟きかけて、止める。というか、言えるはずが無い。
新嶋さんは青々と広がった空を眺めながら誰にでも無く呟いた。
「嫌われるのは納得できても、無関心でいられたら何も分からない。そんなままでいなくなられると、私もどうしていいか分からなくなっちゃうからさ。だから、次は話してね。大丈夫――」
やっぱり、新嶋さんは変わっていると思う。
「――私だけは、何を言われても離れて行ったりはしないから」
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