第33話 会場へ
「お、おはよう? えーっと、大丈夫そう?」
クラス会当日、雛沢家前で待ち合わせをしていた
お互いに私服姿で対面し、普段は見ない互いの姿に色々な感想を……抱く暇は無かった。
「あ、ああ……何とか」
「とりあえず、下ろしていいよ?」
玄関の前に立った
「わぁ、
「あ、
「はい、お任せください。先生としてしっかり皆を守ってあげますからね!」
ちなみに、義弘先生の服装は
「よし、荷物は積み終わりましたね。それじゃあ出発しましょうか。二人とも、ちゃんとシートベルトを締めてくださいよ!」
「はーいっ!」
「……はい」
「出発しんこーうっ!」
義弘先生がテンション高めに言ったのを聞いて
あれだ、二人ともテンションが高くて空気を読めるタイプの人間だ。さっきだって新嶋さんに先を越されたせいでどう返事するべきか分からなくなったし、これからクラス会の会場に着くまでの間に発生するであろう会話を切り抜けられるビジョンが全く湧いてこない。
「あ、そういえば雛沢君にはまだお礼を言っていませんでしたね。クラス会の為に準備をしてくれてありがとうございました。とても助かりましたよ」
「ああ、いえ。出来ることをしただけですので」
「わぁ、謙虚なんですね。先生、雛沢君とはあまりお話ししたことが無かったですが、雛沢君がいい人だってすぐに分かりましたよ」
あれ、足届いてるのかな。義弘先生の身長はあって小学生高学年くらいだったけど、まあそれなら届くには届くか。車高が高い車ではないし。でもなあ、傍から見たら小学生が運転してるんだよなぁ。中々に珍しい光景である。
「雛沢君って私服センスあるよね、なんかこだわりあるの?」
「あ、それは先生も思っていました! いつの間にか髪を切ったり、イメチェンってやつですかね?」
「見た目に気を遣いなさいって家族に言われるんですよね。だから仕方なく」
そういえばどこに行くのか具体的には聞いてなかったな。穴場の川があるとは聞いていたけど、どんなところなのだろうか。他にお客さんがいたら高校生が十数人も集まったら流石に迷惑だと思うのだが、大丈夫だろうか。
「って、雛沢君、聞いてる?」
視界の端で新嶋さんが小首を傾げて聞いてくるのが見えた。
「もちろん」
「そう?」
おっと、危うくバレるところだった。秘儀、頭を使わない会話を見抜く寸前まで行くとは流石である。
頭を使わない会話とは
なんて脳内解説を挟みながら四面楚歌の状況を何とか乗り切った
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