第31話 帰り道
家に向かう道中を誰かと歩くことは珍しいわけではない。時間が合えば
ただ、その二人以外と一緒に家に向かうのは覚えている中で初めてだった。
「へぇ、雛沢君の家こっちの方だったんだね。学校までは、どれくらい?」
「歩いて十分くらいだな。改めて考えると本当に近いな」
「みたいだね。……荷物、重くない?」
新嶋さんは電車で移動して五十分と言うことだったし、登下校はかなり大変なのだろうな。まあ家が近い理由としては
「別に重くはない。あーいや、重いには重いのか。これくらいなら大丈夫ってこと」
「そっか。やっぱり力持ちなんだね、男の子って」
「男だからってわけじゃないと思うけどな」
重たい荷物を運ぶ手段は色々と心得ている。持っている力に対して持てる重量を計測する頃があれば今の
いや、知らんが。
「ふーん」
この数分、ずっと話題を振られてはこんな風に返事をされ、話題が途切れる。これに関して言えば
例えるのなら、スマホを見ている時の
やはり、買い出しのペアに
でも許してくれ新嶋さん。こちらは小、中、高とほとんど友達の出来たことのない生粋の一人体質だ。人とのコミュニケーションが苦手なのはもちろん、常識だって弁えてないのだから。
「ねえ」
「っ、うおぉっ!?」
近っ!? なんで新嶋さんは振り返ったら目と鼻の先にみたいな距離にいるのかな!?
「雛沢君ってさ、女慣れしてない?」
「お、女慣れ?」
一体全体どういうことだろうか。交際経験ゼロ、手だって繋いだことが無いような男だぞ。あ、嘘か。
「いやいや、彼女いない歴イコール年齢だし、全然」
「嘘だよ。だって今、私が顔を寄せても照れてなかったもん。驚いただけじゃん」
照れる。女の子の顔が近くにあると、照れる。
……なんで?
「照れるのが普通なのか?」
「普通って言うか……自分で言うのもなんだけど、私普通に顔は良いと思うんだよ」
「え、まあうん、そうかもね」
「えっ、あ、ありがと……じゃなくて!」
目を逸らしながらあまり自信なさげだった
「可愛い女の子に見つめられたら、男の子って照れるものだと思うんだよ」
「あー、確かにアニメとかだとそうだよな」
「……本気で言ってる?」
顔が近いと、照れる。そういうものか? アニメとか小説だとそうだから言わんとすることは分かるのだが、恐らく
肯定の意味を込めて首を縦に振ると、
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