第30話 クラスメイトと買い出し
「手伝ってくれてありがとね。次はこっちだよ」
放課後、
学校から近い場所にあり、徒歩十分程度だった。
「えっとね、炭は確かこっちの方に……」
新嶋
その日、
最初はただただ明るく、楽しいことが好きな人なのだろうと思っていたのだがその実何かに取り組む姿勢は真剣だった。楽しいからこそ真剣に取り組んでいるのかもしれないが、それでもあそこまで真っ直ぐな目を見せられると第一印象を覆されるのも仕方ない。
「あとこれと、こっちも買っておこうかな。雛沢君、大丈夫?」
「ん? まあ、大丈夫」
炭が最も大きく、その他火を扱う類のものもそれなりに重たい。クーラーボックスは肩に掛ければ何とかなるとして、両手が塞がっているから炭の入った箱の上にこまごまとしたものを積み上げていたのだが、流石にそろそろ限界だ。
それを察してか
「へぇ、結構力持ちなんだね。実は筋トレしてたりする?」
「いや、まったく。でも、男ならみんなこれくらい余裕なんじゃないか?」
「そう? やっぱり、男の子って頼りになるね」
「そう、か。まあ、これくらいならな」
「うん、すっごく助かってる。よし、こんなもんだし、買っちゃおうか」
満足気に頷いた
「それで? どこまで運ぶんだ?」
購入したクーラーボックスの中にこまごまとしたものを詰め、多少は余裕が出来た
その瞬間、
「あー、それが。本当は私の家まで持って帰ろうと思ってたんだけど、思ったよりも重そうじゃん? でも、私の家ってここから五十分以上かかるから雛沢君にそこまで持ってきてもらうのは申し訳ないし。妥協案なんだけど、雛沢君のお家に置いておいてもらえないかな。もちろん、そこまでは持って行くよ!」
購入したものはかなり多く、その大半を
「いいけど……家がここから近いって、よく分かったね」
「え? そ、それは前に聞いたことがあったからだよ! 雛沢君の中学校、ここの近くなんでしょ? だったら地元かな、って!」
「まあ、そうだな。ここからだと、十五分くらい歩いたところか」
確かに
新嶋さんは凄く慌てているが、新嶋さんがわざわざ事前に調べてきたと勘違いしたと思ったのだろう。だが普通に考えてそんなことをする理由がないし、
「それじゃあ、連れてって、雛沢君の家」
言われて気付く。どうやら
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