第27話 石西心梛
水族館を歩き回ったことで乳酸のたまった足を適度にほぐしながら、
「今日、楽しかったなぁ……えへへ」
ほんのりと頬が赤く染まったのはお風呂の熱のせいか果たして。
「
はっきりとした実感はないけれど、ずっと一緒に良いたからかそう思う。もしかするとこれまでおかれていた適度な距離のせいで気付かなかっただけなのかもしれないし、むしろ優しさに触れられていなかっただけでずっと優しかったのかもしれない。
ただなんというか、
「……
心奏 《かなで》君は以前、同じ趣味を持つ女の子と遊びに出掛けたことがあった。もしかすると、その子のことが好きだったりするのだろうか。もしそうだとしたら
「妬けちゃうなぁ……」
だって
いつしか
少なからず、好印象なのは間違いない。でもそこに異性として好きになる決定打が無いのも確かなのかもしれない。
「ううん、私はもう、
石西
「でも、いざ伝えようとすると……うぅ」
一気に熱くなったのぼせた体を、
友達と言う言葉を意識し始め、二人が友達だと気付いてからは本当に毎日が楽しかった。一緒にいるだけで楽しくて、お話ししたり、遊んだりするのが誕生日のように特別に感じられた。
その特別が日常になる度に、特別が特別じゃなくなっていったんだと思う。いつも考えるんだ。
「私と
ため息交じりの呟きは、ドライヤーの音へと消えて行った。
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