第24話 誰が望んだ昔話
少し昔を思い出す。
昔と言っても三年前、
「ねえ
その日の学校が終わってからしばらく経った頃、雛沢家のチャイムを押してから入ってきた
「いいけど、どうかしたの?」
「玄関で聞くなよ。
「うん、ありがとう」
早速家に上がって貰い、一先ずソファに腰掛けた
「実はね、お父さんとお母さんが部署異動で遠くまで働かなきゃいけなくなっちゃって」
「確か
「そういう話じゃないだろ。つまり、一人でいることが多くなるってことか?」
「うん。引っ越しとかも考えたらしいんだけど、今の高校もあるし、引っ越しはしないって。代わりに、平日は帰ってこないで社宅で寝泊まりするかもしれないから。って」
きっと、だからこそ
「そんなの断る理由が無いわよ。うちも両親帰り遅いからね。むしろ、毎日来てくれていいわよ」
「そうだな。
「ちょ、それどういう意味よ!」
「この前のテストの成績、やばかったのはどこのどいつだ」
「うっ……まあ、そうね。一緒に宿題したり、息抜きにゲームしたりしましょ。あんたもよ、
「良いだろ、テストはいい点だったし」
「そういう問題じゃないわよ!」
この時、
だから、あまり
なんというか、泣きそうなほどに嬉しそうな笑顔だった。言い換えるのなら苦しそうで、
「二人とも、喧嘩しないで。……うん、分かった。それじゃあ私、二人が喧嘩しないか監視するために、毎日来るね」
それから
また、
そんな日々も今年で三年目。
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