第22話 幼馴染とお出掛け
「今日一緒に、水族館、行かない?」
そうやって土曜日の朝早くに
「水族館? 随分行ってなかったな。
「私はパス、課題が終わらないのよ」
「分かった。それじゃあ行くか、
「うん! 行こっ!」
電車に揺られながら数分。休日の午前中と言うこともあって人はそれなりの多く、二人は座席に座れず扉の前で立っていた。
「水族館、一緒に行くのは六年ぶりくらいかな」
「そうだな。小学生の時に行ったのが最後だから、それくらいになるな」
「懐かしいなぁ、あの時はイルカショーで
「そんなことあったか? あんまり覚えてないな」
「あったよ、すっごくよく覚えてるもん」
底抜けに明るくて、そのフォローをするのが
昔一度、小学生の頃ではあるが
普段から仕事が忙しく、家にいないことが多い両親の代わりに相手をするのはいつも
「一緒にいると楽しいから、迷惑なんて思ったことはないよ」
「うん!
当時のことを思い出してみれば恥ずかしいことだが、そんな底抜けに明るい
それがだんだんと形を持って大人しくなっていく中で、これが成長することなんだろうなって思った。
今では宿題を見てもらったり、色々と注意される側に回ってしまった。どれだけ
いや、昔も興味を持たれるような人間じゃなかったか、と少し思い出に浸りながら
「きゃっ」
「うおっ、大丈夫か?」
気を抜いていたらしい
咄嗟に踏み込んだ
「う、うんっ! 大丈夫、だよ!」
恥ずかしそうにはにかみながら姿勢を整え、
まああんな体勢、恥ずかしくないわけないよな。そうとは分かりつつも、
「そうか、大丈夫ならよかった。手すり、ちゃんと握っとけよ」
「う、うん、ありがと……」
変な誤解を生まないように出来る限り優しく
逆効果だっただろうか。
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