第6話 点の特性は常に変化し続ける
「う、う~ん……まあ、いいんじゃないかしら」
「ちょ、ちょっと
「あのな
試着室のカーテンを開いたばかりの
一通り、流行りの服装と言うものを試したと二人は言った。そのすべてを
「まあ、なんだ。流行りもんは似合わなかったが、ジャージよりはましだろう」
「そうね。その格好ならジャージよりは幾分かましよ」
「ご、ごめんね。あんまり力になれなくて」
「気を落とすな
双子ながらに
綺麗とは言えない顔の造形、悪い目つき、ぱっとしない雰囲気。これが本当に双子なのだろうかと、鏡に呟きかけたことも少なくなかった。ここ数年では、一度も呟いた記憶はないが。
だが、
「そ、そんなこと、ない、と……思うんだけど」
咄嗟の否定は尻すぼみになっていた。
「あっ、そ、そうだ! か、髪! 髪の毛を、整えてみようよ!
「ぼさぼさ、な」
「ああっ、別に悪い意味じゃなくって! なんと言うか未完成って言うか足りないって言うかああもうっ、
「
「……分かった」
ジャージで美容院に行くのは格好が付かないと
やってきたのは二人が行きつけにしている美容院だった。
「あれ、
「今日は私たちじゃないよ、こっちのぱっとしないの」
「誰がぱっとしないのだ……しまった」
「ああ、そっちの。えっと、待って当ててみる。分かった! 噂の
どうやら今この美容室は他にお客がいないらしい。手の空いている様子の、恐らくこの店の店主らしき女性が楽し気な様子でそんなことを言った。
「そう、その不出来な弟。こいつの頭を何とかして欲しいのよ」
「み、
「大丈夫、分かってるよ。さ、双子君。ここに座って。身を任せてくれていいからね~」
「えっと、分かりました」
とりあえず言われた通りにする。郷に入っては郷に従い、その場の流れに身を任せる。これが
「え、ちなみにリクエストとかあるの?」
「あー、えっと」
「大丈夫よ、一番似合うと思う髪型にしてやって。こういう時はプロに任せるのが一番なんだから!」
「俺の意見を聞けよ……いやまあ、特にないですけど」
「そういうことならやってみようかな! 久しぶりに好きなカットが出来そうで嬉しいわ! お客さんの中には絶対に似合わない髪形にする人がいるからちょっとうんざりしてたんだよねぇ」
「それ、私たちの前で言っていいの……?」
ここの常連らしい
ならまあ、任せてもいいか。
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