第3話 グラフ上の点の数に限りはない
「
スプリングが
「あ、悪い、呼ばれてる。それじゃあまたな」
『うん。来週、忘れないでよ』
「どうせ毎日一緒にラフオブやるんだし、忘れないだろ」
『それもそっか。それじゃ、また明日』
「ああ」
「
「
「ん」
リビングに向かうと、二人の女子が
片方は緩い部屋着を纏ったポニーテールの少女。もう片方は着飾ってこそいないがもう一人よりは外見に気を遣って良そうな格好の長髪の少女。
フォークを持ったままポニーテールを揺らして言う。
「どうせまたネッ友? とゲームでもしてたんでしょ」
「そうだが、何か悪いのか?
「いやいや、流石にそれはないって」
「ほら二人とも、早く食べよ。冷めちゃうよ」
「あ、ごめん
「なんで俺なんだよ……。悪いな
「うん、召し上がれ」
四人がけの机に
そんな日常風景の中で、三人は時には雑談を交えながら夕食をとった。
「ご馳走様。それじゃ」
食後、食器を片付けた
「ちょっと待ちなさい
「ん? なんだ?」
「私の勉強見て行きなさい」
「何で上からなんだよ……」
言いながらも断る気はないのか
「というか
「実は私も分からないところなんだ」
「あー、てことは数学か」
「そう! ほら、ここよここ!」
食事を終え、物のなくなっていた机の上に広げられた教科書を
「あー、ここな」
「はい? 呼んだ?」
「違う、呼んでない。……これは一見すると複雑そうな式だけど分解して考えれば簡単だぞ。取り合えずこの数式を記号に置き換えて計算してみろ」
「何で上からなのよ」
「教えてるからだよ……」
「
「あ、ごめんね。でも、二人はやっぱり双子なだけあって似てるなって」
「はぁっ!? 全然似てないわよ! これのどこと似てるって言うの!?」
「声がでかい……
「うん。もう十年以上一緒にいるけど、似てるなって思うよ。たぶん、性別が入れ替わったらそのまま同じ人になるんじゃないかな?」
幼馴染の言うことなら間違いないのだろうかと
「いやいやいや! どうしてこんな友達ゼロの根暗と同じになるの!?」
「ああだから声がでかいって言ってるだろ! あと根暗は止めろ! 普通に悪口だろ!」
「だから何よ! あんただって声がでかいって言ってるじゃない!」
「事実だろうが!」
「根暗だって事実でしょ!?」
「んだと!?」
「なによ!」
ダイニングで放たれた二人分の怒号が響く中、
「やっぱりそっくり」
「「どこが!?」」
「ほら、息ピッタリ」
堰を切ったように笑いだした
「はいはい、そういうことにしておくわ。それと
「分かった。
「うん、ぜひ」
目元に浮かんだ涙を拭いながら
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