いやんなっちゃうお化け
天川裕司
いやんなっちゃうお化け
タイトル:いやんなっちゃうお化け
私たちはある日、遊園地に遊びに行った。
そこで有名なお化け屋敷があったので、
「一緒に入ろう〜♪」
となり、友達3人で一緒に入った。
キャーキャー言いながら
ずんずん奥へと進んでいく。
ワー!!ガーー!!
お化けがひっきりなしに出てきて、入った人たちを驚かす。
キャーキャー!
ここのお化け屋敷は人形とかじゃなく
本当に人が入ってパフォーマンスしてくれるので、
その分また怖かった。
私はでもそういうのに結構慣れていたから
人が入っててもそれほど恐怖と言うのでもなく、
どちらかと言うと
「ここも子供が入って喜ぶ遊び場なんだから」
なんてどこか少し冷めた目で辺りを見回し、楽しんでいた。
他の2人は結構怖がりだったので、
ずっと屋敷を出るまでキャーキャー。
そして出てきて、
「あー怖かったね〜」
なんてホッとした感じの笑顔で言い合いながら、
私もそれに調子を合わせ「怖かったね〜♪」なんて
笑いながら返してた。
そこのお化け屋敷は有名ながら
少し規模が小さい遊園地でもあったので、
お化け屋敷に入ってお化けを演じる人たちが
舞台裏とも呼べる屋敷の裏で、
打ち合わせしてたり駄弁ったり、
そんな光景も見て取れていた。
「でもこう言うのはちょっと隠して欲しかったかな」
舞台裏のそんなの見ちゃうと
種明かしをされてるようで少し興ざめちゃう。
でもその辺りが又ほのぼのとして、
見る人によっては面白いのかもしれない。
「あ、あれお給料かな?」
その舞台裏でお偉いさんが来て、
お化けのパフォーマンスをしていた人たちに
茶封筒を渡していた。
「ありがとうございます、また使ってください♪」
みたいなことを言って、パフォーマーたちは
とりあえず散っていく。
私はなぜかそのうちの1人に注目した。
私はこう見えて少し霊感があり、
その人だけは他の人と少し違うと思ったのだ。
ついて行くと案の定。
途中からその人の足がーーっと消え、
直立不動で進んでいった。
やがてその人は私の気配に気づき振り向いた。
そして一言…
「いやんなっちゃうね。お化けも今じゃこうして、お化け屋敷なんかでバイトしなきゃなんなくなったんだから」
と言ってポッと消えた。
お化けも今じゃ氷河期の時代だったのか。
「もうどこ行ってんのよ!」
友達の声が後ろから飛んできて、3人でまた歩き出す。
あの人の事は2人には言わない。
言ったらもう多分二度とここに来なくなるだろうから。
「にしてもお化けがお金もらって、何に使うんだろう?」
そんなことも思いつつ。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=xeHUX2qPpCI
いやんなっちゃうお化け 天川裕司 @tenkawayuji
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