10代から20代の時に書いた詩(24)

天川裕司

10代から20代の時に書いた詩(24)

ギターも、声も、夢も、性格も、お金も、何もかも全部君にあげる。その方が何も考えないで、楽でいい。


布団から肩半分で、風邪引いちまうよ。ただでさえ、こんなに寒いのに。


『睡眠不足』

臆病が大好きになった。もう臆病から離れたくない。気分がいい。どこまでいってもずっと臆病続き、続いても飽きないのが、好きな証拠。臆病な孤独が大好きなんだ。それなしじゃ生きて行けない。臆病者だからここまで来れたんだ。だからこれからの成り行き全部をもう捨ててしまいたい。この時の気持ちが明日街のどこかでも分かるといい、何の心配もしたくない。それで満足できるように神様が上手くしてほしいんだよ。


『利口』

頭抱えてベッドに埋れ込んだ。何も考えられない。何も持たない手の軽さが嫌と言うほど悪い印象に残っていく。煩わしさ、この一言に尽きる。生きる事が嫌なのに、苦痛、恐怖が大嫌いな臆病者。暴れられずに賢い自分を生かす為に、もう一人の自分を殺して、理解出来ない他人(だれか)と話し合う。結局そうだ。孤独を突き破る事なんて出来ない。じゃあ早く気付いて、近道に見えた方を取る方が利口だろう。


今日怒っている人を見た。馬鹿らしいと本当に思った。


する話と言えば、女の子(異性)の事ばっかり、この時期だからか、そういう繰り返しで聞いていると、正直死にたくなる。生きようと思わない。思いたくない。クリスチャンというのを知ってから結局汚れて最期の幕を閉じるのか。もうあの娘も嫌、この娘も嫌、あの人も嫌、この人も嫌、周りに生きる事を馬鹿らしく思わす人形全てが大嫌いなんだ。本当、皆消えてしまえばいいのに。


3月2日(火)

違う店で働いた。そこのMr副店長も一生懸命パソコン打ちながら、あちこちへ走り回ってた。生きる為にあんだけの事して生きるのか。(笑)よくもまぁ、一生懸命生きる財産探しですね。


〝最近暗い唄聴かなくなったね。〟言われちまった。まぁ図星って事はないけれど少し腹が立ったね。時が過ぎれば行った事もないような道に出てみたい。〝何?この明るさ〟。

暗い唄が一番落ち着くって言ったじゃないか。それがロック入れの車(カー)ドライバーなんて。でも駄目なんて言っちゃいけないんだ。もうそんな歌じゃ利かなくなった現代人なんだから。


鳥肌が立つほど愛を忘れた。楽しい人はいつまでも楽しい場所に居て、楽しくしてりゃいい。とてもじゃないが、あんな明る過ぎて面倒臭いところ好きになれない。欲の絡み道だ。


どこに行けばあの時見てた安快があるのか。木がある場所を彷徨った、風が吹いて、夜で、楽しい場所も探した。どこに居ても、そこに在るのは女だ。とても頼れない理性が整理取れない儘、欲の鏡が目の前を塞ぐ。いつの間にか僕の手を温(ぬく)める何だ。ざわざわ鳴る木の葉が、いつになく凄まじい。在るのは、欲染みた女の姿。切れたテープは強さを消し、周りの勢いを増して強くさせる。臆病に届くこの手を大きく伸ばして幸福を手に入れた。


何を待って、何を主として生き続く。僕という主はどこにでも周りを付けたがる。意味の無い言葉や精念を持っては、他人の言う行動を気にしたがる。愚かだ。何も無くて、そこに居座るのは愚かだ。もう一度だけでいい。あの頃に居た自分の思いを見てみたい。詰らないとは分かっていたとはしても、そこに行ことした僕が真実(ほんとう)ならばそれは嘘の無い真実なんだ。今はどんな時期(とき)か、無暗に手探りした僕が泣いて笑った。


人が作り出したもので満足を覚えるのは神様が与えた欲の所為だ。人間の間は欲の精念だ。時期が外れれば、熱中する事も無い。上手く機転を変えるのが下手なら、一度目を瞑れ。白さの中でその白さがどれだけのものか、微かでも分かる筈。首を傾げて生きてて、何が落ちてた?面白かったかい、厭味でなけりゃ何だ。平凡な崩壊か。


あの女(ひと)が太宰治を好きだと言った。僕も好きだ。分からない字があった場合、僕はその女に訊かずに太宰氏に訊いてみたい。そんなに可笑しくもない筈さ。その恥ずかしさも一瞬の筈だ。新しいものを何回も聞けば古くなるのと同じように、全ては詰らない繰り返しだ。しかしアルコールが入れば何も言えない、僕は詰らない人になるだろう。


よくまぁ奇麗に並んだものだ。隠せもしない盲目を慌てて失くそうとするのは無理だよ。何度か汚い端点が出てるよ。いつか気付いてた筈なのに、笑っちゃったね。


何も映る事の無い映画の端に、僕の思っていた事が映ってた。女とは違う僕の違いを、今にも馬鹿にされそうに映っていた。昔から、人は無い物強請り、譬え、僕が後ろ姿でも、後ろから僕の欲は分かるだろう。最期に映って消えるものは、最初に映って消えたものだ。


人の存在を誰が暴く、そういうしてる内に終りそうだ。その事も、世の中も、僕の考えも、どこかの女たらしが、俺に人生の説教を始めやがった。俺はつい馬鹿らしく、白け笑いの口無しで言う事を聞かなかった。明日の空回りは今だ。潔い傷も、浅い夢も、何も思えない利口人ならその方が目を逸らしてるという事になる。白さは嫌いだ。手も足も出ない孤独人が、何も無い目の前と心を捨て始めた。結局、薄情だ。


素直に深く考えた。すると書くべき言葉がまるで見付からない。経験を積んで今の為の砂山だってんなら、生活全てが欲しくない。その欲を背後(うしろ)に落して眠って狂いたい。


欲が要らない。欲が僕を殺しに来る。僕が死ぬ時は、欲が明日を生きる時だ。広い思いやりが知らない欲を引き連れないように、死んだ後の僕を信じた神様の中に唯、戻してほしい。何も他の知らない恐怖に分らない怖さを覚えたくない。何も思わないのが一瞬の価値なら、僕は罪人に成りたくない。


この世への欲と、憎しみで何も書けない。長い間人と会いたくもないのだ。


大学辞めればこれからの自分は生き地獄だと、周りの目も変わるし、親は泣いて、嫌気が差す。じゃあ辞めて生きているから駄目なんだ。辞めて死んでしまえば何も関係なくなる。死ぬ事は怖い。だけどその怖さの向こうに何か楽しい自分だけの安地があってほしい。神様には、今まで信じて来て、この世は要らず、その願いばかりして来た。人がある以上、平安は無い。この世である以上真実へは辿り着かない、辿り着くべきでもない。人の横というのが嫌なんだ。死んで永遠の楽地へ行けるとすればそれに越した事はない。憧れも夢も自分もみんな消えるんだ。そこに居れば、この世での周りの後悔も愚痴も聞かないで済む。勝手にすればいいんだ。もう関係が無い。


生きる事がしんどい、酷く疲れる。死ぬ恐怖がなくなればいい。


〝物が欲しいと思う時に手に入るって幸せな事だね〟

〝うん、でもずっとそれが続くと忍耐が付かなくなるのよ〟

〝あ、そうか…〟


臆病は治んないよ、やっぱり。


もう一人の俺が言うんだ。恰好良くないじゃないか、って。


もう一人の俺が言うんだ、長渕っちゃん、恰好悪いじゃないか。


『新人類・世代・愚人』

今の時代、物が、感動が、みんなチャチになってるんだよ。何が涙だ、何が憧れだ、みんな見たくもないチャチだ。唯の一歩前のどっちでもいい性欲地獄の世の中は、俺は生きたくないね(笑)。だって出る幕無いもの。どこに行ったって過去も平安も無い安息地なんだから。唯の弱さだけが息をする時代だ。…出来る事なら意志で思い続けた天国へ行きたい。


僕の臆病は、生きる事を拒む。だけど死ぬという前の苦痛は、それだけを拒んでしまう。溜息吐いてる場合じゃない。探さないといけないんだ。今の僕が求めなきゃいけない、幸せを。

例えば誇りに被った枕を逆さにしたとしても、僕の夢の確かさは変わらないだろう。白が色褪せて、僕の命は灰色に落ち始めて、淋しい暗さに見舞われた。今の流行が大嫌いで仕方の無い僕は明るい死を選んだ訳だ。痛みというものだけが、落ち着いて僕を見下ろすんだ。随分間が空いて、恐怖が未だに舌舐擦(したなめず)りしてるけど、それに向かわない訳にはいかない。時間が過ぎるという悔しさは、出逢いの糸が切れる程に少し嫌なものだ。でも生きたかったんだ、ずっと平和っぽく過ごしたかった。ただ人が居るという無情から寄せる憎しみは消えないけど。遣り過ごすしか無いんだ。時は命より長く歯痒い、最期の華が散る事無く咲いたとしても、他人(ひと)には、その人の才能というものを分らないまま見過ごすだろう。今の時代、大きく二つに分かれ、正義か悪かの盾の壁が出来上がった。だから敢えて、僕は未来を見ようとはもう思わないようにしてる。人の才能を誰が決めるじゃなし、僕は唯、自分だけを精一杯受け継いでこの身体を懸けて限りだけを生きる心算だ。それしか無い僕だけの人生に、何を飾り付けようとしたとて、他人(ひと)にはその重みまでは分からない。そしてそれが全ての人間は時に不条理を生の内から叫ぶ。神様を想う思惑は、どこから来るものなのか。真っ白に成った僕の頭と心の中では、もう殆ど何も思い浮かばない。欲なんて言う惨いものが必要とされてこの世に在る以上、僕は少なくとも、真人間には戻れなかった。さよならを言って、影にさよならをして、昔の写真を2枚捲って見て行く程の速さで過去と未来の上から逃げた。周りも地位も、富も、何も欲しくないと思う事。所狭しの純情は、汚れた偏見(かたくな)で握り潰そうとしても、出来ないのだ。硬くて消せない重さが、今の僕になってるのだから、それが消えたとすれば、僕自身の存在理由は勝手に無くなる。可笑しさ半分、笑顔集めて歌い歩いたのに、周りの人達は誰も歌ってくれない。悲しさ半分、泣き顔見せて俯き歩いたのに、周りの人達は誰も悲しんでくれない。楽しさ半分、夢を集めて、踊り歩いたのに、周りの人達は誰も笑ってくれない。何故に何も知らなく、僕から見て罪を犯してる人達はあんなに何食わぬ顔で居られるのですか。落ち着けない。独り言言ってても切りが無いくらい、次から次へと流れて来る。何時(いつ)くらいに成れば命を創られたきっかけに辿り着くのか。浮ついた瞼は又、今夜も夢を見させて、今日という意味の在る筈の時にさよならをさせる。好い気なものだ。また新しい気分なんて言って明日という日を生きようとするのだから。それでしか生きて行けない、と言う友達も居るのだから。段々と解り掛けた。白々しさが見えて来た。汚い欲を隠し続けて、何処(どこ)までも行けない人間は、やがて苛立ちを覚えて、白さか黒さを好み、神様か悪魔に寄り縋る。それに疑いを持つべきじゃない人間達は又ここに集まって、同じ繰り返しへの論争を始めてる。一つ終えたとしても、矢張り愚かだ。

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10代から20代の時に書いた詩(24) 天川裕司 @tenkawayuji

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