最終話:西王母の桃って、もう一個盗めない?
「そんなことさ、もう何百年も同じことを繰り返してるからね・・・」
「疲れちゃった」
「だから、ヨシヒコが鏡を割ったときは、ガッツポーズだったね」
「これで自由になれるって・・・」
「でもね、これまで私の体をいろんな男が通り過ぎて行ったけど、
私が本気では好きになった人は誰もいないの・・・ヨシヒコのひいじいさんだって
本気で好きじゃなかった・・・」
「私が本気で好きになったのはヨシヒコだけ・・・愛したのはヨシヒコだけだよ」
「私はヨシヒコの優しさに癒されたの・・・」
「でも、好きな人の命って大切でしょう、奪えないでしょ」
「このままヨシヒコといたら、いつかヨシヒコの精気を全部吸いとっちゃう・・・」
「最初の頃は、なにも考えてなくて・・・ヨシヒコの精気を全部吸い取っちゃえば
いいやって思ってたけど・・・今は、そんなことできない・・・」
「だから、もういいの・・・私はこのままどこかに消えていなくなるから・・・」
「なに、言ってるの・・・消えていなくなるなんて、どこにも行かせないよ」
「もう男の精気なんかなくたって生きていけるんだろ?」
「そうだけど、でもエッチしたら私は自然にヨシヒコの精気を吸いとっちゃ
うんだよ」
「ヨシヒコの大事なところから、私の大事なところへ、流れ込んでくるの」
「だから止められないよ・・・」
「いいよ・・・僕の精気が必要なら、好きなだけ分けてあげるよ」
「何、バカなこと言ってるの・・・ダメだよ、そんなの・・・」
「そんなことしたらヨシヒコが死んじゃうよ」
「僕が死なない程度にエッチすればいいじゃん」
「そうだけど・・・」
「毎日やってたから、僕は痩せていったんだよ・・・」
「そりゃ、毎日エッチしてたら体力を回復する時間なんてないよ・・・。」
「エッチは一週間に一回って・・・決めておけばいいんだよ・・・一週間あれば
僕の体力も回復するだろ?」
「ヨシヒコはそれでいいの?」
「飛飛のためなら命だって惜しまないよ」
「仙女が彼女なんて、世界中探しても、どこにもいないだろ・・・しかも超可愛い
ときてたらさ・・・」
「僕はそこが自慢なんだ・・・めちゃ優越感に浸れる」
「ふたりでじじ、ばばになるまで一緒にいよう・・・飛飛」
「ヨシヒコは、ほんとにお人好しでバカだね」
「全然、人の話聞いてないんだから・・・」
「なにが?」
「あの・・・私、不老不死って言ったよね・・・歳も取らないし死なないん
だけど・・・」
「あ、そうか・・・そうだったね」
「でもいいや、僕がじじいになっても俺の彼女がいつまでも若いって・・・
それっていいじゃん」
「じゃ〜ヨシヒコが死ぬまで精気吸って、取り憑いてあげる・・・」
「愛してるよ、飛飛・・・」
「私も・・・大好きだよ、ヨシヒコ・・・」
「ところでさ・・西王母の桃って、もう一個盗めない?」
「あはは・・・いい考えだね・・・」
ってわけで水無月堂には今も中国人の女性が、カタコトの日本語で接客してる
って話だ。
おしまい。
出しちゃったんだから責任とってよね。(鏡の中の仙女) 猫野 尻尾 @amanotenshi
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