第13話:飛飛が鏡に閉じ込められた理由。
「・・・私、前は崑崙山の仙女だって言ったでしょ、その話はほんとだよ・・・」
「鏡の精ってのは、そのほうが聞こえがいいから、そう言っただけ」
「ほんとは仙女」
「はっきり言うと鏡の呪いをかけられた仙女だったの・・・」
「ヨシヒコに鏡を割らせたのは、私の呪いを完全に解くことが目的だったから」
「鏡そのものが呪いだから、それさえなくなれば怖くないからね」
「素直に割ってって言えばよかったんだけど・・・」
「私は何百年も昔、崑崙山ってところの仙女で、夜を司る仙女だから、
男の精気を吸って生きてたの・・・。
「ほんとは男の精気なんかなくたって生きていけるんだよ」
「私、不老不死だからね・・・」
「ヨシヒコの精気を吸い取ったのは、昔の習性・・・それとヨシヒコが
本気で欲しかったから」
「ヨシヒコの精気を吸い取ると、ヨシヒコ自身が私の中に入ってきて
心中、身体中幸せで満ち溢れたの・・・」
「そうなんだ・・・俺は飛飛に幸せを与えてたんだな・・・」
「でもさ・・・その不老不死って?、生まれた時からなの?」
「違うよ・・・なんで私が不老不死になったかってことを説明しなきゃね」
「その昔、私は崑崙山で西王母のお世話をする立派な仙女だったの」
「でも千年に一度、実がなるって言う西王母の大切な仙桃を、どうしても
食べてみたくなって出来心で一房盗んじゃったわけ・・・ 」
「仙桃を食べると永遠の美貌と不老不死になるって言われてるからね・・・」
「私は仙桃を盗んで食べちゃったせいで西王母に仕える七仙女に捕まって
死刑にされるところだったの」
「仙桃の盗難は一番罪が重いからね」
「でも、もう仙桃を食べちゃったあとだったから死刑にしようと思っても
死なないから殺せないでしょ」
「毒を飲ませても八つ裂きにしても火あぶりにしても死なないからね」
「だから、生きたまま呪いをかけられて鏡に閉じ込められたの」
「封印を解かない限り鏡の外には出られないようにね・・・」
「普通なら崑崙山の蔵の中で鏡の中に永久に閉じ込められたまま、誰にも
見られることなく終わってたんだけど・・・」
「どういう流れで鏡が流出しかたかは分からないけど・・・きっとお金に困った
仙人か下僕の誰かが、鏡をお金にしようと持ち出したのね・・・」
「あの鏡、当時でもけっこうな高級品だったからね」
「で、鏡は何百年もかけて、いろんな人の手に渡って行ったの」
「その度に興味本位で封印した札を剥がす人がいて、ヨシヒコみたいにね」
「で、鏡からは出られるようになったの・・・」
「鏡から出たら出たで、昔の習性で男の精気が吸いたくなるのよ、
エッチしないと体が火照っちゃうし・・・その火照りを冷ますためにも男の精気
が必要なわけ・・・」
「でも、私と寝てるうちに、みんな私の企に気づくんだよ、だんだん自分が痩せてくって分かってくるとね」
「ヨシヒコが気づいたように・・・」
「みんな、意外と用意周到だったからいつでも私を鏡に閉じ込められるようにって、
新しい呪文の札を作って私を鏡に閉じ込めたの・・・」
「その気の遠くなるような間に鏡を割ったらどうなるって考えた人はいなかったし」
「鏡は割られることなく善右衛門からヨシヒコの手に渡ったってわけ・・・」
「そんなことさ、何百年も同じことを繰り返してるんだよ・・・」
「もう疲れちゃった」
「だから、ヨシヒコが鏡を割ったときは、ガッツポーズだったね」
「これで自由になれるって・・・」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます