第6話:死人に口無し。
「だからヨシヒコになにかあったら私までヤバいかもしれないでしょ」
「分かった?」
「なんで、そう言う理屈になるのか分かんない」
「けどトイレまで一緒ってのは勘弁してくれない」
「分かった・・・そのかわりお風呂は一緒に入るんだよ・・・」
「まじで?」
そう言ったものの愛彦は内心、嬉しかった。
(若い女と?・・・飛飛と風呂だって?・・・飛飛の綺麗な体が見れる)
「でも、この家には男がふたりいて、なんで僕が君を見つけて兄貴じゃ
なかったんだ?」
「それは私がヨシヒコを選んだからだよ」
「鏡を見つけたのがヨシヒコのお兄さんだったら、私がお兄さんのほうを選んだ
ことになるけど・・・でも、私はヨシヒコに選ばせたの」
「鏡の中にいて、なんでそんな器用なことができるんだよ」
「仙女だからだね・・・」
「そう言っとけば、全部片付きそうだな・・・」
「だって、女子高生じゃないもん・・・あ〜ヨシヒコ、スケベだ
私が女子高生のほうがよかったんでしょ?」
「誰がスケベだよ・・・なんでそうやって勝手に・・・・」
「だけど〜思った通りヨシヒコで正解だったけどね・・・」
「お兄さんは私のタイプじゃないし・・・なんかさ、冷たそうだし・・・」
「その点、ヨシヒコは童貞だし・・・なんてたって私のタイプだから・・・」
「え〜そんな理由?・・・童貞って・・・なんで俺が童貞だって分かるんだよ」
「童貞じゃないの?・・・使ったことないんでしょ?、おちんちん」
「いいよ、そんなことどうだって・・・」
「でも、ひいじいさんはあの鏡をどこで手に入れたんだろう?」
「それは善右衛門本人に聞いてみないと分かんないね」
「聞きたくても聞けないけど・・・」
「死人に口無しだね・・・誰でも死んじゃったらおしまいだよ・・・」
「そう言うこと平気で言うんだな、ひいじいさんに世話になったんだろ?」
「ヨシヒコのひいじいさん、今頃天国でスケベなことやって楽しんでるよ」
「あ、地獄かもしれないけど・・・」
「
「そこまで、言う・・・」
(ひいじいさんは、この子を金儲けのためだけに利用したんだろうか・・・
俺は、絶対そうはならない)
(汚い手を使って出世したり金持ちになっても虚しいだけじゃないか)
愛彦は生真面目な性格だった。
世間的に言うと、騙され易くて貧乏くじを引くするタイプ。
俺はひいじいさんとは違う、そう愛彦は思った。
愛彦は、ひいじいさんほど社交的じゃないからきっと真似をしようと 思っても
できなかっただろう。
人間は姑息じゃないと裏では生きていけない。
いいことも悪いことも含めて善右衛門と愛彦では経験値が違いすぎていた。
だからたぶん、この先、飛飛にいけない仙術を使わせるようなことはないと
愛彦は思った。
でも、そんなことなど飛飛に通用するはずもなかった。
もうすでに飛飛の本当の思惑は始まっていたのだから・・・。
つづく。
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