第4話

 そして、パラパラと色とりどりの火花が落ちていった。


「綺麗だなあー」

「お、花火か!」


 鯛も俺も踊りで少し疲れていたので、海の上にあるかき氷の屋台へ向かった。蜃気楼のように朧気な店員は、金を払うと、ニッカと気さくに笑った。

 

 屋台の傍に、竹でできたベンチがあって、そこへ鯛と座る。


 こんな厚い日だ。かき氷は、一気に食べると、頭がキーンっとするからいいんだなあ。


 しばらく、鯛と一緒にかき氷をバクバクと食べていると、声を掛けられた。


「隣。いいですか?」


 浴衣姿の綺麗なお姉さんだった。

 団扇片手で、かき氷を持っていた。


 何故かこの人だけ。姿が朧気じゃないんだな。

 俺は綺麗なお姉さんから、目を逸らしてそっぽを向いた。


「あ、いいッスよ」


 鯛がニッコリと竹のベンチで空きを作る。


 俺は綺麗なお姉さんを見て、鼻の下を伸ばしている鯛の頭を叩くと、かき氷を口いっぱいにかきこんだ。


「かき氷。美味しいね」

「ああ、美味しいッスね!」

「……」


 俺はそっぽを向いたまま、かき氷をひたすらにかきこんでいた。 

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