第2話 胡乱な悪魔
ざあざあと雨が降る。
天使は今が夏でよかったと心から思った。
何よりもこんなゲリラ
こうぜんわいせつざい、だったか。そんな罪に問われて、天使界で
シャッターの下りた
「大丈夫ですか?」
まさか声がかけられるとは思っていなかった。
視界が少しだけ暗がり、天使は首をもたげてその足の持ち主を見上げる。
ゆうに百九十は超えそうな長身。しかし一番おかしいところは全身が真っ黒で夏には似つかわしくなくきっちりスーツを着込んでいた。
天使はその
「
「やっぱり天使だったんですね。私、初めて見ました」
悪魔は悪魔らしくない
なんなんだ、こいつ。
「天使って地上では見えないんですよね? というか、どうして降りてきているんですか?」
「それはぼくが
「
悪魔の正論は天使の心を
天使は
「好きなだけ言えよ! 言いたいだけ言い終わったらさっさとねぐらに帰れ」
「じゃあ言い終わらなさそうなので、
「な……何言ってんのお前」
お
天使はきゅっと身を
「何もしませんよ。雨も強くなってきたし、あと十分は止まなさそうですよ?」
「十分しか、だろ」
「家に来たらお風呂がありますけど」
「風呂入んねえし」
「でも地上の雨は汚いですよ。
ほら立って、と悪魔は天使の腕を引っ張る。
天使は強い力と体格差で負けた。ぐっと体が持ち上がり、果ては悪魔の腕の中に納まる。聖母が赤子を抱きかかえるときのような姿勢だった。
「ばっ、
「年上なんですね。私は先日で二百です」
じたばたと手足を動かすが、大きい身なりの悪魔は腕の中で猫が嫌がる程度でしかないのだろうか。
「ゆ、
「保護です」
そんなわけで天使は心地いい
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