第33話:イノシシ笛
ブィイイイイイ、ブィイイイイイ、ブィイイイイイ、ブィイイイイイ
僕の指笛、イノシシを呼ぶ音色が東南魔境の奥深くに鳴りひびく。
朝1番に【身体強化】をして魔境の奥深くに入った。
エマとリナ、荷役442人は魔樹小枝を背負って商業ギルドに行った。
昨日は狩りをしながら魔樹小枝を集め、商業ギルドに売った。
初めてで手慣れていない事もあって、色々と無駄な事をしてしまった。
エマとリナが獲物を追い込んで僕が狩るまでの時間が、ムダだった。
その時間に、魔樹小枝を3往復分も貧民街に運ぶ事になった。
最後にやったように、エマとリナが荷役を率いて商業ギルドに行っている間に、僕が1人で狩りをすれば効率が良かったのだ。
だが魔樹小枝を貧民街に運んでいたから、今日は朝1番に僕が独りで狩りできる。
東大城門が開けられると同時に、エマとリナが荷役たちと商業ギルドに行ける。
エマとリナが魔樹小枝を売って戻ってくるまで1時間はある。
余り早く戻っても待っている時間がムダになる。
イノシシ笛に集まるブタ系魔獣は多いが、小型は無視して奥深くに入る。
別にどうしてもブタ系魔獣が狩りたい訳ではない。
神々の祝福を得られる経験値になり、その上で高く売れる魔獣なら何でも良い。
なんとなくの勘だが、もう少しで祝福されそうな気がするのだ。
前回狩ったレッドコーナーエルクはかなりの大物だった。
あれを狩って祝福されないとは思っていなかった。
祝福の回数が増えれば増えるほど、次に祝福される基準が厳しくなるのだろう。
「僕に加護を与えて下さっているオキナガタラシヒメノミコト、魔獣の中でも強大と言われるブルーアルクトドゥスを狩る力を授けてください【身体強化】」
多くのブタ系魔獣を見逃したが、ようやく大物を見つけた。
建国王の騎士が健在な頃に狩られて以来、誰も狩っていない強大なクマ系魔獣、青い毛並みの怪物、ブルーアルクトドゥスを僕が狩る。
狩る方法はいつもと同じ、左右の頸動脈を斬り裂いて失血死させる。
ワンパターンと言われるかもしれないが、魔獣を狩るのは食べる為だ。
美味しい肉を得るための獲物だと考えれば、方法は限られる。
異神眼で強大な魔獣を殺す方法を調べて、色々知る事はできた。
安全に強大な魔獣を倒す方法はそれなりの数あった。
だが獲物を狩る方法としては問題が多かった。
アバラ3枚と言われる、肋骨の間に剣や魔術を叩き込んで心臓を破壊する方法は、頸動脈を斬り裂く方法に比べると血抜きが不完全になる。
多くの血が体に残っている状態で心臓が止まってしまうのだから、当然だ。
できるだけ高く売る事を考えれば、肉質が落ちる方法は使いたくない。
肛門から直腸大腸を狙う方法や、膣口から子宮を狙う方法も、殺すという点だけからいえば悪い方法ではない。
だが心臓が動いている間に傷口から大便の菌や汚れが血に乗って全身に広がる。
大便臭くなった肉を美味しいと思う人間は、ほとんどいない。
食肉用に殺す方法としては、最悪の方法だと思う。
防御魔力、防御気力、防御聖力、毛皮、皮下脂肪、筋肉に守られていない急所を狙うのなら、目と口、鼻と耳があるが、どこも正確に狙うのが難しい。
僕のように上手く狙えるとしても、確実に殺そうと思えば問題がある。
どの急所の穴から剣や魔術を叩き込むにしても、最後は脳を破壊する事になる。
実は、脳を美味しくて食べたいと望む貴族や大金持ちが、かなり多いそうだ。
この世界では、内臓は食材ではないが、脳は高級食材なのだ。
僕は脳なんか食べたくないが、商品として売る事を考えたら脳は破壊しない方が良いと、商業ギルドの買い取り係が教えてくれた。
「僕に加護を与えて下さっているオキナガタラシヒメノミコト、魔獣の中でも強大と言われるブルーアルクトドゥスを美味しく狩る力を授けてください【疾風斬】」
なので今回もワンパターの頸動脈斬り裂きでブルーアルクトドゥスを狩る。
【神々の祝福を与えます】
【神々の祝福を与えます】
おっと、経験が溜まっていたのかブルーアルクトドゥスの経験値が多いのか、最初の頃にように1度に2回も祝福された。
完璧に血抜きが終わったら、エマとリナと待ち合わせている魔境周辺部に行く。
4000kg級のブルーアルクトドゥスであろうと軽々と運べる。
★★★★★★
「ちょっ、ちょっと、ちょっと、2日も続けておどろかさないでよね!」
「そんな化け物を見せられたら腰が抜けちゃうよ!」
エマとリナがあきれた表情と声色で文句を言う。
確かにちょっと調子に乗り過ぎていたかもしれない。
魔樹小枝を運ぶ仕事に集まってくれた子供と女性が腰を抜かしている。
「いや、ごめん、悪かった、エマとリナに良い所を見せたくて、つい」
「そ、そんな事を言ったって、好きになったりしないんだからね!」
「そ、そんな言葉で口説かれたりしないんだからね!」
僕のような子供のチンプな言葉で、毎回照れてくれるエマとリナがかわいい。
このままずって3人で仲良く暮らしていければ良いな。
「あの~、ショウ様、魔樹小枝を拾っても良いでしょうか?」
最初からずっと荷役の代表をしてくれている男性が申し訳なさそうに聞いてきた。
「ああ、いいよ、小枝は運べるように斬り落としてあるから、拾い集めてくれ」
エマとリナたちよりも少し早く集合場所に戻れたから、待つ間に人数分の魔樹小枝を斬り落としてあった。
実はちょっと失敗した事があって、多ければ良いと思って斬り落としてあった魔樹小枝や普通の木を、僕たちがいない間に他の奴が持って行ってしまったのだ。
魔境の物は誰の物でもないので、その場に誰もいなければ持って行っても盗んだ事にならないという慣例を、僕は知らなかったのだ。
持って行った事を怒っている訳じゃない。
だけど、魔樹小枝や薪が大量に王都に運ばれると、買取価格が下がるかもしれないので、ちょうど良い量しか斬り落とさないようにしたのだ。
「拾い終わったな、落ちないようにしっかりと結んだな、だったら行くぞ」
「「「「「はい!」」」」」
「田中翔平の能力」
「パラメーター1:基本設定」
種族:汎人族
性別:男
年齢:14歳
体格:並
容姿:並
祝福:41回
「パラメーター2:能力」
筋力 :51:筋力に関する適性で物理な攻撃や防御、力仕事などに影響
体力 :51:持続力に関する適性でスタミナや耐久力などに大きな影響
知力 :51:知性に関する適性で魔法の習得速度や成功率に大きな影響
精神力:51:精神に関する適性で魔力、精霊力、魔法力などに影響。
器用 :51:器用さに関する適性で命中率、素早さ、特殊能力取得などに影響
魅力 :51:好悪に影響して精霊魔術の習得や成功率、交渉の成功率に影響
信仰心:51:信心に関する適性で神聖魔術の習得や成功率などに影響
「パラメーター3:魔術属性」
陰属性:42:
陽属性:42:
木属性:42:【疾風斬】【烈風斬】【旋風斬】【襲風斬】【暴風斬】【嵐風斬】
:【疾雷斬】【烈雷斬】【旋雷斬】【襲雷斬】【暴雷斬】【嵐雷斬】
火属性:42:
土属性:42:
金属性:42:
水属性:42:
「パラメーター4:スキル」
調理師: 61:生物素材加工の能力と適性、調理の能力と適性
審美眼: 46:価値を見定める目と適性。
鑑識眼: 46:能力を見定める目と適性。
剣術 : 36:剣を使う能力
木地師: 28:木工細工の能力
革職人: 28:革細工の能力
農夫 : 28:農耕能力
鍛冶師: 14:金属を加工する能力
「パラメーター5:感覚力」
視覚: 51:目に映るものを判別する能力と適性。
音覚:141:音を判別する能力と適性。
触覚: 51:触れたものを判別する能力と適性。
味覚:141:味を判別する能力と適性。
嗅覚:141:匂いを判別する能力と適性。
六感:114:魔力などエネルギーを判別する能力と適性
「パラメーター6:神与スキル」
鍛冶: 46:金属素材加工の能力と適性
裁縫: 46:繊維素材加工の能力と適性
革細: 46:動物素材加工の能力と適性、皮革加工の能力と適性
木工: 46:植物素材加工の能力と適性、木材加工の能力と適性
彫刻: 46:鉱物素材加工の能力と適性、石材加工の能力と適性。
錬金: 46:金属素材加工の能力と適性、金属素材錬成の能力と適性
調理:141:生物素材加工の能力と適性、調理の能力と適性。
魔法:141:魔法の能力と適正
異神眼:141:全てを見定める目の能力とその適性。
「パラメーター7:特記事項」
神運:神々からの寵愛を受けているとしか思えない幸運
地球での善行によって異世界神のお気に入りとなっている。
異世界での能力値が100倍になる補正が働いている。
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