第11話:懲りないクソ冒険者ども

「俺たちのパーティーに入れ、1から色々教えてやる」

「そうだぜ、手取足取り、胸も揉んで大人のやり方を教えてやるぜ」

「「「「「ギャハハハハハ」」」」」


 冒険者ギルドの重くて丈夫なドアを開いて中に入ると、正面受付前でクソ冒険者たちに絡まれている少女が2人いた。


 昨日俺が悪質なパーティーをコテンパンに叩きのめしたのに、同じ事を繰り返させる頭も性格も悪い冒険者ギルドの職員に腹が立つ。


「止めろ、クソ野郎ども!

 金をもらって見逃しているのか、それとも主になってやっているのか知らないが、それでも冒険者ギルドの職員か、恥を知れ恥を!」


 昨日小便をチビッた、派手で品のない厚化粧をした受付嬢と男性ギルド幹部。

 2人に殺気を放ったら泡を吹いてひっくり返った。


(僕を加護してくださっているオキナガタラシヒメノミコト様、極悪非道な連中に罰を与えられる力を授けてください【身体強化】)


 2人の少女冒険者に絡んでいたクソ連中の目に殺意がある。

 昨日のクソ冒険者たちの仲間かどうかは分からないが、戦いは避けられない。


「なんだテメェ、ガキは引っ込んでろ」

「ケツの青いガキは家でかあちゃんのオパイでも飲んでない」

「死にたくないなら黙っていろ!」

「「「殺すぞボケ!」」」


「頭の悪くて性根が腐っているのは、昨日のクソ野郎たちと同じだな。

 クランが冒険者ギルドと手を組んで新人を食い物にしているのか?」


「何を言っている、これは新人を助けてやっているんだ!」

「親切で大人にしてやるんだよ!」

「いいかげんな事を言いやがるとタダじゃ置かないぞ!」

「殺すぞ、クソガキ!」


「昨日の事を何も聞いていないようだな。

 新人を無理矢理教育しようとするぐらい能力があるのなら、勝負しよう。

 6対1でも10対1でも20対1でも構わない。

 相手を殺さない限りなんでも有りの勝負だ。

 お前らが勝ったら僕の持ち物全部奪ったうえにドレイに売ってくれて良い。

 昨日バカな冒険者から奪った100万アルが全部手に入るぞ。

 ただし、僕が勝ったお前らを丸裸にして持ち物全部奪う」


「言ったな、もう何を言っても手遅れだ。

 おい、お前らも手を貸せ、はした金だが公平に分けてやる。

 女も俺たちが味見した後で好きにさせてやる」


「「「「ラッキー」」」」」

「100万アルなんてウソだと思うが、本当なら大儲けだぜ」

「ガキが金を持っているとは思えないが、なぶり殺しにできるのは楽しみだ」

「ナマイキなガキを教育してやるよ」

「ギャハハハハハ、俺も一口乗せてもらうぜ」

「ガキの教育は大人の役目だからな」


「俺も……」

「バカ、死にたくなければ黙って見ていなさい」

「え、何言って……」

「良いから黙って座ってな、どうしても行くなら命の保証はないよ!」


 昨日荷運びを手伝ってくれた女冒険者が、知り合いの若い冒険者を止めている。

 クソ野郎たちをまとめて再起不能にしたかったけれど、しかたがないです。

 19人、たちの悪い連中にお仕置きです!


「これで全員ですか、命のいらない者からかかって来なさい」


「舐めんな、クソガキ!」

「「「「「死ね!」」」」」


 舌戦を戦わせていた奴が真っ先に斬りかかってきた。

 殺さないと言う前提のはずなのに、殺す気で斬りかかってきた。

 とはいえ、身体強化をしている僕から見ればスローモーションです。


 グッシャ!


 殺さない程度に下あごを粉砕する。

 力加減をミスすると、頭に強い衝撃を与えて殺してしまう。


 殺さない約束になっているが、こんな連中に美味し物を食べさせたくないので、少々の危険は無視して下あごを粉砕する。


 両膝と両肘の関節を粉々に砕いて、一生ベッドから下りられないようにしたとしても、口が有ると美味しい物を食べる楽しみが残ってしまう。


 口をなくしてしまう事はできないが、下あごを砕いてスープ以外食べられないようにすれば、食事の楽しみを奪える。


 ギャッ、グッ、ゲッ、ガッ、ギャフ、ゲッフ……


 一切の手加減をせずに、流れるように四肢の関節と下あごを砕く。

 最初に新人に絡んでいた6人に加えて、便乗してきた13人も手加減しない。

 もう新人が苦しめられないように、新人がオトリにされて殺されないようにする!


「もう文句のある人はいませんか?

 いないのなら、こいつらを丸裸にしますよ?

 ワイロをもらっていたギルド職員の方々、助けないんですか?

 助けないと黒幕の貴族に叱られませんか?!」


 僕は受付の方に顔を向けてクギを刺しておく。

 今後何か言ってくるようなら、ワイロを受け取っていた不正職員として訴える。

 黒幕と敵対している貴族が攻撃材料に使うぞと、脅しをかけておく。


「お二人方は被害者ですから、分け前を渡しましょう」


 どうしていいのか分からず立ち尽くしている少女2人に話しかけた。


「いえ、助けていただいたのに分け前なんてもらえません」

「私たちは絡まれていただけで、戦ったのは貴男です」


「そう言われても、被害者が補償されないのはおかしいです。

 グルになって分け前をもらっていた冒険者ギルドは、冒険者間の争いには不介入と言って、処罰もしなければ補償もしないでしょう。

 こういう事件は、心ある冒険者同士で裁くしかないのです。

 被害者として正当な補償を受けてください」


「いえ、私たちにも誇りがあります、助けてもらった上にお金までもらえません」

「そうです、そんな恥知らずな事はできません!」


「だったらパーティーを組みましょう。

 パーティーメンバーとして手に入った利益を分配しましょう」


「ダメです、この人たちを退治した時はパーティーではありませんでした」

「そうです、パーティーではなかったのに分配するのはおかしいです」


「ですがお金がないと、こいつらの仲間を避けられるホテルに泊まれませんよ?

 こいつらは単なるパーティーではなく、大規模なクランなのです。

 並の宿に泊まると、寝ている間に売られてしまいますよ」


「「なっ!」」


「この勝負の利益を分配するとか補償するとかは別にして、身を守るために僕とパーティーを組みませんか?」

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