ステップ7 あなたもわたしのこと……いやになっちゃった?
「でも、待って」
「……せっかく、きれいに催眠術にかかってるんだものね」
「白状ついでに、他の質問もしてみようかしら」
「さあ、犬になりなさ……じゃなくて」
「……こここ、これは、確認のための催眠術だから」
「サイキックス部の部長として、確認するだけだからっ」
「さっ……目を閉じて。わたしの言葉に耳をすますのよ」
「……あなたは、今のサイキックス部に、満足していない?」
「……新しい部員を、入れたいと思っているの?」
「わたしとあなた、ふたりだけの……サイキックス同好会では……足りない?」
「たしかに、わたしはサイキックス同好会だって聞いて、がっかりしたわ」
「でも、それ以上に、あなたとふたりだけの部室の思い出が……大切なの」
「だから、新しい部員を入れるのは……いやだ、と思ってしまった」
「こんなの、わがままよね」
「ごめんなさい。でも……知りたいの。あなたの気持ちを」
「さあ……いって。わたしだけに……」
「えっ……?」
「同好会のままでもいいと思ってるの?」
「わたしをよろこばせたくて、新しい部員を入れようとしてただけで、本当は……同好会のままでもよかったの?」
「……なーんだっ。そうだったの~!」
「ふふっ、不安になって、損したじゃないっ!」
「それじゃあ、これからはわたしとあなたの、サイキックス同好会ね?」
「あなたの風邪も治ったようだし、これですべて解決ね!」
「明日からは、来れるわよね?」
「……はあ?」
「明日も来ないって、どういうつもりっ?」
「なんで? 催眠術で、すべて吐き出したじゃない!」
「それも、あなたの本心なの? だから、白状したってこと?」
「……え? 風邪なんて引いてない?」
「じゃあ、いったいどういうつもり?」
(最終下校のチャイム)
「もう……催眠術を解かないと」
「すぐ解けるから、大丈夫よ」
「……すべて、うまくいったと思ったのに……。こんなことになるなんて」
「あなたも、わたしのこと、いやになったの?」
「わたしのことを、超能力オタクの変人だって、みんないうんだもの」
「あなたも、わたしに愛想をつかしたんでしょう」
「だから、部活に来なくなったのね」
「うっ……ひっく……」
「こんなのって、ないよ……」
「……あなたがいるから、同好会でもいいって思えたのに」
(彼に主人公が、ぎゅっと抱きしめられる)
「……ひあっ? ちょ、えっ……なんで、こんな……」
「誤解してるって、どういうことよ」
「ずっとっ? ずっと誤解してるって……この、わたしが?」
「催眠術になんて、かかってなかったって……っ? えっ?」
「……うそ」
(涙声で)
「かかってなかったの?」
「そんなあ~~~~~っ」
「……はい?」
「すき?」
「……わたしのことが?」
「……シバイヌじゃなくて?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。