第3話 はい、それはワタシの係です

「ヒメ、水開けて」

 起きた2匹のネコに連れられて『コンビニ』なる店に連れてきてもらった。

 当然誰もいない店内、ヒンヤリとした空気。

 よく理解できないが『電気』なる動力は生きているそうだ。

「まだ電気があるんだよ、ねっクロさん」

「うん、不思議なもので」

「へぇ…電気?」

 まさかネコに文明を教えてもらう日がこようとは…。


 チョビさんが液体が並んだ棚に前足をタシッと付いて柔らかなボトルに入った水を飲みたがっている。

「どうやって開けるのだ?」

 先ほどの缶詰のように見た感じでは開け方が解らない。

 最も缶詰とて缶切りがいらないことには驚いたが。

 この容器は…なにか刃物でもあればいいのだが。

「ヒメ、こうひねるんだよ」

 チョビさんが呆れたようにボトルの先端を前足で押さえて回す。

「こう?」

 カキッ…

「なんか感動…」


 皿に水を注ぐと2匹ともペチャペチャと音を立てて水を飲む。

「こうしているとネコなんだけどな~」

 ワタシも他のボトルを開けて水を飲もうとした。

 プシュッ‼

「えっ?」

 水が破裂しやがった?

 落としたボトルから泡立つ水がシュワシュワと音を立てて弾けている。

「ヒメ…それは炭酸水だ、僕は好きではないがヒトは美味そうに飲むぞ」

 クロさんがソレを教えてくれた。


 まさかネコに飲み物の説明を受ける日がこようとは…。


 そんなわけでワタシは、ネコに色々と教えてもらいながら異世界で生きています。

 ワタシがいた世界と比べ大分、文明が進んだ異世界。

 この世界でワタシはネコのために缶詰を開けたりペットボトルを開ける係をしております。


 動く階段、なんでも冷やす箱、なんでも熱くする箱もあります。

 ネコは何でも知っています。

 残念なのは知っているだけということです。


 なんのために、この世界に来たのか?

「はい、ネコにできないことを手伝うために来ました」

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