第2話 あっ、そういうことですか

「クロさん、よかったね~」

「そうだねヒトがいてよかったよ」

 相手はネコとはいえ、ワタシがいて、よかったと感じてくれている。

 それだけでも、この誰もいない世界で救われたような気がした。

「ありがとう」

 なんか久しぶりに素直に言えた気がした、いや、お礼なんて久しく言ったことなどなかった。

「ついてきてヒメ」

 チョビさんが走り出す。

 ネコは足が速い…そして3次元をフルに活かして動く。

 全力で走るとか?

「ついていけねぇ…」

 あのクロさんという巨大なネコにすらついていけない。

 追いついては離されを繰り返すこと10分ほど…

「なんか膝がカクカクしてきたんですけど…」


「ココだよヒメ、早く早く‼」

 チョビさんがワタシを急かす。

 ガクガクの膝を押さえてなにやら店らしき建物に入る。

「チョ…チョビさん…ココは?」

「ん? お食事処」

 ノソッとクロさんが奥から缶詰を引っ張ってきた。

「ヒメ、開けてくれ」

 足元にゴトンッと缶詰を置いた。

「ん?」

「早く、早く」

 チョビさんがワタシを急かす。


 パキョッ…

「うわぁぁああ」

 チョビさんとクロさんが、ものすごい嬉しそうな顔で缶詰を見ている。


「美味しいの?ソレ」

 いつまで食っているんだか、2匹のネコはガッツ食いしていた。

 満腹になるとゴロンッと腹を出して寝転んだ。

「久しぶりに缶詰食べたね~クロさん」

「うん、やっぱりカリカリばっかりだと飽きるよねチョビさん」

「ヒメありがと」

 チョビさんはワタシの足元でコトンッと眠りだした。

「ヒメ…おやすみ」

 クロさんも寝てしまった。

 時折、寝言を言う2匹のネコ。


 缶詰は開けれなかったんだな。

 喋りはするものの…ネコなんだな。

「なんか…ワタシも腹減ったわ…」

 とりあえずネコが目を覚ましたらワタシの、お食事処に案内してもらおう。

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