第741話 幸せな日常
海で魚を釣って孤児院に持っていく。ダンとミケはこのまま孤児院にいてくれるみたいだが、ジョンとマルグリッドはドワンの星とここを行ったり来たりしているようだ。
皆でお刺身や焼き魚を堪能する。子供達は初めて食べる刺身にうぇ~とか言ってたが食べ出すと良く食べた。
「ぼっちゃん、タコはねぇのか?」
「タコは明日だ。たこ焼きするぞ」
「めっちゃ久しぶりやな」
「そうだな。まぁ、明日は焼き役に徹してやるよ」
モモを見ると普通に皆と遊んでいるのをみてホッとする。
キキララとダン達にこれからの方針を聞いてみる。
「ダン、自分達で稼ぐって何をやるんだ?」
「前まではあちこちの店の手伝いに行かせてたんだ。そのまま雇ってくれる所もあるし、色々な仕事を経験出来るしな」
なるほど、職業体験も兼ねるのか。
「デーレンが色々と仕込んでくれたからここでも商売やってみるか?」
「何やらすんだ?」
「簡単な物を売れば作って売ればいいんだよ。ポップコーンとかな」
「あれ、子供に作らすのに危なくねぇか?」
「ポップコーンマシーンを作ってやるよ。出来たやつに塩バターとかキャラメルかけるだけだから簡単だろ?」
「ぼっちゃん、そんな機械とか孤児院にあるとかおかしくねぇか?」
「いいんだよ。それにこうやって便利な機械があれば自分達もこんなものを作りたいとか思ってくれればいいんじゃないか?」
思っても無理だろとか言われたけどそんな事はないと思う。成せば成るのだ。
翌日は屋台並みに延々とたこ焼きを作る。お前ら後で腹が破裂しても知らんからな。捕まえて来たスライムをコーラスライムにしてあるからコーラも飲み放題だ。子供達の腹はコーラとたこ焼きのコンボでそのうちはち切れるだろう。
「ゲイルさん、これ面白いですね。この鉄板はたこ焼きしか作れませんか?」
あっ!
「これでパンケーキみたいなカステラを焼いても良いぞ。専用のを作ってやろう」
そして、孤児院でポップコーンとベビーカステラを売り出す事にした。
孤児院はキキとララの名前からキラキラ孤児院と名付け、商品もキラキラポップコーン、キラキラカステラと商品名登録をしておいた。セントラルではどちらもレシピ登録されていなかったのでレシピも登録。収入は孤児院にしておいた。
ポップコーンの容器は別料金。1度買って次から持ってきて貰ってもいいし、自分の容器を持ってきて貰ってもいい。そのうち子供達が自分でデザインした物を売ってもいいな。
ベビーカステラは子供達でも出来るように生地を流し込んだら蓋してひっくり返すだけでいいものにしておく。あとは串でペぺッと取り出してやればいい。そしてベビーカステラは串に刺して売ることに。串なら自分達でも作れるからな。
チルチルと一緒に魔道具作り。チルチルにも魔法で魔法陣を描ける様に教えながらだ。セントラルは滅び掛けた時に魔法陣やポーションの規制対象が崩れてそのままだ。やりたい放題出来る。
ポップコーンマシーンとベビーカステラ用の鉄板を作成。ついでにソフトクリームマシーンまで作っておいた。コーラは売らない。実質魔法水だからな。
こんな魔道具なんてどこにもないだろうがっ、とまたダン達に怒られたけど、稼いだお金で自分達のおやつを作れた方が安上がりだろ?
「ゲイルパパ、これも売れるかな?」
「ポットにワッフルコーンの作り方教えて貰え。それを容れ物にしたら売れるぞ」
「わかったっ!」
ほら、みんなそれぞれ考えてやりだしたじゃねーか。
孤児院だけで商売するのは狭いので隣の民家を購入して店に改装していく。スラム街だから値段も安く、余裕で買えたのは助かった。キラキラショップはベビーカステラ、ポップコーン、ソフトクリームのお店だ。
「やっぱりパパって凄いね。私達だけの時は何にもできなかったのに」
「経験の差とかもあるからな。今お前達は孤児達と一緒に成長してる最中だ。ダン達のやることをよく見て学んでいけ」
「うん・・・」
「どうした?」
「ちょっと抱っこして欲しいかなぁ」
キキララを抱っこしながら魔力を補充してやる。ラムザと交代で魔界に帰って魔力を補充しているみたいだが、自分達ではできなかった事がどんどんできていき、少し自信をなくして甘えたくなったのだろう。
「パパ、私達も頑張るね」
「うん、やりたいようにやってけ」
店の許可を取って、お金が取れるようになるまで皆で練習していく。失敗したのは皆のおやつになるから楽しそうにやってるわ。
「じゃ、ポット。皆の監督を頼むわ。デーレンは商売関係の税金とか実践で教えてやってくれ」
「任しといてっ」
また俺達はエデンに戻って、ヘンリー夫妻を家に招いた。
モモはヘンリー夫妻をおじいちゃんおばあちゃんのように慕いだし、老夫婦も実の孫のように可愛がってくれた。なんとなく、嫁さんの実家みたいな感じがする。
こんな幸せな生活が続き、モモは義務教育学校に通う歳になった。キラキラショップは連日盛況だ。孤児院を卒院する子達も出始め、かっぱらいの常習だと言われていた子達もちゃんと就職していったり、冒険者になったりしていった。
モモが学校に行っている間はめぐみをお昼寝させて、各星の管理をしていく。魂庫から休み終えた魂を出してセット、各機械に異常がないか確認。ダンとミケの星は海洋生物が増えるように調整。
違う日は冒険者で稼ぎ、モモが学校の間にめぐみとお手々繋いでお買い物してご飯作り。近所の人もバカ夫婦を見慣れたようだ。めぐみは子供と同じで嬉しそうに始終まとわりついてるからな。
そしてモモにも学校の友達がてきはじめた。
「パパ、晩御飯に友達連れてきていい?」
「何人ぐらい来るんだ?」
「5人」
「カレーと焼き肉どっちがいい?」
「焼き肉ー!」
わちゃわちゃ子供達がやって来て頬張って食べる。
「モモの家のご飯旨ぇっ」
「好きなだけ食べてけ。トウモロコシ食うか?」
「食べるーっ!」
皮付きのまま焼いて、仕上げにバター醤油を掛けるととっても良い匂い。肉ではち切れそうな腹でも食う子供達。特に男の子はいい食べっぷりだ。
子供に混じってるめぐみのほっぺたは醤油でべたべただ。
めぐみのほっぺたを拭ってると一人の女の子がじーっと見ている。
「どうした?」
「モモちゃんち、パパとママ仲良いね」
「めぐみは子供と変わらんからな。いつもこんなんだぞ」
「うちのパパとママは全然話しもしないし、そんな事しないよ」
「まぁ、うちが特別なんじゃないかな? ほら、お前もほっぺたに醤油付いてるぞ」
とその子のほっぺたも拭ってやると真っ赤になった。おっと、これぐらいの女の子にしてやるのまずかったかな?
「モモ、明日学校休みだろ? みんなで釣りにでも連れてってやろうか?」
「みんな釣りに行く?」
「行くーっ」
「じゃ、ご飯食べたら一度帰って着替え持ってこい。朝早いからここで泊まって出発しよう」
「いいのーっ?」
「そのかわり早く寝ろよ。朝は暗いうちに出るからな」
子供達はお腹をさすりながら家に帰宅し着替えを持ってやって来た。
そんなに広い家ではないので、男の子女の子関係なく雑魚寝だ。
「なぁ、モモパパ。冒険者ってどんなの?」
「薬草採取とか魔物討伐とか色々だぞ。俺は討伐系メインだけどな」
魔物討伐の話を聞かせて欲しいとのことでエイプやコングとかの話を聞かせてからトントンしておいた。
翌日は浮遊船でサビキ釣りや小物釣りだ。子供達はキャッキャ喜んで釣り、下処理を全部してお土産に持たせた。
「パパっありがとう。みんな喜んでたっ」
「良かったな、友達たくさん出来て」
「うんっ♪」
晩御飯はモモが釣ったカサゴの唐揚げとアジフライにした。
うん、娘の釣った魚は美味しいね♪
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