第715話 神様人化計画
「坊主、そろそろいいぞ。もう時間を進める初心者応援ポイントも使いきったから一発勝負じゃ」
「なぁ、ダン。なんでドワンの所からなん?」
「おやっさんには散々世話になったろ? それを返すのが筋ってもんだ」
「そらそやな」
【ミッション】
ドワンの星を発展させろ!
~ドワン信仰への道~
【裏ミッション】
全員ヒト化計画
ポットとデーレンの魂の昇華
【メンバー】
・ドワン:武具と酒作りの伝導
・アーノルド、アイナ:英雄の見本
・チュール、ブリック:料理の伝導
・ダン、ミケ:国家作り
・ジョン、マルグリッド:憧れの騎士と令嬢
・魔王ゲイル、ラムザ、キキ、ララ:人々を脅かす魔族
・人ゲイルとシルフィード:野菜と果物、ポーションの伝導
・チルチル:ラッキーモンスター創造や魔道具作成販売
・召喚ポット:お菓子の伝導
・召喚デーレン:流通の伝導
・神ゲイルとめぐみ:見守り他
ベントとサラはお留守番というか自分の星をがんばれ。サラと俺は何にもならないからな。自力でなんとかしたまえ。エイブリック達も自力でなんとかなるだろう。
「坊主、おまえ達が人類を脅かす魔族とは何をするのじゃ?」
「汚魂救いとドワーフや人族達への嫌がらせ」
「は?」
「ここのドワーフ達はまだショボい武具しか作れないだろ? だからくそみたいな武器だと笑って壊してやろうかと。まぁ破壊役だね」
「それがどうなるんじゃ?」
「チルチルに錬金釜作って貰うから、おやっさんは凄い武具を作り出してよ。良いものは壊さないから。で、錬金釜が自分でも欲しい、だから頑張って働く。こんな図式。で、チルチルには人工魔物を作って貰う。倒したら魔石や魔金を落としたり、治癒の魔石を落としたりするレア魔物なんだよ」
「ほう、そいつは面白いのぅ」
「父さん達は魔物討伐の手本になって。こっちは父さん達に勝てるような魔物を作るから」
「ほぅ、今の俺に勝てるだと?」
「まぁ、すんなり勝てるとは思わないけどね。負けはしないんじゃないかな?」
「くっくっくっく。おもしれぇじゃねぇか。壊されて泣くなよ」
「じゃ、親子関係を忘れて勝負だね。ここにいる間はライバルとして父さんじゃなく、アーノルドって呼んでいいかな?」
「構わんぞ。覚悟しとけよ」
「ダン達はドラゴンシティを作ったみたいに国を作ってくれ。人ゲイルとシルフィが手伝うから」
「よっしゃ」
「ジョンはそこの憧れ騎士。強さを正しい道に導いてくれ。マリさんはみんなの憧れのお嬢様。ジョンと結婚していたの忘れてね。皆で取り合って貰うから」
「えっ? どういう意味だ?」
「マリさんが誰の者でもなかったらめちゃくちゃモテると思うんだよ。貴族制度がないから男全員にアタックチャンスっ!」
「なんだよそれっ!」
「嫌ならもう一度射止めろよ。俺も参戦するかもしれないし」
「なにーーーーっ!!!」
「あら、ゲイルが私を求めて下さるの? どのゲイル?」
「魔王ゲイルだよ。年齢はこれぐらいでいいかな? マリさんより歳上だから包容力ありそうだろ?」
「甘やかせて下さるのかしら?」
「もちろんっ」
「ゲイルっ、きさまーーっ!!!」
「ジョンも俺が弟と思わない方がいいよ。ライバルと思ってね。魔王ゲイルは強いよ!?」
おれはアイナも名前呼びしてみる。
「アイナっ」
「えっ、えっ、どうしたのゲイル?」
「貴様っ! 母親まで名前で呼ぶつもりかっ」
「親子関係忘れろって言ったろアーノルド」
「しかしだな、アイナの事まで・・・」
「いつまでもアイナを独り占め出来ると思ったら大間違いだよ。すでに俺達は変わったからね。もう皆は自由なんだよ。ここで気に入った魂がいたらその人に合わせて姿が変わっちゃうかもしれないしね。俺は嫌だからマリさんにもアイナにもミケにもアタックするかもしれない」
「なんだとーーっ」×旦那衆
「マリさんはずっと綺麗だ。アイナはめちゃくちゃ可愛いし、俺はアイナと約束したことはアーノルドみたいに忘れないし、一緒に面白い事をしてやれる。あとミケこっち来てみ」
「う、ウチにまでなんかするんか?」
「ちょっと撫でさせて」
とミケのケモミミとしっぽを優しく撫でる。
「ちょっ、ちょっ、皆の前でやめぇや。恥ずかしいやんか」
「俺、ミケの陽だまりの匂い好きだったんだけどね、今はそれがなくてちょっと残念」
「あんた、ようウチの事も嗅いでたもんな」
「だろ?」
「そやかて、自分の匂いなんてわからんからどうしてええかわからんわ」
ダンはこれしきの挑発にのってこないからダメ押しする。
(昔、お前の胸触ったことあったろ? あの身体になったら自然と出ると思うよ)
(そうなん?)
(よーく、思い出してイメージしてみ)
ミケが唸ってうんうんとその時のイメージを持つ。俺とミケは馬が合う。きっとあの時のイメージが強く残ってるはずだ。
「スンスン。あっ、ミケの匂いするわ」
「ほんまかっ?」
「うん、あの陽だまりの匂いだ。お帰りミケ。後で記念にサバ焼いてやるよ。ここだとしばらく俺しかサバ持ってないからな。ミケだけに焼いてやるよ」
「やったぁ!」
ミケは餌に釣られて俺にゴロゴロした。
「ちっ」
やっとここでダンが嫌そうな顔をした。
アイナにもやっておこう。
「アイナの匂いってどんなんだったろうね? 俺は血の繋がりがあったから母親の匂いとしか感じなかったんだよ」
「臭いと言いたいの?」
「いや、母親は母親の匂いだよ。小さい頃はいい匂いと思ったけどね。血の繋がりがなくなった今ならどうなんだろ?」
スンスンしてやっても無臭だな。
「アーノルドがよくこっそりと嗅いでたんだよね。可愛いくなったアイナはどんなんだろと気になるよ」
「ふふふっ、魔王ゲイルってエッチなのね」
「スッゴイらしいよ」
そういうとシルフィが真っ赤になったのでアイナもなんの事かわかったようだ。そして俺がなぜこのような事をするのかも理解したような気がする。アイナと俺はリンクしてたりするからな。俺の思考は筒抜けなのかもしれん。アイナはこれでアーノルドとの事を強く思い出したのだろう。この歳のアーノルドはエイプだったろうからな。
スンスン
わっ、めっちゃ好きな匂い、嗅ぐんじゃなかった・・・ 褒めるのやめとこ。女体化を確認出来ただけで十分だ。絶対に気付いてSっ気出してからかってくるに違いない。あっ、そういやアーノルドと俺の好みは似ている。めぐみを嗅がさないようにしよう。アーノルドにめぐみをスンスンされたくない。
「ゲイル、私はどうなのかしら?」
マルグリットが髪の毛をふわっとかきあげてゲイルに聞いてくる。
「もう女の人って匂い。女性の中の女性だよ。男はみなくらっとするんじゃない?」
そういうと嬉しそうにクスクスと笑った。こういう褒め方しか出来んけど、ジョンはそう受け止めてはいない。マルグリッドは俺に綺麗な女性だよと認めて欲しいだけなのだ。あとは気にすることなく甘えさせてくれる存在。
さて、これで旦那衆に強烈な嫉妬心を与えられただろう。皆にとってゲイルは男であっても安牌だったのがそうではないと思ったはずだ。
アーノルド達は男体化していないから女体化した匂いもわからない。ふっふっふ、他の男に妻が嗅がれた悔しさを味わいたまへ。その嫉妬心は独占欲だ。人には欲が必要なのだよ。
ーここに来る前ー
「シルフィ、チルチル。向こうで俺がマリさん達にする事に焼きもちを焼くな」
「何するの?」
「魔王ゲイルが皆にアタックする」
「えっ? みんな相手がいるんだよっ」
「だからだよ。ずっとそのままでいて欲しいからアタックするんだ」
「どういう意味?」
シルフィードとチルチルにただ存在する者には性別がないことを説明する。二人は初めから女体化してから気付いてないのだろう。
「だからみんな性別を持たないと、他の魂に魅かれて変わってしまう恐れがあるんだ」
「でも、それで本当にゲイルの事を好きになっちゃったらどうするの? アイナさんまでいるんだよ?」
「父さんの想いが母さんを引き留めなかったら仕方がないね。父さんが悪い」
「ゲイルはアイナさんのことどうするつもりなの?」
チルチルがそう聞く。
「うん、俺が引き受けるよ。母さんと俺は気が合うし」
「うわっ、サイテーっ」
「な、そのうち俺の事をサイテーと思う日が来たろ?」
「母親でもいいなら私でもいいじゃないっ」
「甘い物は大切にしまっておきたいんだよ」
「また訳のわからないことをっ」
うん、訳がわからんだろなチルチル。お前は多分俺の・・・
「で、どうしてめぐみさんと神ゲイルは一緒に見守りなのよ?」
シルフィードはゲイルを独り占めするめぐみに面白くないようだ。
「めぐみは俺達の恩人でもあるんだ」
「どういうこと?」
「シルフィードの魂はここから俺がいた世界に行き、俺の前世と結ばれた後にまたここへ戻ってきた。俺は前世の世界からこっちに来てまたシルフィードと結ばれたんだ」
「えっ?」
「俺の前世の妻の名前は
「えっ?」
「何か未練があると魂は昇華しない。シルフィの最後の未練を無くして魂を昇華させたのはめぐみなんだよ」
「そ、そうだったの・・・」
「言おうか言わないか迷ったんだけどな、ずっと嫉妬心を持つよりいいだろ?」
「うん」
「ゲイル、私は? 私はなんかないのっ?」
「チルチルも俺の前世の世界の魂だったんだ。だからあのパソコンとか俺の教えた魔法陣の理論とかすぐに理解出来たろ? チルチルが俺の事をそんなに思ってくれるのは繋がりがあったのかもしれんな」
「ど、どんな繋がりかな?」
「それは俺にもめぐみにもわからん。シルフィの事が解ったのもたまたまだ。でもチルチルとは何かあったのは確かなんだろうな。そうじゃなきゃあんな場面に出くわすことはないからな。俺も気付いていない魂のどっかがお前を助けに行けと言ったんだと思うぞ」
「そっかぁ、私は初めっからゲイルと繋がってたんだぁ。ねぇ祝福して」
チュッ
「うん、幸せっ!」
「坊主、皆を焚き付けてよかったのか?」
「面白そうじゃん。ラムザ達と魔王城作って父さん達と戦うよ。どっちが勝つと思う?」
「そりゃ坊主じゃろ。魔法有りじゃろ?」
「もちろん。全盛期の父さん達が本気でやったらどれぐらい強いか見たかったんだよね。おやっさんもパーティー組んで戦いに来たら? 本気でやっても痛いだけで死なないから」
「坊主は死なんのか?」
「どうだろね? 死んでも皆と同じになるだけだから気にしなくていいよ。ラムザやキキとララは死んじゃうかもしれないから全力で守るし。本気の戦いの方が良いものが生まれると思うよ。だからおやっさんもパーティー組むなら本気で来てね」
「まったくお前というやつは・・・」
「おやっさんも早く相手見つけてね」
「うるさいっ。余計なお世話じゃっ」
こうして魔人ゲイルによる神様人化計画が始まったのである。
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