魔人ゲイルは忙しい編
第710話 プロローグ
「あーっはっはっは! 汚魂どもめっ! まとめて
ブオン
魔界と呼ばれる世界からヤギを召喚する為のゲートが開く。
めぇ~ めぇ~ めぇ~。
目が4つで人と同じ口を持つ黒ヤギが魔界から召喚されて、汚れた魂を咀嚼していく。快楽や自己の利益の為に人を殺したり等をして魂を汚れた者達を
そして汚魂はこってり味を好むヤギ達のおやつなのだ。こうして魔神ゲイルは無数にある世界に赴き、ヤギ達に
「うっぎゃぁぁぁあっ」
ヤギに魂を食べられて断末魔をあげる汚魂達。
魂は生まれ変わる。が、こってりと汚れてしまった魂は生まれ代わりの際の自動魂洗浄では汚れが落ちず、汚れたまま生まれ変わり又悪事を働く。落ちない汚れが付いた魂は不要だ。これ以上汚れた魂に悪さをさせないための駆除は救済なのである。
「ふう、今日の汚魂救いはこれぐらいでいいか」
お勤めの終わった魔神ゲイルは魔界へ戻る。
ゲイルがまだヒトであった時の妻、シルフィードはどれにしようか迷って、
「今日は魔王ゲイルにしよっと♪」
ずるん
魔界の女王ラムザは、
「では我は人ゲイルにするか」
ずるん
「あーっ、ズッルーイ! 人ゲイルは私達のパパなのにーっ!」
ゲイルとラムザの子供、キキとララはいつも自分達を甘やかせてくれる人ゲイルを先に母ラムザに取られてお拗ねモードになる。
魔界に戻るとゲイルと繋がりのあった者達がその日の気分に応じて神ゲイル、魔王ゲイル、人ゲイルと選んで持っていく。
魔神ゲイルは神と魔王と人が混ざった存在。神ゲイルは癒しを、魔王ゲイルは欲望を、人ゲイルはどちらもバランス良くあわせ持つ。
残った神ゲイルは少し知力の足りない愛の女神のめぐみの星に行く。
「ぶちょー、お帰り~! 今日は何食べさせてくれんの?」
「ただいま。肉系と魚系どっちがいい?」
「魚がいい!」
「じゃ、サバ釣りに行こっか」
「うん♪」
「おっ、今日はサバやん。当たりやっ」
「ぼっちゃん、タコワサねぇのか?」
他にもグラタンはないのか、唐揚げはないのかと様々な者達がゲイルにあれはないのかと聞いてくる。
「もー、たまには自分達でなんか作れよ。皆暇なんだろ?」
元々生物であった者達が魂の修練を終え、存在するもの、すなわち生物達が神と呼ぶものになった。しかし、ゲイルの周りは相変わらず生物として過ごした時と同じような生活をすることを望み、同じことを延々と続けていた。
「やっぱりここで食べよ♪」
シルフィードは魔王ゲイルと共にめぐみの星にやって来た。ラムザ達も人ゲイルと共にやってくる。
「なんじゃ皆揃っておるのか。坊主、ウイスキーをくれ」
ドワンは相変わらず酒を優先。
「ゲイル、今日は何ゲイルが残っておるのじゃ?」
ミグルはいつもゲイルを要求するが、与えられることはない。
「売り切れだ」
「毎日毎日それではないかーーっ」
「お前にはエイブリックとアルがいるだろうがっ」
「ちょっと、マルグリッドさん、勝手に魔王ゲイルを持ってかないでっ」
あちこちで自分専用ゲイルの取り合いが始まるのも日常だ。
神ゲイルと魔王ゲイルはさほどこの状況が気にならないが、人ゲイルはうんざりする。
「合体 魔神ゲーーーイルッ」
ゲイルは元に戻り皆に説教を始める。
「みんな自分の星作ったんだろ? だったらそこからお供えが来るように発展させろよ」
そう、星とは神と呼ばれる者達が楽しむ為に作られた世界。ここもそうなのである。
「そやかてな、ぜんぜん上手いこといかへんねん。何があかんか見に来てぇな」
俺のも、俺のもと皆が上手くいかない原因を聞いてくるので、しばらくゲイルは各星をみて回ることにしたのであった。
これは「ぶちょー、今度の人事異動は異世界ですって」の続きのお話。
魔神ゲイルは今日も忙しくなるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます