第673話 閑話:あまーい
今日はマルグリッドとデートだ。
「ゲイル、腕を組んでいいかしら?」
「どうぞ」
クスクス
「どうしたの?」
「いいえ、ゲイルって本当に大人の男の人になりましたわね」
「マリさんもママじゃん」
「今日は一人の女性ですわ。それにジョンともこんな風に腕を組んで外を歩いたことありませんのよ」
「王都は人目があるし、ジョンはこういうの恥ずかしがるからね」
「そうですわ。いつも真面目で真っ直ぐで一生懸命ですの。ただ、もう少し遊び心があっても宜しいのではと思ってしまったり・・・」
「親子で遊びに来ればいいじゃない。水着ではしゃいだら楽しいと思うよ。スッゴい水着でもここなら人目がないところもあるし」
「スッゴい水着ってどんなのですの?」
こんなやつとビキニを説明してやる。
「こ、こんなの裸より恥ずかしいですわっ」
「あと何十年かしたらこんなのが普通になるよ」
「そうですの?」
「そう。で、好きな人とキャッキャウフフして、水掛け合ったりとかするんだよ」
「キャッキャウフフですの?」
「そう、キャッキャウフフ。今度ジョンとやってみなよ。子供の面倒見ててあげるから。二人きりで誰も居なかったら思いっきりやれるでしょ?」
「日に焼けてしまいそうですわ」
「日焼け止めを開発してあるから大丈夫だよ。シルフィもすぐに真っ赤になるからね」
「それはシルフィードの為に開発なさったの?」
「まぁ、そんなとこかな」
「ふふっ、愛されてますわね」
「そうかもしんないね」
お弁当を食べてたわいもない話をして日が傾きだしたので帰る事に。
「マリさん、バイクに乗ってみる?」
「怖くありません?」
「怖かったら降りてドアで帰ればいいし」
「スカートでも乗れますの?」
「まくっちゃえばいいんだよ」
どうせ中はカボチャパンツなんだからとは言えないけど。
スカートをたくしあげて巻き込まないようにきゅっとくくっておく。マルグリッドは真っ赤になってるけど、ふくらはぎごときで俺は恥ずかしくはない。すでに全裸を見てるしな。
「ゲイルは不思議ですわね」
「何が?」
「男性ならこういうのを恥ずかしがったり、嫌らしい目で見たりするものではありませんの?」
「子供達の世話してるからね。同じだよ」
「まぁ、この歳になってまだ子供扱いして下さるの?」
「マリさんは昔からぜんぜん変わらないよ。子供の時からずっとこうでなければって殻の中にいるだろ? その中に子供がまだいるんだよ。時々解放してやらないと可哀想だろ? 子供は遊びたいし甘えたいものなんだから」
クスクス
「はい、出来たよ。落ちないように掴まっててね。あまり飛ばさないようにするから」
初めは怖がってたマルグリッドだが、慣れると共に風が気持ちいいと思っているようだ。
満足した所でバイクを停めてスカートを元に戻してドアで戻る。
「ご飯食べていくよね?」
「ふふっ、ジョンがもうくたくたになってると思いますから屋敷で食べますわ」
「じゃあ、ジョンが泣いてるかもしれないからそうしてあげて」
「あっ、そうそう。ポットとデーレンが結婚しますのよ」
「本当? よかったねぇ」
「ええ、本当に」
ポットは無事に想いを上書き出来たんだな。デーレンも守ってくれる人が出来て良かったな。
「ゲイル」
「何?」
「殻の中の子供と遊んでくれてありがとう」
マルグリッドはそう言って屋敷に帰って言った。
今日はミケだ。
「なんかしたいことあるのか?」
「なんもないで。こないしててくれたらええねん」
俺の膝枕で横向きに寝るミケ。
「ダンはこんなんしてくれないのか?」
「ゆっくりしたい時でも触って来たりするやろ?」
あー、聞きたくないわぁ。
「なぁ」
「なんや?」
「ちょっと撫でてぇな」
言われた通り頭を撫でてやる。ゴロゴロとは言わないが言ってるみたいだな。
「なぁ、ウチってどんな匂いなんや?」
「陽だまりの匂いだな。お日様の匂いってやつだ」
「ようわからんけどそれってええんか?」
「顔をうずめてスーハーしたくなるような匂いだな。俺は好きだぞ」
「してもええで」
「あほか。ダンに殺されるわ」
「ダン怒るやろか?」
「さすがに嫁はんに顔うずめてスーハーしてたら怒るやろ」
「そやな。ウチも他の女がダンをスーハーしてたら嫌やわ」
ミケとはこんなたわいもない話をしてノンビリ過ごした。ご飯も焼き魚をガッツリ食って満足して帰っていった。
ベントはサラと来て子供と一緒にサビキして楽しんだ。サラは二人の子供の面倒を見てるみたいだな。ここはあれで上手くいくのだろう。
ミーシャも子供達をザックに任せてやって来た。マリアはさんざんズルいと言ってたらしいが。
「ぼっちゃま、お肉焼いて下さい♪」
お昼からお肉をもりもり食べて、隣で寝て下さいと昼寝し、お風呂はさすがに一緒に入れないため頭を洗ってやり、また少し寝て肉を食べて帰った。
「ゲイル、私も構って欲しいなー」
「抱っこしてやろうか?」
「うんっ」
お姫様抱っこではなく、抱き付き抱っこしてくるくる回ってやった後にバイクでのんびりとツーリングした。
シルフィードも満足したようだった。
数日後、子供達からズルい攻撃を受けて全員を甘やかせまくったゲイルなのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます