第631話 物事はまとめてやってくる
今はハーフ獣人の子達に文字を教えている。ナターシア達もここに慣れ、住民達も思ってたより獣人を受けいてれくれて特に問題は発生していない。領主の関係者だと思われているのだろう。
この子たちには義務教育が始まる前に基礎勉強を終らせ、それ以外にも教えていくことに。遊びの中に学びを混ぜるのだ。
ギターを手にエービーシーディー♪ とアルファベットを教え、ににんがし にさんがろくとか九九も教えて行く。
「じゃ、次は音楽だね。なんの歌がいいかな?」
「しっぽを出した子のやつー」
「よーし、ダンの子見ていたふにゃふにゃにゃ しっぽを出した子いっちばん♪」
キャッキャッキャ喜ぶ子供達。しっぽを出しただけで笑ってくれる鉄板ソングだ。
次はかけっこで体力作り、料理で科学的なお勉強。こうしてみな楽しみながら色々と覚えていく。
その合間に王都やディノスレイヤ領に行っては結婚式に参加し、パラグライダーの素材は南の庶民街の職人達に開発をさせる。ミンミンの所でビッグスパイダーの糸を大量に買ってきてそれで開発をさせているのだ。他の物作りも色々と開発依頼をしている。南の庶民街の領主は俺側に付き非常に協力的になったからだ。東の庶民街の領主は変わらなかったので放置。どんどん税収は落ちているようだ。
今日は予約してあった新高級宿にめぐみとゼウちゃんをご招待だ。風呂がメインなので俺1人で視察ということにしてある。料理と酒のチェックも兼ねているので全種類出すように言っておいた。
料理と酒を堪能しためぐみとゼウちゃんは念願の風呂へ。入り方を教えて女風呂へ行かす。
1人で
おー、ここの温泉もいい。初めの宿より高級にした分眺めもいい。
「ねーねー、ぶちょーこれなに?」
めぐみが壁をすり抜けてこっちに上半身だけ出してくる。おいっ、バスタオルぐらい巻けよっ。
めぐみ達は裸が恥ずかしいとかないのかよ・・・ 思いっきりめぐみの胸を見てしまった。
「これ何って言われても壁の向こうにあるのに見えんだろうが」
真っ赤になった俺は横を向いて答える。
「あっ、そっか。これよこれ」
ブッ 真っ裸でこっちに来やがった。
めぐみは男湯に置いてあるシャンプーとリンスを持って何も隠さずにこっちに来る。
バッチリ見てしまっためぐみの体はマネキンみたいだ。子供を生む事もないので先っちょがなかった。しかし、マネキンボディといえ、肌感は人と同じだし動いてると余計に生々しい。
「これで髪の毛を洗ってから泡が出なくなるまでよくすすぐ。で、そのあとにこれを付けてしばらくしてからよく洗い流せ。初めに説明しただろうが」
まさかめぐみに暴れん坊将軍してしまうとは思わなかった。湯に浸かってるからバレてないとは思うけど。
「ぶちょー、顔真っ赤だよ?」
「酒を飲み過ぎたんだよ」
「あっ、ここで飲んだら美味しいかも♪」
そのままテテテっと走って部屋に酒を取りに行って、女湯でゼウちゃんとキャッキャッキャはしゃぎだした。他の人を連れて来なくて本当に良かったと思う。
いかん、のぼせてきた。
めぐみのせいであちこちの血管が破裂しそうになったので風呂から出る。しかし、この若い身体は難儀だな・・・
冷たい水を飲んで身体と気持ちを沈める。
めぐみとゼウちゃんも風呂から出てくる。良かった。ちゃんと服を来ている。
「ぶちょー、お風呂で飲むお酒って美味しいよねー♪」
それは認めるけどもう誘うのやめよう。今度は一緒に飲もうとか言って乱入してくるかもしれない。
めぐみとゼウちゃんは朝まで飲んで食ってを続けてまたねーと帰っていったのであった。
それからもめぐみとゼウちゃんはちょくちょくと勝手に遊びにくるようになった。一応、めぐみ達の事を知ってる人がいる時しか来ないのが幸いだ。
定期的に森に移住させた獣人達の様子を見に行ったり、フンボルトとホーリックに仕事を引き継いだりとやることが相変わらずてんこ盛りだ。
こんな生活を続けて俺はもうすぐ18歳になる。この約3年間はセントラルの動きもなく、チュールもブリックも結婚した。ちなみにブリックの相手はポポだ。
目の光が消えていた獣人の娘達もすっかり元気になり、ナターシア達とドラゴンシティの一員として働いている。
マリアは段々と生意気になってきたが、俺にはぼっちゃまーと甘えて来るのがたまらなく可愛かった。
西の街と新領も実質的に手放し、ドラゴンシティの基礎も作り終えた。当初の予定通りダン達の屋敷には黄金のドラゴンが屋根に対で乗っている。なんだこれ? と訊かれたから新築祝いと言っておいた。
ここでも料理人を育て、熟成させた赤味噌を使って五平餅や豆腐の味噌田楽、味噌カツ、きしめん、味噌煮込みうどんとか名物を作っておいた。これらを総じてニャゴヤ飯と名付けておく。ドラゴンシティだけにニャゴヤ飯はしっくりくるのだ。ちょっとニャゴヤとは違う地域のもあるけど気にしない。鮎が取れる川もあったので、鮎菓子なんかも開発。
中心地はシャカエと名付け金箔を張り付けたニャゴヤタワーも作ってやった。これを見る為に観光客が来るようになったぐらいだから成功だな。
ドン爺率いるウエストランド王国軍は辺境伯領として編成されると同時に配備される事になった。
一方王都で貴族や商人達に金貨ブームが到来していた。
「ドラゴン金貨で支払いを受けろと言ってあったはずだ」
「申し訳ありません。もうほとんど流通しておりません」
「くそっ、もうあれはこれ以上出て来んのか・・・」
デザイン性で人気が出始め、純金で出来ているという事からドラゴン金貨を希少な金貨として注目した貴族が現れ、こぞってそれを手にいれようするものが増えたのであった。
初期にほんの少し出回ったドラゴン金貨は当初その希少価値にみな気付かず、ウエストランドの金貨に交換したり、流通過程で純金であるが故に削れたり曲がったりとしていたのだ。それでも現在はドラゴン金貨と解るものは倍以上の値段で取引され、未使用のピカピカなものは10倍以上の値が付いていた。
そう、ドラゴン金貨高騰の仕掛け人はマルグリッドである。マルグリッド個人は千枚、スカーレット家は2千枚の未使用ドラゴン金貨を保有していた。今後二度と世に出ない未使用ドラゴン金貨の価値は落ちる事がなく、上がり続けていくのであった。
「ぼっちゃん、ここまでの領にしてくれてありがとうな」
「仲間なんだからそんな改まってお礼を言われることじゃないよ。それより早く二人の子供を見せてくれよ」
チルチル達も成長して少し手が離れ、来年から義務教育が始まる。他のハーフ獣人の子供達は人族の子供達に混じって遊ぶようになったのだが、チルチルだけはちょっと違った。
遊ばずに学び続け、勉強も魔法も異常なほど伸びているのだ。将来は魔法学校に入りたいらしい。この調子なら大丈夫だろうな。
これも俺の英才教育と元の才能のお陰だ。基礎魔力も高かった上に俺の魔法水を飲ませて更に魔力を増やしてやっていたのだ。将来が楽しみである。
「ぼっちゃん、アルとミグルの結婚式に呼ばれてんだろ?」
「ダンとミケも呼ばれてんだろ?」
「さっきの話なんだがな・・・」
「さっきの話?」
「ほれ、子供の」
とダンは照れ臭そうだ。
「えっ? もしかして・・・」
「そうみたいなんだなこれが」
ぶわっと涙が溢れてくる。
「やっとか。そうかやっとか!」
ようやくダンとミケに子供が出来た。ミーシャも二人目が出来たみたいなので、同級生になるな。いや、めでたいっ。ちなみにベントの子供は去年産まれた。男の子だったので後継ぎ候補だな。
「というわけで、ミケは留守番させるわ。俺は出なきゃなんないけどな」
めでたい事は一度にやってくる。俺は心の底から嬉しかった。
ーセントラル王国ー
「時は満ちた。間も無くだ」
「ようやくか?」
「あの国もそろそろ完了している頃だ。もう誰も近づけるな」
「あそこのやつらはどうなっておるのじゃ?」
「そのうちにわかる。飛行挺部隊は抜かりないのだろうな?」
「ふはっ ふははははははっ。無論じゃ。100機完成しておるわい。ようやくじゃ。ようやくあの忌々しい奴等を葬りさってくれるわ! ふははははははっ」
ー大N王国ー
すでにここにまともな人は存在しない。大N王国。大国に挟まれ生き残りを掛けて裏切りや類似商品を作っていた国。それもつい数年前までの話。今や魔物と人であった者達の巣窟となっていた。
エルフの秘草・・・ 甘い香りは人々や魔物に快楽を与えて強烈な依存性をもたらす。そして秘草自身は陽の光を魔力へと変換し自ら巨大化させて更に魔力を生み出すことにより大量の魔物を生む。
甘い香りと快楽に魅了された人々と魔物の魂は生きながらに腐り初め、既に殺された人々と魔物の魂は急激に腐り、そこら中に瘴気を放った。生き残っている人達と魔物達は瘴気に犯されても尚、快楽に溺れ、生きながらにして魂をより腐らせていく。
大量の人と魔物のアンデッド。それに加えて生きながらに魂が腐った者達は強い魔力を浴び続け変異種へとなっていく。
そして・・・
【人】特変異種
【ゴブリン】特変異種
【コボルト】特変異種
【オーク】特変異種
【ミノタウロス】特変異種
【エイプ】特変異種
【ゴング】特変異種
【オーガ】特変異種
【フォレストグリーンアナコンダ】特変異種
【ワイバーン】特変異種
etc
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【ディノ】特変異種
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