第625話 みんなのベビーシッター
「ゲイル、そんな状態だと食べられないでしょ? はいアーン」
シルフィード、恥ずかしいからやめて・・・
大丈夫だからと断るとプクっと拗ねる。取りあえず、二人をお腹いっぱいにして寝かせてしまおう。
マリアには焼肉は早いので、ミーシャに自分ばっかり食ってないで牛の薄切りと野菜を煮込めと言い付ける。
俺はマリアにアバアバしながら、チルチルに食べさせるという職人技に出た。チルチルもまだ小さいのですぐにお腹いっぱいになり、ヨシヨシしてやるとお眠になり寝てしまう。シルフィードが寝かしにいこうとすると俺の服を掴んで離さない。仕方がないので、ここに昔俺が使ってた小さなマットを持って来てもらってそこに寝かせる。
その隙にマリアにムグムグさせていく。食べ終わったらすぐにオムツ交換してご就寝。
「ぶちょー、食べないの?」
「今から食うんだよ。ホルモン旨かったか?」
「これもお供えしてくれんの?」
「今日買ってきた奴はここでしか手に入らないんだよ。他の所はここまで綺麗に処理されてないから、ここで食う時は呼んでやるよ」
「他は何かある?」
「ソーセージ食ったか?」
「まだ。焼いて♪」
ここにも子供が居やがる。まぁ、俺も食うから焼くけど。
ホルモンを食いつつソーセージを焼いてめぐみとゼウちゃんにハイと渡す。これもエールに合うからな。
さ、俺も・・・
誰じゃ、俺のソーセージを食いやがったのは?
ミーシャがムグムグしてやがる。ミーシャには怒れんじゃないか。
追加でソーセージを乗せて、じゃがいもも乗せて行く。
「ぶちょー、芋なんて焼くの?」
「バターと醤油掛けると旨いんだよ」
「焼いて♪」
今度は希望者を聞いてゴロゴロっと網に乗せて自分で焼いてという。
トウモロコシも焼くか。
あ、ネギも食いたいな。
トウモロコシとネギを育てるとダン達も食うというのでどんどん育てる。
「なぁ、なんか魚ないん?」
「アジの干物ならあるぞ。あとイカの一夜干しも」
ミケも焼いてというのでダンに任せた。俺は自分の分を食いたいのだ。
めぐみもゼウちゃんも同じのをご所望なので、結局俺も焼くはめに。
さ、焼きじゃがを・・・ おいっ、なんでもう無いねんっ!
人数分を焼いたはずなのに全部食われてしまった。
トウモロコシの真っ黒になった皮を剥いて醤油を掛けるとめちゃくちゃ良い匂いだ。めぐみとゼウちゃんにこうやって食べるんだよと説明している間に無くなってる。俺、希望者聞いて焼いたよね?
もう育てるの面倒なので、焼きすぎたネギを食べる。
「ゲイル、何か甘いもの食べたいな」
シルフィードがそんな事を言い出すので、魔道バッグを探すとリンゴがあったので、シュルシュルと皮を向いて鉄板にバターを溶かして薄切りリンゴを焼いていく。砂糖を上に掛けて火魔法で炙ってキャラメリゼに。すぐに出来る焼きリンゴだ。
めぐみとゼウちゃん、ミーシャも食うだろう。取り分けて渡して行く。
「なんでウチの無いん?」
「お前、魚とイカ食って飲んでるじゃん」
「甘いもんは別腹や。いけずせんと焼いてぇや」
また焼きリンゴを作る。アイナにも渡しておいた。
もうソーセージとベーコンでいいや。これでエールを飲もう。
シュウシュウと焼いていると、チルチルがグスグスと夜泣きをして起きる。テテッと俺を探してしがみつくので、抱っこをして背中をトントンしてやる。
もう、今日は飲むの無理だわ・・・
「ぶちょー、食べないの?」
ほっぺたにべっちょり醤油を付けためぐみ。 ・・・お前もか。ハンカチでめぐみのほっぺたを拭ってやる。
「ぼっちゃん、炭酸出してくれ」
他にも言われるだろうから、ピッチャーみたいなのを土魔法で作って炭酸水を入れる。氷もついでに出しておいた。
おぅ・・・股間が生温かい・・・ チルチルおねしょしたな。クリーン魔法を掛けるがなんとなく嫌なので風呂に行くことに。
「ちょっとチルチルを風呂に入れて来るよ」
そういって屋根の上の風呂に行ってクリーン魔法で風呂を綺麗にして湯を溜める。
「チルチル、風呂に入るぞ」
風呂に入ったことがないかも知れんので寝ぼけてる間に服を脱がせて一緒に風呂へ。首もとにしがみついたまま風呂で寝るチルチル。
ふう、この体勢なら溺れることないか。スースーと俺の耳元で寝息を立てるチルチル。この調子だと誰にも預けられんかもしれん。イーストランドもとっととけりをつけたいから連れていくしかないか・・・。
チルチルがのぼせたらダメなので、ちゃっちゃと洗って髪の毛としっぽにリンスして風呂を出た。
「ぼっちゃま、ちょうどマリアが起きました。はい」
チルチルをマットに寝かせて、ぐずるマリアの背中をトントンしながらもう一度風呂へ。俺と風呂に入るのは嫌がらない。
「ぼっちゃま、女湯もお願いします」
隣もクリーン魔法を掛けてお湯を溜めてやる。
「ぼっちゃま、マリアは嫌がってませんか?」
「キャッキャはしゃいでるよ」
「やっぱりぼっちゃまが居ないとダメですねぇ。私もザックさんもダメなんですよぉ。なんでもイヤイヤ言うので」
「しばらくそれが続くから諦めろ。イヤイヤしても怒ったらダメだぞ。成長している証だからな」
これぐらいの子供はとても可愛いが理不尽に泣いたり怒ったりする。四六時中一緒にいる親は慣れるまでイライラして子供に当たってしまうのだ。本人も泣いてる理由がわからないから親が解るはずがない。
「さ、マリア。出るぞ~」
「イヤー」
「そんな悪い子はこうだ」
アバアバアバアバっ
「キャッキャッ」
こんなんで良いのだ。イヤに疑問を持ってはいけない。イヤと言いたいだけの時もあるからな。
「はぁ、ぼっちゃまはマリアをあやすのが上手ですよねぇ」
「ミーシャちゃんよりも上手いの?」
「怒っちゃダメだとは分かってるんですけど何してもイヤイヤ言うのでつい怒っちゃうんですよね」
そんな会話が聞こえてくる。
それはミーシャが親だからマリアもわがままを言うのだ。親も子供と共に成長していくのだよ。
マリアを乾かして着替えてさせて少し待つ。待つとしないんだよな・・・
案の定、下に降りるとオムツを替えるはめに。キレイキレイしてクリーン魔法。
「ぶちょー。お風呂って気持ちいいの?」
「入ったことないのか?」
「私達汚れないし、お風呂なんてお供えないし」
なるほど。
「なら、今度屋敷・・・ は良くないかもな。今度、宿の予約入れてやるからそこで入れ。ここは人目もあるからな。お前の事も皆見えるからな」
「そんなの気にしなくていいじゃない」
「宿の風呂の方が綺麗だし、広いからな。そっちの方がおすすめだ」
しかし、汚れないって、お前さっき顔に醤油付けてたじゃねーか。
帰ったら高級宿の新店に予約入れるか。まだどんな所か泊まったことないしな。
またその時に呼んでやると約束をしたらめぐみとゼウちゃんは帰っていった。女性陣も全員寝に行った。
「坊主、飲むんじゃろ?」
「ほれ、ぼっちゃん。薄目にしてあるぞ」
あ、ドワンとダンがどうせ子供の世話で食べられないだろうと俺の分を確保しておいてくれてあったのか。
「ゲイル、飲み過ぎんじゃねーぞ」
「言われなくても解ってるよ」
ダンとドワンがホルモンや肉、トウモロコシやじゃがいもを焼いてくれたのであった。
蒸留酒のソーダ割とホルモンはことのほか旨いと思ったゲイルだった。
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