第613話 ドラゴンゲート
めぐみが書いた文字を丁寧に魔法陣に書き写していく。
ゲートをくぐると赤いランプが光ってキンコンとなるようにしておいた。
さて、実験だな。
移住者を見回していくと、やはり何人か汚魂なやつが紛れ込んでいる。
ダンにそいつらを連れてきてもらった。
比較的汚れが少ないもの、中ぐらい、こってり汚れているやつがいる。テストにちょうどいい。
まずはこってり汚れてるやつをくぐらせるとキンコンピカピカっと反応。少ない奴にもちゃんと反応した。試しにダンにもくぐらせると無反応。よし、使えるな。
ダンにこれがなんの機械か説明する。で、反応が出た奴をどうするかの判断を任せることに。ダンがここの領主になるからな。
「ぼっちゃん、汚れ具合に違いがあるんだよな?」
「あるよ」
「それの判別は付くようにならねぇかな?」
ダンの考えは一律に排除する訳じゃないのか。
その時に汚れの薄いやつの家族らしき者達がやって来た。
「あ、あの・・・。主人が何か・・・」
汚魂のやつらは現在部屋に隔離している。
「あなたのご主人?」
「そうです」
「変な事を聞いて悪いんだけど、ご主人は人を殺した事がある?」
「・・・・・・はい」
なぜそうなったか理由を聞いてみる。若い頃に喧嘩になり、相手を殺してしまったとのこと。殺すつもりはなかったが倒れた時に打ち所が悪く相手が死んだらしい。本人は牢に入り罪を償ったらしかった。
「ぼっちゃん、こういうのは見分けられんのか?」
「いや、罪を償ったかどうかまではわからない。魂が汚れているかどうかだけだね。どうする?」
「なら、他の奴等にも話を聞いてみるわ」
という事でダンは隔離されてるやつに尋問をしていった。
他のやつらは辻褄の合わない話をしたり、知らぬ存ぜぬだった。
「あいつらの汚れ具合はどうなんだ?」
「結構汚れてるのと、べったり汚れてるやつだね」
「なるほどな。汚れの薄いのと中くらいのは話を聞いて決めるわ。べったりの奴は問答無用で排除する」
「分かった」
という事で魔法陣を作り直さなくてはいけない。ダンにはあいつらを追放するのは待ってもらう。実験しないとダメだからな。
あれやこれやと考えるけど、汚れの基準をどうするか迷う。パーセンテージで説明もできんしな。
俺とめぐみの意識をすり合わせるか・・・ どうやろうかなと迷っている時にポットが帰ってきた。
ちょうど晩飯の時間なので飯を食いながらポットの話を聞く。
パンケーキを子供達がものすごく喜んで食べるのを見て、お菓子作りの楽しさを再認識したようだ。
「ゲイルさん。この街はドラゴン街っていうんですか?」
「何それ?」
「いや、皆ここはドラゴンが守る街だからドラゴン街だって言ってますよ」
ほぅ、そんな呼び方されてんのか。
「ダン、ここはドラゴンシティって呼べば?」
「ドラゴンシティ?」
「そう、シティってのは街って意味だよ。ダンダン辺境伯領とか呼ばれるのやだろ?」
ダンはベアトリアに戻さず、ダン・ダンクローネになったのだ。絶対にみんなダンダンって呼ぶだろうからな。
「そんな呼ばれ方すんのか?」
「そうなると思うよ」
「ならドラゴンシティの方が良いわ」
という事でここはドラゴンシティとなった。ダンの紋章もドラゴンになるかな?
とても汚れた魂はこってり、普通のはこっさり、少ないのはあっさりで分けよう。ラムザもあのこってりとしたと表現してたからな。
これのイメージをめぐみと合わせる為に鶏ガラで出汁を取っていく。魔法を使って真空調理で時短だ。
普通の鶏ガラスープ、どろどろの鶏ガラスープを作った。
ピーピー
「もしもし、ラーメン作ったけど食いに来るか?」
「ラーメンって何?」
「ゼウちゃんを連れて来いよ。それならすぐに分かるから」
という事で2人を呼び出してラーメンをご馳走する。
「わー、ラーメンってこんな味なのね。知ってたけどお供えしてくれる人がいないから初めて食べたわ。美味しーっ!」
ゼウちゃんラーメンに大喜び。
「それはあっさり、次はこっさりを食べて」
神様ズは食べようと思えばいくらでも食べれるらしいからどんどんいこう。
「うん、私はこっちのが好き♪」
めぐみはこっさり派か。俺と同じだな。
「そうね、私はあっさりと迷うわよねぇ」
ゼウちゃんあっさり派。生前の嫁さんと同じだ。
「じゃ、最後これね」
とこってりを出す。
「うわっ・・・何よこれ?」
「こってりだよ」
「私も無理かも・・・」
といいつつ食べきる女神ズ。
「めぐみ、今の3種類は覚えたか?」
「バッチリよ!」
「じゃ、次にこいつらの魂を見てくれ」
と隔離してあるやつらを見せる
「この魂があっさり、こいつがこっさり、で最後のがこってりだ。いいか?」
「あんた、何こんな汚い・・・こってり?した魂を見せてくれてんのよっ! もうっ!」
びしゃっと魂が砕けて断末魔を上げて死んだこってり魂。
「ひぃぃぃぃぃっ」
怯え上がる汚魂達。
めぐみ、ちゃんと洗ってやれよ・・・
「今、神の審判が下った。こいつの犯した罪は神の逆鱗に触れ、魂が消滅した。お前達もこうならないように自分の犯した罪を素直に告白し、懺悔せよ」
俺がそういうとガタガタ震えてダンに罪を告白していった。
「めぐみ、汚れた魂はあっさり、こっさり、こってりに分別するから宜しくな」
「分かったわ。で、次は何食べさせてくれんの?」
ゼウちゃんもペコちゃん顔してるからポットに生クリームもりもりのパンケーキを作って貰った。
ラーメン3杯食った後に生クリームもりもり食って満足した神様ズは帰って行ったのであった。
「ゲイルさん・・・ 今のはいったい・・・」
「神様が来てたんだよ。ポットの作ったパンケーキを満足そうに食って帰ったぞ」
「本当ですかっ!」
「ポットのケーキは気に入ってるんだぞ。これまでに何回も食ってるからな。昨日買った奴も神様が全部食ったんだぞ」
「じ、自分のお菓子を神様が気に入って・・・」
感動にうち震えて泣くポット。
な、嬉しい涙はしょっぱくないだろ? これからはそういう涙をたくさん流してくれ。
ふと俺はドラゴンシティで思い付いた。汚魂探知機はドラゴンゲートと名付けよう。
ゲートをドラゴンの顔に作り変えていきゲートはドラゴンの口にした。次に探知機の魔法陣を書き換え、あっさりは目玉が光るだけ、こっさりは目玉が光りグルルとドラゴンが唸る。こってりは目玉が激しく光り、ン ギャァアと咆哮を上げる。こってりにはガブッて噛むようにしたかったけど余計な魔力を使うので咆哮だけにしておいた。
完成したドラゴンゲートに隔離者をくぐらせる。うんバッチリだ。こってりは死んでしまったので試せなかったがまぁ大丈夫だろう。
早速、壁の門にドラゴンゲートを設置。兵士にドラゴンゲートが反応したら追い返すように指示を出した。それでも入国希望者には隔離してダンに判断させよう。
「あの・・・主人は・・・」
「こいつは罪を償っているからこのまま入国を許可する」
とダンが伝えると泣いて家族は喜んだ。
「一応言っておくけどな、罪を償ったからといって魂の汚れが取れたわけじゃない。だが、ちゃんと自分の犯した罪を死ぬまで懺悔していればいずれは綺麗になるかもしれん。そうなれるように生きていけ」
「はい、一生懺悔しながら生きて参ります」
俺が浄化してやることも出来るけど、自分で綺麗になるように生きていく方がいいからな。
ドラゴンゲートが出来た事により、ますますドラゴンシティの名前は広がって行くのであった。
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