第566話 魔法が使えなくなったので対策をする

いざ、新領へ移動。シルバーとクロスで向かう。シルバー達もちょっと歳を取ってきて前ほど速く走れないことに気付く。いつもは風魔法を併用したり、回復魔法を掛けたりしながら飛ばしてたからな・・・


まだ緊急事態には陥ってないのでのんびりと向かおう。休憩を何度も挟みつつ、新領に到着したのは夕方だ。


領主代理、スンドウの家に泊めてもらって内密の話をする。



「これは絶対に内密の話だ。守れるか?」


「当たり前です。拷問に掛けられても話しません」


いや、そんな状態になったら話していいよと言う。そんなことをするやつは滅すれば良いだけだからな。


「実はな、魔物の数を減らすのと魔石を再利用する為の方法を考えてる」


「そんな事が出来るんですか?」


「多分だけどな。で、それをここでやってもらいたいんだけど出来るか?」


「やりましょう」


何も内容を聞かずに引き受けるスンドウ。


「じゃ、明日試してくる。3~4日で戻って来ると思うからまた報告する。秘密を守れる奴を3人くらい用意しておいてくれ」


「解りました」



翌日から魔物が生まれる場所を探していく。気配を探って魔物が多い場所へ進む。


結構オークがいる場所を発見。ディノスレイヤ領から冒険者が間引きしに来てくれているみたいなのにこれだけいるならまず間違いないな。


シルフィードのファイアボールでオーク達を慌てさせたところを狩っていく。やってて良かった剣の修行!


魔法を纏わせなくともドワンの魔剣は良く斬れる。すぐにはアンデッドにならないだろうと倒したオークをそのままに先を急ぐ。


コボルトやゴブリンも増えて来たからこの辺だろう。そこそこ奥まで来てるから道を付けた方が・・・


ダンに木を伐ってもらうだけしか出来ないな・・・



「ダン、あそこの洞窟から出て来るね」


「だな、じゃ潜入するけど気を付けてくれよぼっちゃん」


中に入って魔道ヘッドライトを点ける。いつでもゾーンに入れるわけじゃないから灯りは大切。


ヘッドライトの灯りに寄ってくる魔物達を倒す。生まれたての魔物だろうか。弱くて助かる。


そう深くない洞窟の最深部に到着。水は無いが、しばらく待ってると魔物がポップアップした。ここだっ!


ダンがそいつを倒した後、時間を感覚で計っていく。概ね1時間でゴブリンなら1匹、コボルトなら2時間で1匹、オークなら3時間で1匹って所だな。エイプの所より出てくるのが遅いけど、これが延々と続くんだもんな。そりゃ減らないわけだ。


空になったエイプの魔石を10個置くと魔物は出て来なくなった。満タンになるまで約3日。その間魔物は出て来なかった。クリーン魔法をかけてない体が気持ち悪い。熊臭も漂ってるような気がする・・・ 女の子は臭く感じないから不思議だ。もうちょっとしたらそうでもなくなるんだろうけど。満タンになった魔石を回収し、ざらざらっと100個の魔石を置いておく。単純計算で1ヶ月は魔物が出て来ない事になる。


「一度戻ろうか」


帰り道は人が通りやすいようにダンに木を伐って貰って帰る。倒れる方向を計算しながら。魔法で動かせんからな。


シルフィードに倒した魔物を焼いてもらってと。役立たずだな俺。何にも出来ない。

あっ! そういや、ディノスレイヤ領の果樹園はまだ全部終わってない。切り株枯らすの俺しか出来ないじゃんかよ・・・


やっぱり弊害はまだまだあるようだ。参ったなこれ・・・



新領に戻って信頼出来る者を集めてもらう。


「どうでしたか?」


「やっぱりあったよ、魔物が出るポイントが。そこだけじゃない可能性があるから全く魔物が出なくなるわけじゃないと思うけど大幅に減るとは思う」


「さすがはゲイル様です。で、我々はこれからどのように動けば良いですか?」


「ロドリゲス商会に使用済み魔石を回収させてるから、それを受け取ってくれ。で、その魔物が出る所に毎月100個置いてくる。元々ある魔石は満タンになってるはずだからそれを回収してもらってきてくれ。再利用された魔石はまたロドリゲス商会に卸してもらう。安値になるけどいいか?」


「お安いご用です」


「オーク肉とかあまり手に入らなくなるけど大丈夫か?」


「家畜の数を増やしているので大丈夫です。餌もトウモロコシとかで賄えますし」


「じゃあ、この後ディノスレイヤ領のギルドに信頼出来る奴を派遣してもらうよう頼んでくるよ。俺の依頼を受けた奴にだけこの話をしてくれ」


という事でディノスレイヤ領に移動。前に直通の道を作っておいて本当に良かったと思う。



屋敷でアーノルド達にこの話と魔法学校に受かった報告をする。先に手紙くらい出せと怒られたけどね。


「しかし、今年の闘技会の賞品はどうするかな・・・ 何か良い案ないか?」


これも弊害か・・・


「もうベントに考えさせていって。今年の分だけならなんとかなるけど、その先はもうわからないから」


「そうだな・・・ ベント頼んだぞ」


えっ? と驚くベント。しっかりしろよ。もうあんまり手伝ってやれないんだから。


ダンは自分の部屋にいったので、始まりの日に予定しているダンとミケの結婚式の話をついでにしておく。


「よくわからんが、いい服を着て始まりの日に行けばいいんだな?」


「そう。間に合う?」


「あぁ、闘技会は今年と同じように任せるから大丈夫だ。もうこれからずっとそうしようと思ってな」


うん、良いことだ。ダン達には内緒だからドワンにもアーノルドから声を掛けておいてもらうことに。



翌日、ギルドに行ってギルマスの部屋に行く。


「それは本当か?」


「うん、内緒にしておいてね。冒険者の稼ぎも減るし、悪用されたら嫌だから」


「こんな重要なこと人に話せるかっ。で、信頼出来る奴らか・・・ 報酬はどれくらいだ?」


安い値段を言っておく。西の街の死活問題だから高額な報酬を出すと、全部に影響する。


「仕方がねぇな。魔物はあまり出ないんだな?」


「それについてはおそらくとしか言えない、まだ他にも同じような場所があるかもしれないから」


「解った。オーク数体に対応出来る冒険者かつ絶対に秘密を守れる奴を手配しておこう。その仕事以外に狩った魔物とかは全部そいつらの取り分でいいな?」


「それは好きにして。こっちは魔石を置いて来るのと回収さえしてくれればいいから」


「そう考えると安い訳ではないな。これは坊主からの依頼ってことでいいな?」


ということで、取りあえず1年間のお金を渡しておいた。金貨1枚と銀貨20枚。毎月銀貨10枚だ。100の魔石が1個銅貨10枚で手に入る計算だ。



ドワンの所にも魔法学校に受かった報告をしに行く。


「まぁ、当然じゃな。一応おめでとうと言っといてやるわい」


結構難関学校なんだけど・・・


「でさ、ぶちょー商会の支店を西の街に出さない?」


「何をさせる気じゃ?」


「魔法陣を組んだら製品化していきたいんだけど、頻繁にここに来れなくなるだろうし、手紙だけだと伝わらないかもしんないでしょ?」


「ワシに来いと言うのか?」


「すぐに魔法陣を組めるとは思ってないし、販売出来るのは俺が卒業してからだから、1年後くらいに工房作ってくれると嬉しいな。錬金魔法も使えないから自分で加工出来ないしね」


「釜まで持って来させるつもりか?」


「嫌ならいいけど」


「嫌とは言っとらんっじゃろがっ」


「じゃお願いね。場所は確保しておくよ。うちに住む?それともドワーフ達と住む?」


「宴会場はあるのか?」


「毎晩大工やエルフ達と飲んだくれてるよ。楽器の演奏とかしてどんちゃん騒ぎだよ」


「ならそこに住む」


でしょうね。


ということでここでの仕事は終わったので王都に戻ったのであった。



翌日にロドリゲス商会の大番頭に魔石の取組の話をする。ザックだとなんかやらかしそうで怖いのだ。


無料でやりますよとの返答だが、それは仕事ではないので、100の魔石1個あたり回収と販売で銅貨10枚が取り分。新領も同じ。これで100の魔石の原価はギルドに払う分と合わせて1個あたり銅貨30枚。直営店には銅貨50枚で卸ろし、街灯で使用する分は経費で支出。コンテナの分はロドリゲス商会が負担することになった。どこも利益が出ないけど、他の仕事のついでだから負担にもならない。まぁ妥当だろう。



さて、翌日はマンドリンと結婚式の音楽の打ち合わせでもしようかね。


後は花屋に行ってブーケとブートニア、結婚式場の装花、宴会場の打ち合わせ、招待する人のとりまとめだな。ダンには結婚報告のパーティーと説明して費用負担をさせよう。


ダンは住む家とか決まってんのかな? もう温泉掘ってやれないぞ・・・・ イナミンの所は前に行った時に掘っておいて良かったとつくづく思う。あっ、ドラムセット送らなきゃ。なんかまだ漏れてないだろうな? これスケジュール表必要だな。サイトの紙はいつになったら出来るだろうか・・・


そういや、北の街の仕事もほったらかしだった。これもやらないと・・・



秘書雇おうかなとか考えるゲイルであった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る