第374話 屋敷で宴会
ーディノスレイヤ邸ー
ドワン達がディノスレイヤ領に戻り、アーノルドのところに来ている。
「ブリックを迎えに来いだって?」
「あぁ、無理なら春まで王都にいるままじゃ」
ディノスレイヤに戻ったドワンはゲイルからの伝言をアーノルドに伝えていた。
「アーノルド、いつ行くつもりかしら?」
「そうだな。来週にでも行くか」
アーノルドはアイナの手料理でやや痩せて、アイナはもう作るのが面倒になっていたので早々にブリックを迎えに行くことにした。
ゲイル達はシルフィードの特訓とコボルト達の特訓を畑で行う日々が続く。
「コボルト達もだいぶ芸を覚えたね」
コボルト達の成長は早い。春になったら俺より全然大きくなるだろう。フワモフの幼毛を楽しめるのも春までだろうな。
成長していくのは嬉しくも有り、寂しくも有りだ。
いつもの特訓が終わり、旭日旗がはためく屋敷に帰るとアーノルドから手紙が届いていた。
<すぐ迎えにいく>
アーノルドのやつ、アイナの飯がもう嫌なんだろうな。晩飯はバルで食ってるだろうけど、朝昼のアイナ飯に音をあげているのだろう。
小熊亭から帰って来たブリックに近々迎えが来ることを伝える。
「なんとか店で出す料理は毎回同じ味で作れるようになりました」
「結局何を出す事になったんだ?」
「餃子、唐揚げ、カツと焼き鳥、炙りベーコンです。他にも教えてありますがこれを出してみて余裕があれば追加でメニューを増やします」
「そうか、ありがとうな。助かったよ」
「いえ、人に教えるのは難しいですけど良い勉強になりました」
「領に戻ったら学校の準備始めておけよ」
「わかりました。頑張ります!」
ブリックも張り合いが出来て良かった。鬱にはならなかったようだ。
「ゲイル様、非番の護衛達はここへ招いても宜しいでしょうか?」
屋敷に戻ってきたホーリックが聞いてくる。
「大丈夫だよ。シュミレさん達に来る予定を伝えておいてね、食材の仕入れとかあるから」
「わかりました」
そろそろエイブリックにも招待状出さないといけないな。ベントも一度も来てないからそれも呼ばないといけないし。ジョンやアルも呼べたらいいな。
その夜にエイブリック宛の招待状を書いた。一応ドン爺の招待状も同封する。アル達も誘えるなら誘ってと書いておいた。
翌日の小熊亭でブリックが数日中にディノスレイヤに帰る説明をするとショールがとても残念がっていた。春の予感だろうか?
エイブリックから早々に来る返事があり、ドン爺が外せない日を選んだようだった。アルとジョンも連れて来るだって。
宴会の日にアーノルド達も到着。非番の護衛、エイブリックの護衛も交えての宴会だ。大人数になったのでビュッフェ形式にしておいた。
餃子が大人気で、焼き餃子以外に揚げ餃子と水餃子も作ってもらった。元は同じやつだけど、揚げ餃子が特に人気で、エールが止まらないらしい。泥酔した人は温泉に入っちゃダメだと注意すると先に入りに行きやがった。
「父さん達は温泉に行かないの?」
「後でゆっくり入るよ。それよりゲイル、コボルトは本当に牛を誘導したり出来るようになるのか?」
アーノルドとアイナにとってコボルトは討伐して当然の魔物だ。
「多分ね。今色々と芸を教えてるよ」
アーノルドとアイナに干したササミのチップを渡す。
「父さん、フセとかマワレとか言ってみて」
アーノルドの命令に従って動くコボルト達。
「言った事が出来たら褒めてそのコボルトのオヤツをあげて」
アーノルドの手からオヤツを食べるコボルトを見て微笑むアーノルドとアイナ。
「よく言う事をきくな。これなら問題無いかもしれん」
「育て方によっては屋敷の護衛とかも出来るようになると思うんだ。こっちで上手く行ったらディノスレイヤ領でもやってみるよ」
そのあとアーノルド達は何度もコボルトに芸をさせてはオヤツをあげていた。
温泉から誰かが出て来ると誰かが入りに行く。
この騒がしさ、ごちゃごちゃ好き勝手に過ごす人達。まるで小屋だなと思ってると
「ぼっちゃん、小屋みてぇだな」
ダンも同じように思ったらしい。
「焼き鳥焼けたよ」
ベントが自慢の焼き鳥を焼き、サラが持ってきた。
「ベント、お前腕を上げたよなあ。めちゃくちゃ旨いぞ」
ジョンとアルもベタ褒めだった。
その日は遅くまで宴会が続いたので俺達も明日は休みにしておこう。
酔っぱらいの相手は嫌なのでコボルト達を連れてさっさと部屋に寝に行った。
宴会の準備も後片付けも人がやってくれるのはとても楽チンだな。
そんな事を考えながらモフモフに囲まれて寝ることにする。
おやすみなさい
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