第373話 紋章が出来た
「今日はコボルト達の首輪を買いに行くよ」
ミーシャとシルフィードを連れて買い物だ。コボルト達を預けたベラにはくれぐれも昨日言った事を守るように言ってから出かける。
「首輪ってベルトを加工したら出来るよね?」
という訳で東の街の皮革店に行く。
ベルト6本と皮の紐を10本購入。これを加工すればいいかな。東の街は物価が高いというよりも高い物を売っている。都会って奴だな。
「紋章屋に寄って帰ろうか?まだ出来てないかもしれないけど」
予定よりちょっと早いけど出来てたらラッキーって事で紋章屋に向かう。
「こんにちはー。予定より早いんだけどどう?」
「ようこそゲイル様!出来上がっております」
バーンと出してきたのはいいけどこれ・・・
「いかがですかっ!ゲイル様より頂いたデザインを元にご威光を表現したデザインです。どのご貴族様にもない斬新さ、遠くから見てもすぐにゲイル・ディノスレイヤ様と分かる物となっております」
これ旭日旗じゃねーか・・・
「ちなみにこれ登録は・・・」
「はい、滞りなく済ませております」
「あ、そう・・・。仕事早いね・・・」
「ありがとうございますっ!」
「ぼっちゃん、いいデザインじゃねーか」
「かっこいいですね」
「ぼっちゃまにお似合いですよ」
「そうだね。これでいいよ。いくら払えばいいかな?」
「お代の代わりにこれを店の前に飾ることをお許し頂け無いでしょうか。これ程名誉な事はございません」
「飾るのはいいけど、ちゃんとお金は払うよ。登録とかもやって貰ってるし。魔獣達の貴章も作って欲しいし」
「馬用の物はこちらです。馬車用と屋敷に立てる旗、身分証の物と全部揃っております。魔獣用のはどのような大きさが宜しいでしょうか」
「これくらいの大きさで首輪にぶら下げるものを6つ欲しいんだよ」
「お急ぎであれば今お作りしますが」
「じゃあお願いするから今作ってくれるかな」
「はいっ」
そう返事してダッシュで奥にいった。
「ダン、これ全部でいくらぐらいなんだろうね?お金いらないって言われるのって困るんだね」
「ぼっちゃんがいつもエイブリック様にやってるやつだな」
「金貨2枚くらい払っておけばいいかな?」
「まったくわからんな」
しばらく待ってるとコボルト用の貴章を持って来てくれた。
「お待たせ致しました。こちらで宜しいですか?」
「うんバッチリ。お金これで足りるかな?」
金貨2枚を渡してみる。
「いえ、お代は・・・」
「この紋章飾ってもいいから、ちゃんとお金取って。ただで仕事させたとか評判悪くなるし」
「か、かしこまりました。では金貨1枚頂きます」
「これが本当の値段?」
「はいっ、勿論です」
怪しいけどもう受けとらないだろうな。
「じゃあ金貨1枚ね。あと宿とか食堂とかの紋章とか作ってる?」
「はい。そういった物もやっております。必要であれば登録も代行しますよ」
「登録なんてあるの?」
「はい、登録されている名前とデザインは他の所が使えなくなります。登録していないと後から登録されてしまうと名前をやデザインの変更をしなければなりません。一般的な名前とか一部は登録できないものもございます」
この世界でもこんなのがあったのか。聞いといて良かった。
「これから西の街でどんどん店が出来ていく予定だからその時は宜しくね。ちなみにデザインと登録をお願いしたらどれくらいの金額になるの?」
「デザインは銀貨5枚からで複雑になればその分高くなります。登録料は銀貨15枚で、ご自身で登録されたら銀貨10枚です」
「ちなみに貴族の紋章登録料はいくら?」
「金貨1枚です」
「お前、登録料しか取ってないじゃないか。デザイン料や貴章作成料とかもあるだろ」
そう言って追加で金貨2枚渡す。
「も、申し訳ありません」
「あのな、少しサービスしてくれるとかなら嬉しいけど、利益取らないとか損を被らせるのは嫌なんだよ」
「でも、栄誉を頂きましたので」
「いいから受け取れ」
「はい」
早速シルバーとクロスに貴章を取り付ける。
馬車用って取り付ける馬車ないよな。ドワンのやつにつけたら軍艦マーチが似合う馬車になってしまう。
冒険から帰って来たら馬車持ってもいいかもしれないな。
屋敷に戻りカンリムに紋章が決まった事と旗とかを渡しておく。
ベラに預けていたコボルト達にベルトを加工して首輪にして登録証と貴証を付ける。皮紐をリードにして完成!
「ちょっと散歩に行ってくる。お昼ご飯は小熊亭で食べてくるから」
俺とダンが2匹、ミーシャとシルフィードが1匹ずつリードを持ち街に出る。
わっ、キャッ とかコボルトに驚く人達。こうやって連れ歩いてたらそのうち慣れるだろ。
小熊亭に着くと見習いコックのショールがコボルトを見て喜んだ。
「うわーっ、フワフワっ。いい服出来そう」
そっちかよ・・・
チッチャは怖いようでセレナの後ろに隠れる。ジロンはほぅと言うだけだった。
「ブリック、なんかお弁当に出来そうなものある?」
「じゃあカツサンド作ります。今カツを教えてたので」
ついでに鶏肉を茹でてもらってコボルト達のお弁当も準備した。
「お弁当持って何をするんですか?」
「コボルト達に運動させるんだよ」
畑に移動して、棒を取ってくる訓練だ。運動と遊びを兼ねるのだ。
「いいか、これを投げるから取ってくる練習するぞ」
まず近くにおいて咥えさせる。
「チョウダイ」
棒を俺に渡すように教える。俺に渡したら褒めて餌を少しあげる。
次は少し投げて
「トッテコイ」
「チョウダイ」
これをみんなに何度か繰り返して少しずつ投げる距離を遠くしていく。
「よーしよしよしよしっ。賢いぞお前達!」
キチンと俺の前にオスワリしてしっぽを振るコボルト。
「ぼ、ぼっちゃん。それコボルトじゃねーか。なんでそんなもの連れてきてんだよっ」
畑のおっちゃんだ。
「俺の従魔にしたんだよ。こいつら賢いから怖がらなくても大丈夫だよ。ほら見てて」
トッテコイとチョウダイをさせる。
「これから色々教えたらここで働かせるから宜しくね。みんなにも、この首輪にこの貴章つけてるコボルトは俺の従魔だと言っておいて」
ぞろぞろと集まって来た住民の前でコボルトの訓練を繰り返した。
「へぇ、賢いもんだな。噛んだりしねぇのか?」
「遊びで甘噛みしたりするかもしれないけど、襲ったりはしないから叩いたりしないでね」
「ぼっちゃんの従魔にそんなことするやつはいねぇだろ」
集まった住人にコボルトの説明と俺の紋章を説明しておく。この紋章を付けてるのは関係者だからねと。
日暮れ前まで訓練を繰り返して屋敷に戻った。
おぉぅ・・・
屋敷の門に旭日旗がはためいている。
ゲイルの脳内に軍艦マーチが再生されていたのだった。
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