第364話 クソギルド

ギルドの外へ出ると案の定だ。一人がシルバーに蹴られて伸びていて3人が剣を抜いてやがる。


ダンがサッと3人の腕を剣の腹で砕き、俺が土魔法で足枷を付ける。


「シルバー大丈夫か?」


怪我が無いか確認すると前足の所から血が出ている。


「シルバー、これは誰がやった?そいつを蹴飛ばしてくれ」


シルバーは初めに伸びてたやつの上にドスンと足を乗せた。


一瞬で冒険者らしき3人が腕を砕かれて土魔法で拘束されたのを見て周りがざわつく。ギルドからもぞろぞろと人が出てきた。


そいつらを無視して、シルバーが足を乗せてるやつに水をぶっかける。


「ぶわっ 」


「おい、お前俺の馬に何をした?」


「ぐわっ なんだ動けねえ。どきやがれこのクソ馬っ」


一発顔を蹴飛ばすと歯が2本ほど飛ぶ。


「聞いたことだけ答えろ。俺の馬に何をした?」


「なんだこのクソチビっ」


もう一発蹴飛ばすと加減を間違えて殺してしまいそうなのでグッと我慢する。


「シルバー、危ないから離れて」


シルバーを後ろに下がらせた後に火の玉を出して頭の上にセットする。


「最後のチャンスだ。俺は今強烈に機嫌が悪い。俺の馬に何をした?」


倒れてる奴の頭がチリチリとし始めたた。


「やめろっ」


ギルドの中からいかつい男が出てきて叫んだ。火の玉は頭のてっぺんの毛を焼いた所で止めたが失神して漏らしやがった。


「お前らそこで何をしている。それに何者だっ」


「人に名前を聞くときは自分の名前を先に言えよ」


「俺はこのギルドの副ギルドマスターのジラーンだ」


「そうか、その副ギルマスがなんの用だ?」


「お前らこんなことしてタダですむと思ってのんか。うちのやつらをこんなボロボロにしやがって」


「お前らの管理がなってないからだろうが。人の馬に傷付けた挙げ句に街中で剣抜きやがって。どんな教育してんだ?」


「たかが馬がチラッと傷つけられただけでこんなことしやがったのかっ」


「お前こそたかが冒険者がやられたからって何言ってやがんだ。自分等の落ち度を棚に上げてとんだクソギルドだ。王都本部がこんなクソだと思わんかった」


お漏らししてるやつも土魔法で拘束しておく。


「ダン、帰るぞ」


シルバーに治癒魔法をかけてミーシャとシルフィードを乗せる。


「待てっ!お前らこんなことしやがって無事に帰れると思ってんのかっ」


「これ以上ふざけたこと言うならギルドごと潰すぞ。俺はめちゃめちゃ機嫌が悪いんだ」


「おい、副ギルマス、これ以上ぼっちゃんを刺激するな。本当にギルドごと潰されるぞ。やめとけ」


「ダンっ 帰るぞ」


「お、おいこのままにするつもりかっ」


「知らん、王都のギルドなら魔法使いぐらいいるだろ。そいつらに解除してもらえ」


それだけ言い残してその場を去った。



「ダン、他所のギルドってあんなんなのか?」


「どうだろな。この国で一番デカいギルドだから調子に乗ってんじゃねーか。それよか殺すつもりは無かったようだな」


「まぁシルバーもかすり傷だったからね。あいつらからは人を殺した嫌な気配がなかったからそこまではやるつもりはなかったよ。」


「そうか。まぁ怪我はポーションで治るだろ。髪の毛はアイナ様じゃねーと無理かもな」


「そうだね。シルバーにかすり傷を負わせたんだ。それくらいの罰で済んで良かったんじゃないか」


「あの土魔法って他の魔法使いが解除出来るのか?」


「さぁ?俺より土魔法の力が上なら解除されんじゃないの?もう知ったこっちゃないよ。足を拘束されてても死にはしない。王都のギルド本部様だ、自分達でなんとかするだろ」


「そうだな」


俺はムカつきが残ったまま屋敷に戻った。


「お帰りなさいませゲイル様。ドワン様、ミゲル様がお戻りになり工事が始まっております」


ドワン達が戻って来て工事を始めてくれているようだ。



「始めとるぞ。早く基礎を作れ。とっとと終わらせる。あと職人の小屋を作ってくれんか。寝れたら構わん。釣りの時みたいなやつでいい」


「何人分?」


「20人だ」


「客室使えば?」


「客の家なんかに泊らせられるか」



ミゲルがそう言うので土魔法で20人分の長屋を作る。後は勝手にするということなので大工達にお任せ。


使用人の食堂は今のと違う場所に建てるらしいので指示された通り基礎を作る。俺の風呂も指示された通りに基礎を作った。


次は使用人達の風呂だ。これも指示された通りに作り、湯船も作らされた。


温泉を掘る場所も指定される。全部出来てから掘れとのこと。



「下水施設は作っておくがスライムは自分で用意しろよ。食堂の魔道コンロと冷蔵庫も手配してあるから後でまとめて請求する」


スライムか。ギルドと揉めたから依頼出せんな。自分達で捕りにいくしかない。


「全部でいくらくらい?」


「全部込みで金貨40枚くらいだ」


4千万円か思ったより安いな。


「それはスプリングマット込み?」


「ベッドまで込みだ。マットは兄貴に聞いてくれ」


「了解」


屋敷の中で魔導ライトの工事の指示出しをしているドワンの元へいく。


「おやっさん、マットの値段全部でいくら?」


「けっこう数があるからな。金貨20枚ってとこだ」


「いつ来る?」


「ロドリゲス商会に運ばせるから出来た分から順次到着だ。全部揃うまで1ヶ月は掛かるぞ」


「了解、お金はいつ払えばいい?」


「いつでも構わん。ロドリゲス商会に聞いてくれ」


全部で金貨60枚か。



「カンリム、屋敷の帳簿見せて」


「ではゲイル様のお部屋でご確認下さい」


執務室で帳簿の説明を受ける。


「結構残高あるね」


ざっと金貨4000枚くらい残ってる。


「はい、ベンジャミン家のご家族様の分すべての合算となりますので」


「街の帳簿を見せてもらったんだけど、当主の取り分だけでこんなに残るの?それとも家族の人の稼ぎが多かったとか?」


「はい、その通りでございます。」


「なんの仕事してたの?」


「ベンジャミン家への国からの支給、ご家族様は街の文官の給与として支払われておりました」


「文官の仕事してたの?」


「名誉職でございます」


名前だけの文官か。街の為に使ったように見せかけて個人資産にしてたんだな。


「わかった。今回の改装費用は金貨60枚くらいになるから用意しておいて」


「かしこまりました」



コック見習いの部屋に行ってハンガーラックとハンガーを土魔法で作っておいた。これですぐに使えるな。


あと治癒の魔法水を用意しておいてやるか。大怪我をすることはないだろうから、そんなに濃くなくて大丈夫だな。土魔法でせっせと小瓶を作って治癒の魔法水を入れていく。低濃度が20本、高濃度のが5本。それを持って厨房へ。


「ゲイル殿お帰りなさい。何の工事が始まったのですか?」


「屋敷の魔導ライト、トイレ、ベッドの入れ替え、使用人達の食堂と風呂、屋敷の温泉だよ。厨房もライト入れて明るくするから。」


「ずいぶんと手をいれるのですね」


「今迄の当主は使用人達に何もしてあげてなかったみたいだからね。その分一気にしているだけだよ」


「ゲイル様にお仕えする使用人達は幸せですな」


「どうだろうね?色々やらされて困惑してんじゃない? なぁパリス?」


「は、はぁ」


「あと、今日から大工達が20人来たから3食作ってあげて。食材もバンバン仕入れてくれていいから」


「ちょうどいいですね、パリス達に作らせます。料理はお任せでいいですか?」


「もちろん。あとこれ治癒の薬。指切ったり軽い火傷とかの時はこっちを。大火傷とかの時はこっち。ここにおいて置くからなんかあったら使ってね。無くなったらまた補充するから」


こんな高価な物をと言われたが遠慮無く使うように言っておいた。



疲れたな・・・

ちょっと寝よう。



晩飯だと起こされるまで熟睡してしまった。怒りにエネルギーを大量に持っていかれたかもしれない。



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