第286話 闘技会予選 魔法使い部門
「魔法使いも結構いるんだね」
「あちこちに行ってた冒険者どもが戻って来てるしな」
オープニングの司会とデモンストレーションが終わった事でアーノルドも貴賓室に戻って来ていた。冒険者ギルドに司会進行出来る人を頼んであったらしい。
いよいよ予選が始まったが中には本当にしょぼいやつも混じっているのが笑える。
「結構詠唱が早い人多いね」
「的に当てるだけの詠唱だからな。威力が必要なければあんなもんだろ」
ダンがそう説明してくれるが詠唱を知らない自分にはとても不思議だ。短い詠唱でも発動するならそのまま魔力込めれば威力が増すんじゃないの?と思ってしまう。
「詠唱によって威力が変わるのって不思議だね」
「詠唱によって出せる魔法が変わるからな。あれが普通でぼっちゃんが異常なんだ」
異常とか言うなよ。
「あ、満点出たよ。あのじいさん冒険者学校で魔法教えてた人かな?」
「あぁ、言われてみりゃそうだな」
真ん中10点の的が5つ。5発打って50点が最高得点だ。
「教える側なのに大会に出ていいの?」
「問題無い。誰でも参加OKだからな。お前も出たかったか?」
「出て優勝して自分で作った魔法水とか貰っても仕方がないじゃん。杖も1.5倍の奴だし」
俺がアーノルドにそう答えるとエイブリックが補足する。
「そうは言うがな、スムーズに魔法が発動出来て威力の上がる杖なんて遺跡からしか出んのだぞ」
「みんなが持ってる杖はどんな効果があるの?」
「さあな、魔法使いは杖を持つものと決まってるからな。魔法使いじゃない俺達には分からん」
「でも良いのに買い換えて行くんだよね?売ってるところで性能とか書いてないの?」
「剣と違って検証出来ないから言ったもの勝ちな所があるんじゃないか。アイナはどうだった?」
「持ってても持ってなくても変わらなかったわね」
「じゃ、冒険者時代になんで使ってたの?」
あら、殴りやすいじゃないと答えるアイナ。それ魔法使いの杖じゃない・・・
「お、また満点が出たぞ。見たことがない奴だな」
「ぼっちゃん、あれ・・・」
ん?どこかで見たような・・・
「あ、ドワーフの国であった護衛の冒険者に居た人だっ!」
「知ってるのか?」
「ちょっとだけね。こんな所まで来てたんだ。東の辺境伯領で活動してるって言ってたのに」
「ほう、東の方でか。まぁ冒険者はあちこち動き回るからな。ここに来ててもおかしくないな。旅の途中でこの大会の事を聞き付けたんだろ」
「賞品が何か知らないのにわざわざ来るの?」
「魔法使い向けの大会って聞いた事がないからな。剣の大会はあちこちであるけどな」
へぇ、魔法使い向けの大会って珍しいんだ。魔法が使える世界なのに。
観客も間近で攻撃魔法がくりだされるのを見て凄い凄いと大盛り上がりだ。
予選も終盤に差し掛かり、ここまで満点を出した者が5名。残り1名が満点を出せばそのまま6名が決勝戦へ。そうでなければ49点の人達でサドンデスだ。
「最後の人、なんか上等なマント着てるね」
エイブリックがその魔法使いを見て不敵な笑いを見せる。知り合いだろうか?
その上等なマントの魔法使いはあれ?詠唱した?と思えるほどの高速詠唱で的5枚を一撃で撃ち抜き満点を叩き出した。
「おお、今日見た中で一番凄いね」
それを聞いてとっても自慢げなエイブリック。それを見たアーノルドが呆れた声で俺に言う
「ゲイル、ありゃ宮廷魔導士だ」
え?
「どうだゲイル。うちの魔導士も中々のもんだろ?」
「宮廷魔導士?そんなの反則じゃない?魔法使いの最高峰の人達の一人でしょ?」
「参加条件が無かったからな。反則でもなんでもない。優勝はうちのヤツが貰う」
最後の最後で一番凄い魔法使いが出て来たのとで会場の盛り上がりは最高潮を迎えていた。
エイブリック、やっぱりあんた大人げないわ・・・
【魔法使い部門決勝戦進出者】
オットー(冒険者ギルド講師)
シシリー(冒険者/ディノスレイヤギルド所属)
パンチョ(冒険者/ディノスレイヤギルド所属)
パピヨン(冒険者/所属無し)
ルーラ(冒険者/スカーレットギルド所属・銀の匙メンバー)
シャキール(宮廷魔導士)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます