第207話 経過報告(短め)

たっぷり休んで心も落ち着いたようだ。


アルとジョンを連れて森に向かった。久しぶりに普通に楽しもう。


ウサギを狩って食べたあと、アルに魔法を教える。射撃場でやってみるとあっさりファイアボールを撃てるようになった。これって自力で出来てたんじゃない?


「なんとこんな簡単なことだったのか」


アハハハと嬉しそうにファイアボールをポンポンと撃っていく。


「ジョンもやる?」


「俺は剣を極めたいからやめておくよ。便利な物を覚えるとそれに頼りがちになるからな」


ジョンはやはりストイックだ。魔法に興味が無いわけではないはずなんだけどね。



バタン


あっ、アルが吐きながら倒れた。調子に乗ってパカパカ撃って魔力が切れたのだろう。魔力を流して少し回復した後にクリーン魔法をかける。


「魔力を使いきるとこうなるから、魔力切れそうな感覚を身に付けないとダメだよ」


「魔力切れってなんて気持ち悪いんだ・・・」


「魔法だけに頼りきると危険だからね。戦闘中の魔力切れ=死だよ」


「そうだな。しかし魔法が使えると分かっただけでも良かったぞ」


「ジョンやアルは攻撃魔法より水魔法覚えた方がいいだろうね。遠征で水は荷物だけど欠かせないし。毒の心配もしないで済むから」


「そうか、そうだな。水魔法を教えてくれ」


それならとジョンも水魔法を教えてくれと言った。


その日は水魔法を使えなかったので、明日ドワンの所に行ってミスリル棒を作って貰おう。携帯してても問題ないように何かの金属と混ぜてもいいしな。



何日かして魔力線と同じ素材を使った小さな棒で二人とも水魔法が使えるようになり、剣と共に常に身に付けるようになった。



「あっという間だったね」


「また来年の夏に来るぞ。楽しかったゲイルよ。また会おう!」


王都から馬車が迎えにきており、アルは冬休みのディノスレイヤ領を満喫して帰って行った。そしてまた護衛達が俺に仰々しく挨拶していきやがった。一体なんなんだ?


ジョンはベントの入学式に合わせて王都に戻る事になっている。久しぶりの家族水入らずの時間を過ごした。


俺はその間せっせと治癒魔石を作った。ミーシャとシルフィードの護衛の分。エイブリックとアルの分もだ。年明けにエイブリック邸に遊びに行くときの手土産にしよう。アルは騎士の訓練の時に魔石の魔力使いきってしまうかもしれないな。


それからシルフィードは釣りから帰って来てから治癒魔法が使えるようになった。治癒魔石のペンダントが影響したのかもしれない。これは検証事項だな。そのうちダンとドワンで実験してみよう。



もうすぐ年が明ける。やっと4歳だ。この1年も激動だったけど、来年は穏やかに過ごせるといいな。


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