第189話 連チャン
お風呂で身体がほこほこになったので服にクリーン魔法を掛けてから服を着て下に降りるとアーノルド達はまだ飲んでやがった。
「父さん達、あんまり飲むと中毒になるからいい加減にしなよ。俺たちはもう寝るから」
おう、と返事はしたがまだまだ飲むつもりだろうから、ピッチャーになんちゃってスポドリ作っておいてやるか。
レモン水にハチミツと塩少々いれてまぜる。少し治癒魔法を入れといてやるか。頭痛ぇとか言うに決まってるんだから。
「ミーシャとシルフィードもこれ飲んどけ。あんまり飲むとおねしょするからな」
二人はごくごくと飲んでいた。アルコールは水分奪うからな。焼き鳥も焼き肉も塩分多いし喉が乾くだろ。
俺も一杯飲んでおこう。うん旨い。
寒いので3人で毛布にくるまって寝る。羽毛布団とか欲しいな。しかし、誰かと一緒に寝るのは暖かいけど一人で寝るのに慣れてると窮屈だな。熟睡出来ん。ちょいと寝酒でもと言う訳にもいかんから隣のベッドで寝るか。
毛布から出るとさみぃ~。真冬でも無いのにめちゃくちゃ寒く感じる。昼との寒暖差が激しいから身体がまだ寒さに馴染んでないんだよね。
アーノルド達はまさかそのまま外で寝てないだろうな?
ちょっと様子を見に行くと案の定バーベキューの椅子の所で寝てやがった。取りあえず魔法で浮かして隣の部屋に4人まとめて突っ込んでおく。一人ずつ毛布を着せといたら大丈夫だろ。湖で朝まで水風呂で寝てたくらいだからな。
俺はベッドに一人で毛布にくるまり、布団乾燥機の様に温風を出して温めた。やっぱり俺って便利。
ふっと寝入った時に身体をゆさゆさされる。
んあ?もう朝?
「ぼっちゃま、ぼっちゃま。起きて下さいぼっちゃま」
「ミーシャか?どうした?」
「トイレに行きたいんです。付いてきて下さい」
「子供じゃないんだから一人で行けよ」
「真っ暗で怖いんですよ」
「何にもいないから大丈夫」
「もしトイレからスライム出てきたらどうするんですか」
そんなことあるわけ無いと言えないこの世界。浄化槽がわりにスライム入れてあるからな。お化けもアンデットとして実在するからいないとは言えない。
「もー、しょうがないなぁ。寝る前に飲み過ぎるなよと言っただろ?3杯も飲むからだ」
「いいから早く、漏れちゃいます」
はぁ、とため息ついてから小さな灯りを魔法で灯す。寒いから温風でそこらじゅうを温めてから行こう。
「いますか?」
「いるよ」
「いますか?」
「いるよ」
俺はトイレの前でいるよと言わされ続けた。
「はぁ、これでスッキリして寝れます。朝まで我慢しようか迷ってたんです」
めっちゃ寝てたやんけ。
部屋に戻るとシルフィードが起きてもじもじしていた。
「トイレ行く?」
こくんと頷くシルフィード
またトイレの前でいるよと言い続けた。
はぁ、良く寝れなかったからまだ眠いや。いつもより遅い起床だがまだ眠い。ミーシャとシルフィードは夜明けと共に起きて行ったようだった。
朝は一段と冷えている。メインの部屋に行くとミーシャとシルフィードがご飯を炊き、味噌汁を作ってくれていた。昨日の鶏皮スープを味噌汁に流用したみたいだな。
「ぼっちゃまお早うございます」
「ゲイル様お早うございます」
「お早う。早くからありがとうね。まだ寝てても良かったのに」
「同じ時間に目が覚めるから大丈夫です」
この世界の人は目覚まし時計が無くても寝坊とかしない。文明が遅れている分体内時計が正確だ。という俺も夜明け前に目が覚める。不思議だね。
ご飯に鶏の味噌汁。おかずは何にしようか。シャケの切り身とか無いかな?と有るはずも無いものを探して冷蔵庫を覗くと、
あ、砂ずりと首肉残ってんじゃん。仕込むことすら忘れてたよ。
おっさん連中は朝からでも砂ずり食うだろ。ミーシャ達はどうするかな?
「昨日の焼き鳥で仕込むの忘れてたやつあるんだけど、朝から食べる?」
はいっと二人とも返事する。じゃあ炭火焼きにするか。
外に出て炭に火をつける。元の世界だとバーベキュー用の安い炭ならともかく、備長炭とかに火を付けるのにはめちゃくちゃ時間がかかる。でも魔法があれば一発だ。すぐに炭に火がつくので風を送ってガンガンと真っ赤になるまで吹き付ける。あとは少し火が落ち着いたら焼きだそう。
部屋に戻るとアーノルド達も起きてきた。
「そこのピッチャーに酔い醒ましのスポドリ入れてあるからそれ飲んでひとっ風呂浴びてきなよ。酒臭いよ」
うーとか言いながらスポドリをごくごく飲む。
「朝から焼き鳥食べれる?昨日仕込み忘れたヤツがあるからそれ焼くけど。」
4人とも食うと返事した。
俺は屋根の上の風呂の湯を入れ直して熱めにしておいた。これである程度酒抜けるだろ。男4人だと少し狭いがみんなそんなこと気にしない。
「はい、風呂入ってきて。焼けたら呼ぶから」
スポドリをピッチャーに追加してコップと共に風呂へ持っていかせた。そこでガブガブ飲んで来るといい。
2階に上がる前にクリーン魔法をかけておく。酒とおっさんの臭いが酷い。寝ていた部屋にもクリーン魔法をかけておいた。
まず俺が食べない砂ずりから焼いていく。首肉を先に焼いて砂ずりだけしか残らなかったら目も当てられない。
砂ずりも首肉も面倒なので串に刺さずにバーベキュー式で焼いていく。
砂ずりも首肉も塩だ。俺の分だけタレ焼にして昨日食べられなかった焼き鳥丼のリベンジだ。ホントはネギマでやりたかったが仕方ない。首肉も旨いから許す。
「もうすぐ焼けるよー」
焼きながら声をかけておく。焼けた砂ずりを大皿に乗せて行くとアーノルド達が降りてきたのでそのまま持っていって貰った。
次は首肉だ。元の世界ではネックと呼んでいた。みんなの分を塩で焼き大皿に乗せて運ぶ。自分の分は丼にご飯を入れて貰いタレネックとタレを上からかけて持っていった。
砂ずりは皆に好評でこれも酒に合うなと言いながら飯を食っていた。
「坊主は何を食っておるんじゃ?」
「焼き鳥丼」
「なぜゲイルだけ食ってんだ?」
「俺は昨日ご飯食べられなかったの。これはその分。みんなさんざん食ったでしょ?、あげないからね」
みんながじーっと見る
「な、なんだよ。みんな砂ずりもネックも食べてるでしょ」
ミーシャが口を開けてあーんしている。しょうがないので一口入れてやる。まるでヒナに餌やる親鳥の気分だ。
「うわぁ。おいひぃでふ」
ミーシャちゃんだけズルい・・・
ほれ、シルフィードにも一口突っ込んでやった。
「美味しいっ!」
シルフィードはタレ派だったな。ネックも半分タレにしてやれば良かったかな。
ふと振り返るとオッサン連中も口を開けてやがる。ヒナは親鳥に餌をやらんのだぞ?
俺はオッサン連中を無視して焼き鳥丼をかきこんだ。
お前だけズルいと言われ、昼飯ように鶏を狩りにいき、全員分焼き鳥丼を作らされた。
俺は味噌おにぎりを食べる。
じーーーーっ
いい加減にしろっ!
結局、味噌焼おにぎりを6つ追加したのだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます