第131話 再会
「土の弾が飛んだじゃと?」
「おやっさん、俺のサポート無しでも出来るでしょ。もう一度やってみて。」
うむ、とドワンは集中し始め、かっと目を見開き引き金を引く。
ドンッ ドカーーンッ
「やっぱり土の弾が飛んでるね」
「なぜじゃ・・・」
ガックリ肩を落とすドワン。
「土の弾でもいいじゃない。目的は無詠唱での攻撃魔法でしょ?」
「そ、そうじゃった!わ、ワシも無詠唱でやったんじゃな?」
「そうだよ。風魔法にこだわる必要ないじゃない」
「そうじゃそうじゃ!ワシも無詠唱攻撃魔法が使えるんじゃ! わーはっはっは!」
良かった納得してくれたようだ。圧縮空気の弾はめちゃくちゃ時間かかるだろうからな。俺もこれ以上は面倒臭い
「じゃ、集中する時間を短くしていって、目標は連射だね」
ズドドドドド
俺は護身用の小さい拳銃でマシンガンの様に土の弾を連射した。
「よし、練習あるのみじゃ。」
ドンッ
ドンッ
実践で使えるようになるにはしばらく練習が必要だね。
「ダンはどんな感・・・じ!?」
ダンの方を見ると吐きながら気を失っていた。もー、魔力が切れるまで撃つなよ。
俺は魔力を少しダンに流してやる。
「う、う・・・」
これでもうすぐ起きれるだろ。
ドサッ
げ、ドワンまで倒れやがった。仕方がないのでドワンにも魔力を流すとすぐに目が覚めた。
「二人とも、自分の魔力無くなる感覚くらい覚えとか無いとまずいよ」
『すまん』
二人の声が揃った。
簡単な昼飯を食いながら俺の魔力水を炭酸で割った物を飲んで魔力回復をさせておく。
「使い慣れてない魔法だから魔力消費が激しいんだよ。もっと慣れてくると同じ威力でもたくさん撃てるようになるよ」
「それには練習あるのみか?」
「そうだね。なんでもすぐに完璧になるわけじゃないし、射撃訓練が終わったら寝る前に残ってる魔力でダンは火魔法、おやっさんは土魔法を使って魔法を身体に馴染ませていくといいと思う」
「そうじゃな。いずれ銃無しでも撃てるようにならんとな」
俺は銃有り、銃無し、どちらでも同じ魔力で同じ威力が出るように練習しておこう。
ゲイルは魔力水の原液を二人に分けて渡し、銃の練習はそこそこに剣の稽古を一人でしたのだった。
日暮までもう少しというところで俺は治癒魔石の事を相談したかったので二人の練習を止めた。
「おやっさん、ダン。そろそろ練習終わろう。日が暮れる前に相談したいことがあるんだ」
「もうそんな時間か。出来なかった事が少しずつ出来るようになってくると時間が経つの早いな」
ダンは火魔法がどんどん使えるようになって来ているのが楽しくてしょうがないらしい。
「で、相談ってなんじゃ?」
「これ見てくれる」
俺はピンクの魔石を取り出した。
「これは・・・?坊主が出して来たところを見ると魔石か?ずいぶんと色が薄いが」
魔力だけを帯びた魔石は真っ赤だ。例えるならルビー、これはピンクトルマリンとかそんな感じだ。
「これね、治癒魔石なんだよ」
『治癒魔石?』
「そう、魔石と同じ作り方なんだ。治癒魔力水の要領と同じように治癒魔法を注ぎ込んでいくとこれが出来た」
「どうやって使うんじゃ?」
「身に付けておくと怪我した時に自動で治癒魔法が発動するみたい」
「おいおい、ぼっちゃんすげぇじゃねえか」
「ただね、この治癒魔石がどれくらいの怪我が治せるのか、何回くらい使えるのかがわかんないんだよ。自分で怪我して試すのも嫌だし」
「坊主、これをアイナの治療院で試したいんじゃな?」
「そう。これを御守りとかにしたら、いざと言うときに必ず役に立つと思うんだ。大怪我してポーション飲めないとかあるでしょ。そんな時にこれがあるといいかなと思って」
この話をした時にダンがぎゅっと唇を噛んだ事に俺は気付かなかった。
「そうじゃな。そうすると話をせにゃならんな」
「うん、魔法陣の話は抜くとしても鑑定と魔石作りの事は話さないとダメだね」
「よし、坊主はこの治癒魔石をもう一度作ってくれ。その治癒魔石を作った時にどれだけの水と治癒魔法を注いだか記録しておいてくれんか。この治癒魔石はそんなの記録しとらんじゃろ?」
「うん。どうなるかなと思ってやったことだから記録は取ってないよ。ただ魔力と一緒で慣れてくると少ない魔力で同じものが作れるかもしれない」
「それは構わん。参考としてじゃ」
「わかった」
「それが出来たらアーノルドとアイナをここへ連れて来よう。そこでワシが話す」
「おやっさん、宜しくお願いね」
そこまで話を決めて俺たちは森を後にした。
それから10日程かけて治癒魔石の記録を取った。鑑定しながらだったのと魔力水にあまり頼らず作成したので時間が掛かってしまった。魔力水が甘過ぎてたくさん舐めるのに耐えられなかったのだ。
100ccの水に30万の治癒魔法を注ぐと治癒魔石小が出来る事がわかった。
これ壺の水だと300万の治癒魔法が必要になる。かなり時間がかかるな。小を作るのと同じペースで治癒魔法を注いでも3ヶ月以上だ。
「おやっさん、記録取れたよ」
俺は記録の説明をした。
「後はどれくらいの怪我を何回治せるのかじゃな。次の休みにアイナとアーノルドをここへ呼ぶぞ」
「わかった。父さん達に言っておくね」
ドワンとダンはミスリル銃を使った魔法発動が格段に早くなっていた。俺の連射まではいかないが、単発が連続して撃てる所まできている。魔力消費もかなり減っているようだ。
今日はここまでにしておいて屋敷に戻ることに。
屋敷に戻ると、深くフードを被った人が屋敷の周りを窺うようにウロウロしていた。
「あ、ゲイル様、ダンさん。お久しぶりです」
「おー!シルフィードじゃないか、久しぶり。来てくれたんだね」
深くフードを被った少女、シルフィードが来ていた。
「何かお役に立てるかもしれないと伺いましたので、喜んで参りました。その節は大変お世話になりありがとうございました」
良かった。ずいぶんと元気になったようだ。声が明るくなってる。
こんな道端でもなんなので屋敷に戻ろう。
「さ、中に入って」
「え?いいんですか?」
「なんで?」
「貴族である領主様のお屋敷に平民でしかもハーフ・・・」
「何言ってるの。シルフィードはお客さんだよ。遠慮は無用。さ、入った入った」
「ぼっちゃん、馬は俺が返しとくわ」
ダンが気を利かせてシルバーも連れて行ってくれたのだった。
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