第126話 秘密を打ち明けるその1
こってりダンを叱ったあとアーノルドにもブリックがダメと言ったことを無理強いするなと言い聞かせた。
ダンの言い訳によるとドワーフ兄弟と同じく止まらなくなったらしい。確かに銀杏って旨いけど、そこまで中毒性あるかね?中毒にはなるけど・・・
数食べたいなら枝豆でも食えばいいのに・・・ってそういや大豆はあるけど枝豆は見たことないな。
元の世界でも欧米人は枝豆知ったの最近だった気がする。この世界でも知らないのかもしれないな。と言ってももう時期的に遅いな。来年試してみよう。
それより枝豆より魔石だ。さっき邪魔されたからな。早速鑑定してみよう。
【魔石】
ゲイル産 3020/3020
やっぱり魔石か。しかもこの魔力保有量。冷蔵庫に使われてるサラマンダーの魔石の10倍くらい魔力があるぞ。このクラスの魔石が取れる魔物ってどのレベルくらいのやつなんだろ?
あの壺に入って水がだいたい3リッターくらいか。注ぎ込んだ魔力はどれくいだったのかな?何も考えずに注いでたからな。
えー、だいたい最近は15日くらいでドロドロになってたから、1日3000として45000。それにさっき注いでたのも同じくらいなのかな?いやまったくわからんな。
明日、少しの水で検証してみよう。上手く行けば人工魔石作成の足掛かりになるかもしれん。魔法学校に行って魔法陣が組めるようになったとしても魔力という動力確保の問題があるからな。
あと魔力水が魔力回復が出来るなら、魔力ポーション飲んだ時みたいに魔力総量を上げられるかもしれない。確か上限越えて回復にしたら総量増えてたからな。
しかし、俺には効率が悪い。さっきは実験の為に激甘なものを舐め続けたが、あれを毎日するのは無理だしな・・・
ん?アーノルドやアイナ、ダンとかの魔力総量は上げてやれるんじゃないか?魔力水を砂糖の代わりに使えるかも。魔力水を水で割ってレモンとかいれたらジュースみたいなものになるしな。朝食時に飲めば魔力全快だろうから効率がいいかもしれない。
明日、ブリックにこの魔力水を味見してもらおう。
その後、魔石も甘いか舐めてみたがなにも味がしなかった。
翌朝、朝食前に厨房へ魔力水を持って顔を出した。
「あ、ゲイルちゃまおはよーございますっ!」
ゲイルちゃま・・・、まぁいいか。
「おはようポポ。お手伝いどうだ?」
「ポポねぇ、お野菜洗ったりしてる」
「そうか、ポポは偉いなぁ。」
「へへへっ」
3歳児に誉められて喜ぶ5歳児。端から見たらおままごとだな・・・
「ぼ、ぼっちゃんお早うございます。ま、まだ何かお叱りが・・・」
昨日のことですっかりびびってるブリック。
「いや、違う。これを味見してもらおうかと思ってな」
うんしょと壺を持ち上げてブリックに渡す。
「何ですかこれは?」
「いいから少し舐めてみて。どんな味がする?」
俺には甘いが、ものがものだけに魔力が関係しているかもしれん。人によっては他の味に感じる可能性があるからな。
ブリックはスプーンでひとすくいして手のひらに魔力水を出して、それをペロッと舐める。
「うわっ、甘いですねこれ。ハチミツにしては色が透明だし、風味や匂いとかはまったくないですね。甘さしか感じません」
良かった味の感じ方は同じのようだ。
「え~甘いのぉ? ポポも味見するぅ」
ポポの甘えた声にデレかけたブリックは俺の視線に気付いて咳払いししてからポポの手のひらにも出してやる。
「うわーっ!あまーい 美味しーぃ。それになんか元気が出る気がするぅ」
お、ポポは魔力が増えるのを肌で感じとったのか?それとも甘さでそんな気がしただけか?
「おい、ブリック。ハチミツをポポに舐めさせてみてくれ。味比べだ」
なんのことやらわからずハチミツをスプーンで掬ってポポに味見させる
「ポポ、さっきのと比べてどうだ?元気が出るか?」
「ハチミツも甘くて美味しーね。でもさっきの甘いやつの方が元気になるー!」
次に砂糖を舐めさせてみる。
「これもあまーい。でも元気はゲイルちゃまが持って来たのが一番出るぅ!」
確定だな。ポポは魔法の才能がありそうだ。このままここで魔力水を飲んでたら知らないうちに魔力総量が増えて将来役に立つだろう。もう少し分別が付くようになってから魔法を教えてやってもいいかもしれない。
「そっか、元気が出るか。良かったな。ここに来たときよりずっと顔色も良くなってるからな」
「うん、毎日美味しーご飯が食べられて、あったかい布団で眠れて、ポポ幸せ。お父さんも早く帰ってくれば美味しーごはん食べられるのに」
・・・チクッ
ポポの言葉で心にトゲが刺さる。
ロロは父親の事を理解しているようだが、ポポはまだ知らない。母親も知らないこの子が父親まで死んだと知ったらどうなるんだろうか?ゲイルポポに何も答えることが出来なかった。
「ブリック、この甘味料で毎朝ジュースを作ってくれないか?水で割ってレモンとか絞るだけでいい。それとお菓子とか作るときにも使えると思うから色々試してくれ。無くなったらまた持ってくるから」
「これ、どこから仕入れたんですか?」
「秘密のルートだ」
俺が作ったとは言えない。
ブリックは頭をかしげていたが、菓子に使えると聞いてそちらに意識がいったようだった。俺と関わりが深い人間は余計な詮索をしないから楽だな。
「ポポちゃんだけズルいです・・・」
あ、ミーシャがいつの間にか来てたのか。
「ミーシャ、後で壺ごとあげるからすねるな」
そう言われたミーシャの顔がぱぁっと明るくなった。ミーシャの事だ、毎日舐めるだろうからもりもり魔力総量が増えるかもしれん。
早速、その日の朝食から魔力水ジュースが出た。アーノルドとアイナはなんか元気が出るわね、と美味しそうに飲んでいた。さすがだな。ベントが無反応だったことは想像通りだ。
さて、この魔力水を魔力ポーションとして売り出すかどうかおやっさんに相談だな。おやっさんとダンには魔力水のことを話しておこう。
ロロを連れて商会へ行く途中に剣の朝稽古のことを話した。
「で、どうする?お前が望むなら父さんが稽古つけてくれるってさ」
「えっ?領主のアーノルド様が直々にですか?」
「ロロはまだ会ったことないけど、ジョンという長男がいるんだよ。父さんと毎朝、剣の稽古をして去年騎士学校に入学したんだ。今は王都の寮に入っている。次男のベントは剣やめちゃったから、稽古する相手が居なくて父さんも寂しいんじゃないかと思うから遠慮しなくていいぞ」
「ぜ、是非お願いしますっ」
「ただ、めっちゃ厳しいぞ。その稽古の後に大工仕事だから覚悟しとけよ。夜明けと共に稽古開始だからな」
「はいっ!」
商会に到着。
「おやっさん、おはよー」
「おうっ、おいミゲル、見習いが来たぞ。」
「じゃ、早速行くか。おいワシの後ろに乗れ」
ミゲルとロロはウイスキーに乗って現場へ向かった。
「おやっさん、ダン、話があるんだけど、森でしたいんだ。」
「深刻な話か?」
「深刻じゃ無いんだけど他の人には内緒にしたい」
俺がそう切り出すとドワンは従業員にアレコレ指示をしていた。
ーいつもの森の小屋ー
「で、内緒の話ってなんだ?」
「話す前にこの壺の中のもの味見してくれる?」
「ぼっちゃん、これ今朝飲んだジュースに入ってたやつか?」
「そう、同じもの」
ドワンは壺に指を突っ込み舐めた。ブリックのようにスプーンを使うとか上品なことはしない。
「なんじゃこれは?めちゃくちゃ甘いな・・・・ん?なんか力が漲る感じがするな。これは薬か?」
「力が漲る?確かジュースも何となくそんな気がしたが」
そう言いながらダンも壺に指を突っ込んで舐めた。
「本当だな、めちゃくちゃ甘いがぐっと腹に力が入る感じがする」
「坊主、これはいったいなんじゃ?」
「これ、魔力水っていって、魔力ポーションの原液みたいなもんなんだよ」
「お前さんいつの間にポーション作れるようになったんじゃ?」
「いや、ポーションの作り方は知らないよ」
「じゃあどうやってこれを作ったんじゃ?」
「元々作ろうと思って作ったものじゃないんだ。他のことしててたまたま出来たんだよ」
「何してたんじゃ?」
あー、もう魔力総量のこととか鑑定魔法のことも説明しとくか。
俺はその辺のことを説明するのだった。
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