第37話魔法が使えるのは嬉しい

目が覚めたら部屋のベッドで寝かされていた。


「ゲイル、あなた何か魔法使ってたの?」


どうやらマジックポーションを飲まされてすぐに目が覚めたようだ。


「魔法とは思わなかったんだよ」


「どういうことだゲイル?」


「父さんが闘気って呼んでるのは魔法だよ」


アーノルドとアイナが驚いた表情で顔を見合わせた。


「ど、どういうことかしら?アーノルドは魔法を使えないのよ」


・・・

・・・・


「父さんがジョンに闘気を教えてるの見て、僕も出来るかなぁ?と思ってやってみたんだ」


「お前、闘気出せたのか?」


「父さんの金色の光を見て、同じようにイメージしたら出来たんだよ。棒切れにまで闘気流したら魔力が切れたのと同じ状態になったんだ」


「金色の光?」


アーノルドとアイナの声が揃う。


「そう、母さんの治癒魔法ってピンク色してるでしょ、それと同じように金色の光が見えたんだよ」


「アイナの治癒魔法がピンク色? お前何言ってるんだ?」


ん?魔法って色付いてるよね?土でコンロや小屋作ってる時は茶色っぽいし。


「え?ピンク色のモヤモヤが傷口を包んだら傷治るよね?」


「えっ?」


えっ?何?何をそんなに驚いてるんだ?


「色なんて見えないわよ」


えっ?見えてるの俺だけ?


「お前、魔法が見えるのか?」


「えっ?普通は見えないの?」


「そんな話は聞いたことないぞ。アイナは見えてるのか?」


「見えたことなんて無いわ」


・・・・

・・・・・

・・・・・・


沈黙の時間が訪れる。


「ゲイル、お前は魔法を使ってる時に色が見えてるんだな?」


うんとうなずく。


ほわほわっとアーノルドが金色に包まれ出す。


「父さん、なんで闘気出してるの?」


あれ、なんか怒ってる?と思ったらフッと光が消えた


「本当のようだな・・・」


あ、見えてるかどうか試したのか。


「あなた・・・」


「そうかお前はそんな能力もあるのか・・・。それに闘気が魔法だと?」


「間違いないと思うよ」


そう言うとまた金色に光だした。


うわっめっちゃまぶしい。スーパーアーノルドとかになるんじゃないだろうな?


どんどん明るさを増し、そのまましばらくすると。


「ぐっ・・・ 」


アーノルドが膝をついた。


「あなたっ!」


アイナがマジックポーションを手渡すとグイっと飲み干すアーノルド 。


・・・・

・・・・・

・・・・・・

少し間が空いたあと 。


「ふう、マジックポーションを飲んだら目眩が収まった。これは魔法だというのは間違いないようだ」


「闘気を出したら身体に力が溢れだすような感じがしたから、身体強化とかの魔法になるんじゃないかなと思う」


「そういうことだったのか・・・」


「今まで魔力が切れるまで闘気を使ったことが無かったの?」


疑問に思って聞いてみると闘気を込めすぎるとヤバい感じがして止めていたようだ。恐らくアーノルドは本能的に魔力が切れそうなのを感じとっていたんだな。

そういやアイナも治療途中でマジックポーション飲んでたな。長年の経験で魔力が切れそうな事を察知出来るのか、それとも俺が魔力切れに鈍いのかどっちかわからんな。


ぶつぶつ言っているとアーノルドが笑いだした。


「そうか、俺も魔法が使えたのか」


うわっはっはとアーノルドは嬉しそうな顔をしていた。




午前中ぶっ倒れたので昼飯を食ってから森へ向かう。


「ぼっちゃん、朝倒れたんだろ?今日は休みにしても良かったんだぞ」


「いや、早く小屋を完成させたいからね」


「ミーシャはまだ小屋の事を知らないんだろ?慌てなくていいんじゃないか」


「驚かせたくてまだ黙ってるけど、なるべく早く連れて来たくて」


「ミーシャは愛されてんな」


カッカッカ


「そういやなんで倒れたんだ?」


「森に着いたら話すよ。その方が話が早いから」


そうかと返事したダンは早足になった。



「さ、着いたぞ。もったい付けたってことはおもしれぇ話なんだろ?」


ワクワクして早足になったようだ。


「ダン、闘気って出せる?」


「なんだぼっちゃん、どこで闘気のこと知ったんだ?」


「今朝、父さんが闘気を出して見せてくれたんだ」


「そうか、アーノルド様が闘気をぼっちゃんに・・・」


「いや、ジョンが騎士学校受けるだろ?それで必要になるかもしれないってことでやって見せてくれたんだ」


「そうか、ぼっちゃんに教える為にじゃないのか。驚いたぜ」


「で、ダンも使えるの?」


「あぁ、出来るぞ。でもアーノルド様とは比べんなよ」


そう言ってダンが集中し始め、金色に光出したあと、剣を振ってみせる。


シュパパパッ


剣振ってるのはわかるが全く見えん・・・


ふっと光が消えるダン。


「と、こんなもんだな」


「さすがだね、速すぎて見えなかったよ」


「よせよっ。で、闘気がなんの関係があるんだ?」


「ダン、それ魔法なんだよ」


は?


「闘気が魔法?どういうこった?」


ダンにアーノルドとアイナに話したことを説明した。


「し、信じられん・・・。その話は本当か?」


頭が追い付かないダン。


仕方がないので俺も闘気、すなわち身体強化魔法を使って木剣でスパンと板を切ってみせた


「な、俺も使えただろ。剣の稽古を始めたばっかりの俺が使えるとかおかしくないか?」


「なっ、おっおまっお前・・・」


あまりの出来事にぼっちゃん呼びを忘れてお前呼ばわりするダン。お前呼びでも別にいいけどね。


呆然としたまま動かないダン。その内に再起動するだろ。


フリーズしてしまったダンはほっといて小屋完成させねば。あともう少し高さが出ればイケるな。


その前に魔力見ておこう。


【魔力】61/70


あれ?1ヶ月前は魔力値62だったよな?1ヶ月で+2、今朝魔力切れおこして+1。合計65のはずなんだけど5多いな。なんで余分に増えたんだろ?


魔力切れおこす度に増加量増えるのかな?んー、わからん。


わからん物は今考えても仕方がない。とりあえず小屋を作ろう。


小屋に向かって魔力を込める


ぐっぐっぐと高さが上がっていく。


【魔力】4/70


よし、明日にでも形が完成するな。

明後日に親方に来て・・・


「うぉぉぉっ! 俺も魔法が使えるぞーっっ!!!」



ビクッ


再起動した熊が吠えたのに驚いてお漏らしをしかけたゲイルなのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る