第6話リセットされた人生
赤ちゃんからやり直しかぁ。
ホントかこれ?
『はーい、ご飯の時間でちゅよ~』
むぐっ・・・
いや、待って待って、前世の記憶が戻ってからのおっぱいプレイはきついって
『たくさん飲むのよぉ』
うげぇぇぇ
この生温かくて薄甘いものを飲むのはちょっと
うげぇぇぇ・・・
はぁはぁはぁ、なんとか飲んだけどこれが物を食えるまで続くのか。
『オムツも交換しましょうねぇ~』
えっえっえっ?
イヤぁぁ 脱がさないでぇぇぇ
あ、あ、あ、脚を上げて丸出しにされるてぅ
イヤぁぁぁぁぁ・・・
くっ、女性にケツ丸出しにされた挙げ句にがっつり見られた・・・
ガリガリと精神が削られて行く。
こんな赤ちゃん生活を耐えられるのだろうか?育つより先に精神が病んでしまうかもしれん。
それに、相変わらず何をしゃべってるのかがまったく解らん。言葉が解らんのがかなりのストレスだ。
あぁ、なんか頭がクラクラしてきた。目を開けてられん・・・
スヤー スヤー
『お腹いっぱいになって眠っちゃったわ。どんな子に育つのかしらねぇ、楽しみだわぁ』
ぶちょー ぶちょー!ねぇ、ぶちょーってば!!
ん?んー?
いつの間にか寝てしまってたのか。
寝足りないとこを起こされて機嫌が悪い。
「・・・なんか用か?」
「何、その言い草。アンタまだ聞きたい事とかあるんじゃないかと思って話しかけてあげたのに」
あ~、そういや話の途中で帰って行ったんだったな。
そう思っているうちにだんだん頭が冴えてくる。
「悪い悪い、寝惚けてて機嫌が悪かったみたいだ」
「ふーん、ちょっとは感謝ぐらいしなさいよね」
「ヘイヘイ、ありがとうございますよっと」
「で、あと何が聞きたいの?」
「えっと、とりあえず、おっぱいとオムツの期間が終わるまで前世の記憶を封印とか出来ないか?」
「それは無理ねぇ、もう魂が定着したからそのままよ」
くっ、あと半年近くこの状態を耐えねばならんのか・・・
「それじゃあ、こっちの言葉が分かるようにしてくれないか?」
「んー、出来なくはないけど、ホントにいいの?」
「なんか問題あるのか?」
「自動翻訳する能力を付けてあげることは出来るんだけど、相手が話したのを翻訳するのに一瞬とはいえタイムラグがあるのよね。口の動きと聞こえてくる言葉がずれて気持ち悪いわよ。ぶちょーが話してるときも相手が気持ち悪いと思うの」
あぁ、某腹話術師の衛星中継ネタみたいになるのか。日常がそれだと困るな。
「じゃあ自力で言葉を覚えるしかないのか?」
英語とか苦手だったんだよなぁ。覚えられるかなぁ・・・
「確かに基礎言語が固まってるぶちょーには時間かかるかも知れないわね。じゃあ、言語理解能力のパラメーター上げといてあげる」
え?そんな事出来るの?というか人のパラメーターいじれるのか?だったら色々なパラメーターを上げて貰えれば人生ウハウハに・・・
「それはダメ!ホントはパラメーターいじるのは反則なのよ」
え?言語能力のパラメーター上げてくれるんだよね?それは大丈夫なのか?
「まぁ、これはお詫びってこともあるわね。」
詫び?
「そう、本来は魂が新しい肉体に生まれ替わる時に一切の記憶を消すのよ。前世の記憶があると魂が壊れやすくなるから」
は?魂が壊れる?
「前世の記憶があると感動することがなくなったりして生きる意欲が減ることが多いの。悪事にも染まりやすくなるしね」
「じゃあ、なんで俺は前世の記憶が残ってるんだ?それに感動出来ない人生なんてつまらないじゃないか」
「だからお詫びって言ってるじゃないの!そもそもアンタ死ぬのが予定より早かったのが原因なんだから!」
え?予定より早く死んだ?
「アンタ最後の時、人生諦めるの早かったでしょ。普通は死にたくないって強く念じるものなのよ。それで持ちこたえて人生をまっとうするものなの。それなのにアンタってば早々に死を受け入れちゃうもんだから予定より早く死んじゃって、なんの処理も出来ないままこっちの世界に異動しちゃったわけ」
確かに最後、もういいかと思ったな。
「魂も汚れてなかったからクリーニングする必要も無かったし、問題は記憶リセットだけだったのよ。違う世界への異動だから感動が薄れる心配も少ないしね。それでも記憶リセット出来なかった弊害が言語能力に出るみたいだから特別にパラメーターいじってあげる」
なるほどそういうものなのか。
「あとなんで違う世界に異動になったんだ?これはよくあることなのか?」
「たまに高い能力を持ってる魂が生まれてくるのよね。世界を大きく発展させる可能性のある奴が。でもその世界でその能力を使えなかったら宝の持ち腐れでしょ。だから仲の良い娘の世界から異動させたのよ」
高い能力を持ってる?俺が?
「そうそう、アンタ凄いわよ。今までこんな魂見たこと無かったもの。はっきり言って異常よ」
信じられん、俺にそんな能力があるとは!?
「で、なんの能力が凄いんだ?」
「あなたの才能は魔法よ!」
へ?
ぶちょー事、黒岩啓太は訳が分からないのであった。
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