第5話俺達はゲームキャラ

【半年後】


ちょー・・・・・


ぶ・・・ ちょ・・・・


ぶちょー・・・・


はっ!?誰かが話掛けてきてる。

ん?直接脳に語りかけてるような・・・


「ねぇ、ぶちょーってば!聞こえてるんでしょう? おーい、ぶちょー!!」


あ、聞こえてます。


「あー、やっと気が付いた。ずいぶんと魂の定着に時間が掛かったわね」


ん?魂の定着?


そういや、頭が割れるように痛くて死んだんじゃなかったのか?それともあれは夢だったのか?


「まだ寝ぼけてんの?自分の身体をよく見てみなさいよ」


言われて自分を見ようとするもよく見えない。水中で目を開けてるような感じだ。


あれ?それに思うように身体が動かん。ムムムッ、


はぁはぁはぁっ


立ち上がることすら出来ん。


あー、これは頭の血管が切れて、寝たきりになってしまったのかもしれん。なんてこったい・・・


「違うわよバカっ、目を凝らしてよく見てみなさいよ。自分の手くらい目の前に持ってきたら見えるでしょ」


手は・・・ 動くか。


げっ!? なんだこのちっこい手は?


赤ちゃん?


俺は今赤ちゃんなのか?


え?なんで?


「ようやく分かった?あなた私の世界に異動したのよ」


なんですと?


「だーかーらー、ぶちょーは異動になったの! どゆあんだすたん?」


いや・・・どゆあんだすたん?とか言われても・・・


「まったく理解できません」


「ふぅ、意外と勘が悪いわね、ぶちょーは異動になったの!!」


なったの!とか言われても・・・

異動慣れしてるとはいえ、それでも今までは先に打診とか内示とかはあったぞ。それをいきなり異動したとか・・・理解が・・・


いや、そんな問題ではなく、なんで赤ちゃんになってるのだ?


「もうっ、こいつ面倒臭いわね」


面倒臭い言うな。


見知らぬ奴から面倒臭い奴呼ばわりとか失礼な奴だ。てか、こいつ誰だ?


「ぶちょーは才能を認められて私の世界に異動になったの。それでこっちで新しい人生がスタートしたってわけね。分かった?」


こいつ話通じねー・・・


「それよりさっきから気軽に俺のことぶちょーって呼んでるけど、アンタ誰?」


「あ、そっか。まだ名乗って無かったわね。なんせ初めてのことだったし忘れてたわ。じゃーんっ!私はめぐみ。この世界を作りし者よ」


は?

世界を作った?何言ってんだこいつ?


「ぶちょーが元いた世界は他の娘が作った世界でね、こっちは私が作ったのよ。アンタ達が言う神!?みたいなもんね。色んな娘達が色々世界を作ってるのよ」


神?神様ってあれか?

とんでもねぇ、あたしゃ神様だよってやつか?


「何ソレ?まあいいわ。星を作ろうって遊びがあって、同じパターンの星を元にそれぞれ自分で発展させて行くの。各種パラメーターを割り振って発展して行く様子を楽しむのよ。割り振りの仕方で発展具合が異なるのよねぇ。ちなみにぶちょーが元いたとこが一番進んでるかな。私のとこも結構いい線いってるんだけど」


シミュレーションゲームみたいだな。これが事実だとすると俺、いや、俺たちはゲームキャラクターなのか?俺はただのデータでしかないのだろうか?


「イメージ的にはそうね。でもちゃんと生き物には魂があるから自我もあるし操作も出来ない。世界をリセットも出来ないから、あなた達の言うゲームとは違うわね。それに私達がするのは初期のパラメーターの割り振りと魂の管理だけだから」


んー・・・


これは考えても無駄な奴だな。自分ではどうも出来ん。


「そうそう、世の中そういうものよ」


そういや、さっきから口に出さなくても、勝手に返事が返ってくるな。心の中読めるんだろうか?


「当たり前でしょ、頭の中に直接話しかけてるんだから」


そりゃそうだな。


「あ、魂が溜まってきたみたい。ちょっと管理所に戻るわ。まったね~バイバ~イ!」


あ、ちょっと待って!まだ聞きたい事が・・・


声が聞こえなくなってしまった。そっか、俺は赤ちゃんからやり直しか。



先は長いな・・・

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