第2話「登場人物と事の」
▲2「登場人物と事の発端」
祖クラ (挙手をする。左右の手、任意。両手も可。以下同じ)
登場人物、祖クラです。むかしむかしの哲学者ってやつです。
春ドン 登場人物、春ドンです。祖クラの最期に立ち会いました。弟子です。師匠
没後、故郷に帰って自分の学派を開きます。故郷に帰る途中の地で、偉スク
スたち他派の哲学者に祖クラの最期を語るというかたちで話を進めます。
偉スクス 登場人物、偉スクスです。春ドンから話を聞くピタゴラス学派の哲学者
です。ピタゴラスは三平方の定理を発見した数学者として知られますが、哲
学者であり、教団をひきいる宗教家でもありました。
加マル 登場人物、加マルです。うふふ。
蝉アン 登場人物、蝉アンです。どうもコンチ、お付き合いのほどを願っておきま
す、いやどーも。
加マル/蝉アン 加マルと蝉アン、われら二人は、当初、ピタゴラス派の哲学を学
びましたが、のちに祖クラの弟子となりました。
栗トン 登場人物、栗トンです。祖クラの幼な友だちです。農民です。素朴を旨と
します。
カノンABCD(先の人が▼の処に行ったら次の人が読みはじめる)
登場人物については男女いずれとも決めつけない。▼年令も決めつけない。決めつけない。この一団をコロスという。コロスとはギリシャ語で、古代ギリシャの演劇における合唱歌や合唱団のこと。今日のコーラスの元になったことばともいわれるが確証はない。ここでのコロスは、皆がそろう美しさは求めない。ひとかたまりの団であるが個々の独立性を尊重する。個が保たれていれば、声がそろうことがあってもいい。せっかち屋、のんびり屋、それぞれでいい。他の人の台詞を追い越してもいい、立ち止まってもいい。ほぼ何でもあり。ほぼ……。
ユニゾンABCD。(先のカノン部をユニゾンするだけのこと)
登場人物については男女いずれとも決めつけない。年令も決めつけない。決めつけない。この一団をコロスという。コロスとはギリシャ語で、古代ギリシャの演劇における合唱歌や合唱団のこと。今日のコーラスの元になったことばともいわれるが確証はない。ここでのコロスは、皆がそろう美しさは求めない。ひとかたまりの団であるが個々の独立性を尊重する。個が保たれていれば、声がそろうことがあってもいい。せっかち屋、のんびり屋、それぞれでいい。他の人の台詞を追い越してもいい、立ち止まってもいい。ほぼ何でもあり。ほぼ……
春ドン さて、祖クラの裁判についてです。
栗トン 祖クラは、「あちこちで青年につまらない問答をしかけ、青年を腐敗させ
ている」という罪で告発されます。告発者は祖クラを面白く思っていない連
中でした。罪は罰金で片付くものでした。友人たちは罰金で解決するように
すすめます。カネは自分たちが出してもよいともいいました。
加マル しかし祖クラは応じませんでした。問題は罰金の多寡ではない、こういう
ことを罪とする、そこに問題がある。だから、このありさまを裁判で明らか
にするといって引かなかったのです。
蝉アン 判決が出ました。当初、罰金刑ですむと思われていたそれが、死刑となり
ました。罰金刑が死刑ですヨ、死刑。みな告発者たちが仕組んだものと知れ
きっていましたが、官僚も裁判官も一つ穴のムジナでしたから、抗弁は取り
扱われませんでした。権力者は蔭でほくそえんでいたでしょう。
栗トン 祖クラは判決を受けいれました。やがてむかえる最期の日。彼は牢獄につ
どった弟子たちと「死とは何か」「タマシーとは何か」について対話します。
裁判がどうのこうという問題には触れませんでした。彼にとっては、自分の
裁判より、弟子たちが誰にもおとずれる死を平らかに受けいれられるように
配慮することのほうが重要でした。
加マル これは、その、
蝉アン これは、その一日の、
栗トン これは、その一日の対話です。
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